最強のカップルはただ単に楽しみたい ~最強(トール)と天魔(パートナー)の学園無双~
第二章 ~入学直後~ 5 神話の有無
「それじゃ、そろそろ俺は行くわ」
「あ、そうですか。……それでは、次に来る時を心待ちにしています」
「それ、本音か?」
「……実のところ、半々ですかね。相馬くんの話は面白いのですが、その凄さに驚かされるせいで、かなり疲れるので」
「正直だな。ま、何か知りたいことがあったらまた来るよ」
数刻ほどの間、レカルと小話をしながら本を読んでいた相馬は、そう言って席を立った。相馬は読書スペースからそれなりの距離を取った後、周囲を見渡して小さく呟く。
「よし……大丈夫そうだな」
――雷掌握、起動――
人目が無いこと確認した上での、雷掌握による五感の完全制御。しかし、相馬が隠したかったのはこれではない。
そもそも、五感を制御したことによる見た目の変化は何もない。見られたところで、何も分かりはしないのである。
問題は……この次だ。
「我が父、オーディンの眷属たる大いなる二羽のワタリガラス。その片方にして、知を象徴するムニンよ。その膨大の知の一部を、我に貸し与えたまえ」
直後、相馬の頭の中に自分とノイの居場所が記されたこの図書館の全体図が浮かび上がり、数秒後にはそれは完全に消え失せた。しかしその数秒の間に、相馬はノイのいる方向に五感を集中させて、その居場所を完全に掴んでいた。
さっきの言葉は、祈りでは決してなかった。堂々たる態度で、相馬はムニンに命じたのだ。
しかしそれが命令であることに、気づけるものはほとんどいないだろう。見えない相手に命令を下している可能性など、誰も考えるわけがない。
そして、図書館で祈りを捧げているやつなんて、変な奴以外の何者でもない。そんなレッテルを張られることを避けるために、相馬は人目を気にしていたののだった。
相馬はしゃがみ込むと、そこに落ちていた一枚の黒い羽を手に取った。それを手で、パタパタと揺らしながら呟く。
「神話はなんてあくまでおとぎ話、か。そもそもの話として、何故神話が真実でないと断言できるのか……言っても意味の無いことか」
相馬は珍しく悲しげな表情を浮かべて、独り小さくそう呟いた。しかしすぐに表情をいつものものへ変えると、相馬は楽しげに言う。
「ま、それなら俺がみんなの認識を変えればいいだけの話だな。多分ノイも賛同してくれるだろうし、それもこの学園でやることに加えるか」
相馬はそう言うと、手元の羽を投げ捨て、ノイがいる場所に向かって歩き出した。
この世界には、無数の神話が存在している。それらに対する人々の認識は、『昔の人が作った創作上の話』というものだ。
しかし、それは誤りである。そしてそのことを知る者は、相馬とノイ以外には存在しなかった。
今回のは、かなり重要な話です。各自メモを取りましょう……とまでは言いませんが、今後も読んでくれるつもりがあるならば、頭の中に置いておいてください。
読んでくれる人がいる限り、自分は期待に応えるつもりです。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
「あ、そうですか。……それでは、次に来る時を心待ちにしています」
「それ、本音か?」
「……実のところ、半々ですかね。相馬くんの話は面白いのですが、その凄さに驚かされるせいで、かなり疲れるので」
「正直だな。ま、何か知りたいことがあったらまた来るよ」
数刻ほどの間、レカルと小話をしながら本を読んでいた相馬は、そう言って席を立った。相馬は読書スペースからそれなりの距離を取った後、周囲を見渡して小さく呟く。
「よし……大丈夫そうだな」
――雷掌握、起動――
人目が無いこと確認した上での、雷掌握による五感の完全制御。しかし、相馬が隠したかったのはこれではない。
そもそも、五感を制御したことによる見た目の変化は何もない。見られたところで、何も分かりはしないのである。
問題は……この次だ。
「我が父、オーディンの眷属たる大いなる二羽のワタリガラス。その片方にして、知を象徴するムニンよ。その膨大の知の一部を、我に貸し与えたまえ」
直後、相馬の頭の中に自分とノイの居場所が記されたこの図書館の全体図が浮かび上がり、数秒後にはそれは完全に消え失せた。しかしその数秒の間に、相馬はノイのいる方向に五感を集中させて、その居場所を完全に掴んでいた。
さっきの言葉は、祈りでは決してなかった。堂々たる態度で、相馬はムニンに命じたのだ。
しかしそれが命令であることに、気づけるものはほとんどいないだろう。見えない相手に命令を下している可能性など、誰も考えるわけがない。
そして、図書館で祈りを捧げているやつなんて、変な奴以外の何者でもない。そんなレッテルを張られることを避けるために、相馬は人目を気にしていたののだった。
相馬はしゃがみ込むと、そこに落ちていた一枚の黒い羽を手に取った。それを手で、パタパタと揺らしながら呟く。
「神話はなんてあくまでおとぎ話、か。そもそもの話として、何故神話が真実でないと断言できるのか……言っても意味の無いことか」
相馬は珍しく悲しげな表情を浮かべて、独り小さくそう呟いた。しかしすぐに表情をいつものものへ変えると、相馬は楽しげに言う。
「ま、それなら俺がみんなの認識を変えればいいだけの話だな。多分ノイも賛同してくれるだろうし、それもこの学園でやることに加えるか」
相馬はそう言うと、手元の羽を投げ捨て、ノイがいる場所に向かって歩き出した。
この世界には、無数の神話が存在している。それらに対する人々の認識は、『昔の人が作った創作上の話』というものだ。
しかし、それは誤りである。そしてそのことを知る者は、相馬とノイ以外には存在しなかった。
今回のは、かなり重要な話です。各自メモを取りましょう……とまでは言いませんが、今後も読んでくれるつもりがあるならば、頭の中に置いておいてください。
読んでくれる人がいる限り、自分は期待に応えるつもりです。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
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