Pessimist in love ~ありふれた恋でいいから~
知らされなかった男 (5)
それからどれくらいの時間が経ったのか。
たいして強くもないのに、私はやけになって浴びるようにビールを飲んだ。
その結果、当然のごとく完全に酔いが回って、さっきから自分の言っていることが支離滅裂だったり、気が付くと同じことを何度も繰り返し話していると言う自覚はある。
これは完全なるたちの悪い絡み上戸の酔っぱらいだ。
それなのに富永さんは、顔色ひとつ変えず、イヤな顔もせずに、笑って私のやけ酒に付き合ってくれた。
相当の酒豪なんだな。
余裕の表情を見ていると、ダメージを受けてジタバタしてるのは私だけなんだと、余計にムカついた。
富永さんは、化粧室に行こうとしても一人で歩くこともままならなくなってしまった私に肩を貸しながら、チラリと腕時計を見た。
「さすがに限界かな?閉店時間も近いみたいだし、そろそろ出ようか。送ってくよ」
「なんだとー、コラァ……。こんなもんじゃまだまだ飲み足りんぞー……」
本当はもうこれ以上飲めないのに、私はもう一軒行こうと富永さんに散々絡んだ。
いい歳をして、ホントにみっともない。
それはわかっているのに、酔って自分の言動がセーブできない。
「まだ飲み足りない?」
「全然足りない!3年だよ、3年!20代後半の地味女の3年がどんなに貴重かわかる?それをあんなにあっさり……」
「落ち着きなって」
「どうせ私は色気もないし、夏樹にとっては女じゃなかったよ!せいぜいオカンってとこでしょ!」
あー……私、ホントは相当参ってたんだな……。
自分の言動をセーブできないほど酔っているのに、頭の中はやけに冷静だ。
富永さんは少し苦笑いを浮かべて、酔ってくだをまく私の頭を優しく撫でた。
「わかった。でもとりあえず、いつぶっ倒れてもいいように送ってくから、続きは幸さんの家で飲もう」
私の家で?
まさか酔った私をどうにかしようなんて……。
いや、そんなことあるはずないか。
私は女じゃないし、オカンみたいだし?
まぁ、富永さんにとって今の私は、たちの悪い酔っぱらいってとこか。
琴音みたいな美人を逃しても余裕なこの人が、女の人に不自由しているとは到底思えないもんね。
もし私が目の前で裸で寝ていたとしても、目もくれずまたいで通りすぎるだろう。
それからタクシーに乗って私の家へ向かった。
富永さんは途中のコンビニでタクシーを待たせて、ビールやおつまみ、ミネラルウォーターなんかを買ってきた。
どうやら本気で、私のやけ酒に最後まで付き合ってくれるつもりでいるらしい。
こんなたちの悪い酔っぱらいでもほっておけないような、根っからのお人好しか世話焼きなのか、もしかしたら誰にでも優しい人なのかも。
タクシーに戻ってくると、富永さんは私にミネラルウォーターを差し出した。
「とりあえず、酔い醒ましにこれ飲んで」
「ありがとう……」
ホント、面倒見がいいんだな。
こんな酔っ払いの、しかも自分の彼女が結婚した男の元セフレもどきの女なんて、普通ならほっておいてもいいはずなのに。
家が近付いて来ると、少しずつ酔いが醒めてきた。
なんだかおかしな状況だ。
それでも付き合ってくれるつもりらしいから、今日だけはお酒のせいにして甘えておこう。
どうせ、もう二度と会うこともない人なんだから。
たいして強くもないのに、私はやけになって浴びるようにビールを飲んだ。
その結果、当然のごとく完全に酔いが回って、さっきから自分の言っていることが支離滅裂だったり、気が付くと同じことを何度も繰り返し話していると言う自覚はある。
これは完全なるたちの悪い絡み上戸の酔っぱらいだ。
それなのに富永さんは、顔色ひとつ変えず、イヤな顔もせずに、笑って私のやけ酒に付き合ってくれた。
相当の酒豪なんだな。
余裕の表情を見ていると、ダメージを受けてジタバタしてるのは私だけなんだと、余計にムカついた。
富永さんは、化粧室に行こうとしても一人で歩くこともままならなくなってしまった私に肩を貸しながら、チラリと腕時計を見た。
「さすがに限界かな?閉店時間も近いみたいだし、そろそろ出ようか。送ってくよ」
「なんだとー、コラァ……。こんなもんじゃまだまだ飲み足りんぞー……」
本当はもうこれ以上飲めないのに、私はもう一軒行こうと富永さんに散々絡んだ。
いい歳をして、ホントにみっともない。
それはわかっているのに、酔って自分の言動がセーブできない。
「まだ飲み足りない?」
「全然足りない!3年だよ、3年!20代後半の地味女の3年がどんなに貴重かわかる?それをあんなにあっさり……」
「落ち着きなって」
「どうせ私は色気もないし、夏樹にとっては女じゃなかったよ!せいぜいオカンってとこでしょ!」
あー……私、ホントは相当参ってたんだな……。
自分の言動をセーブできないほど酔っているのに、頭の中はやけに冷静だ。
富永さんは少し苦笑いを浮かべて、酔ってくだをまく私の頭を優しく撫でた。
「わかった。でもとりあえず、いつぶっ倒れてもいいように送ってくから、続きは幸さんの家で飲もう」
私の家で?
まさか酔った私をどうにかしようなんて……。
いや、そんなことあるはずないか。
私は女じゃないし、オカンみたいだし?
まぁ、富永さんにとって今の私は、たちの悪い酔っぱらいってとこか。
琴音みたいな美人を逃しても余裕なこの人が、女の人に不自由しているとは到底思えないもんね。
もし私が目の前で裸で寝ていたとしても、目もくれずまたいで通りすぎるだろう。
それからタクシーに乗って私の家へ向かった。
富永さんは途中のコンビニでタクシーを待たせて、ビールやおつまみ、ミネラルウォーターなんかを買ってきた。
どうやら本気で、私のやけ酒に最後まで付き合ってくれるつもりでいるらしい。
こんなたちの悪い酔っぱらいでもほっておけないような、根っからのお人好しか世話焼きなのか、もしかしたら誰にでも優しい人なのかも。
タクシーに戻ってくると、富永さんは私にミネラルウォーターを差し出した。
「とりあえず、酔い醒ましにこれ飲んで」
「ありがとう……」
ホント、面倒見がいいんだな。
こんな酔っ払いの、しかも自分の彼女が結婚した男の元セフレもどきの女なんて、普通ならほっておいてもいいはずなのに。
家が近付いて来ると、少しずつ酔いが醒めてきた。
なんだかおかしな状況だ。
それでも付き合ってくれるつもりらしいから、今日だけはお酒のせいにして甘えておこう。
どうせ、もう二度と会うこともない人なんだから。
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