ルーチェ

千絢

02.「左目が疼く、とか」

「裏切り者も、此処まで来ると哀れというか・・・。王家の罪だと嘆く気持ちも分からなくもないか」








ジューダス家を拾ってきた何代か前の国王よ、貴方を私たちは恨みますよ。私たちは血族意識が強いというのに。異国の血など一切欲しくなかっただけというのに。








「会ったら最後だ。一族郎党、根絶やしにしてやる」








私の故郷、エノクも非常に非常に複雑なお国事情があったんですよ。








漸く、山の頂上にたどり着いた。見下せば、栄えた豊かな国――彩帝国がある。緑豊かなその国は、この大陸一番の軍事力と発言力を持つようには見えない。










「…アマルティア様、もう少しですからね」










すやすやと眠るアマルティア様、御年14歳。亡命を図っている最中に誕生日を迎えてしまった。本人の知らぬ間に歳を重ねているなんて私なら、プチ浦島太郎気分になりそうだ。










エノクの民特有の黒髪、瞼の奥に隠されている王家の証の紫紺の瞳。私の仕えるアマルティア様は、愛らしい美少女だ。めっちゃ可愛い。思わず抱き締めたくなるぐらい、可愛い王女様。






私たちエノクの民の宝物だ。








さて、私の自己紹介もしておこう。ルーチェ・アルグラッセル。今年で20歳になる。エノク国の異名付きの侍女だ。










あくまでも侍女は副業だけど。そして、もうひとつ。あえて言います。『元・日本人』でした。ジャパニーズよ、ジャパニーズ。








エノクの民の特有色である黒髪をポニーテールに、エノクの民である証の群青系統の 瑠璃色の瞳をした『元・日本人』だ。








なんでも、死ぬ間際――というか、私は高校2年生の時に殺されたんですけど、どーもそれが神様同士の喧嘩で?起こる筈がなかった出来事が起こって?大した理由もなく殺されたんですよ!










そのお詫びに、こうやってよく分からない世界に転生させられました。








要らないのにチート能力付きで、且つ『前世の記憶』付き。思い出した時は、人知れずとゾッとしましたね!










だって、『前世の記憶』なんて思い出しても悲しいだけなんですから。恐怖と絶望を与えただけに過ぎなかったんですから!!








記憶は兎も角、このチート能力とか何?って思いませんでしたか?私は思いました。此処にエノクの海よりふかーく、山よりたかーいお国事情が関わって来るんです。










エノクの民は、とある特別な王家の派生民族から始まったと言いましたが、なんでもその王家の人々は、なんと能力持ちだったのです。分かりますね?能力です。えぇ、俗世では特殊能力と呼ばれるモノです。










誰もが一度は憧れたことがある、アレですね。若かりし頃、厨二病といったあの忌まわしき黒歴史を彷彿させる、アレ。







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