最強のカップルはただ単に楽しみたい ~最強(トール)と天魔(パートナー)の学園無双~
第一章 ~入学試験~ 4 今後の方針
「いや、だってさ。ここは戦う技術を学ぶ場所なんだぞ。しばらくしたら、どうせバレるだろ」
「……私は十分、隠していけると思うけど。派生技を使わなくても、十分戦えると思うし」
ノイの言う通り、二人は派生技を使わずに、現夢想の基本効果だけで、大抵の覚醒者を倒せるくらいの実力はある。それにそもそも、入学の時点で既に派生技を使える生徒なんて、ほとんどいない。
つまり、バレないように学園生活を送ることは、別に不可能でもなんでもないのだ。ただ、出来るからといって、やるかどうかは別の話なのである。
「よく考えてみろよ。俺たちがそんなことを継続出来る性格か?」
「……確かに、私たちにそんなことは無理なの」
「そーいうことだ。どう考えったって、どっか面倒くさくなって自重しなくなる。てか、それこそが俺たちとすら言えるからな」
「全くもって、その通りなの」
要するに、そういうことだった。自分たちの性格を熟知しているが故に、相馬は隠し通すことなんて出来ないと判断したのである。
そのことは、二人が若者でありながらも、序列一位と二位という立場であることが証明している。自分たちの実力を隠し切れなかったために、彼らはそんな地位を授かったのだから。
良くも悪くも、相馬とノイは単純なのだ。人生を楽しむために活動し、面倒事は嫌う。とても基本的だが、それだけをやるのは難しいことを、二人は行うことが出来る。
それを出来るか出来ないかを分けるのは、とても単純な要素だ。それだけの力を持っているかどうか、ただそれだけである。
「それと、他にも理由はあるぞ。というか、これについてはノイも知ってる」
「……何かあったっけ?」
首を捻るノイに対し、相馬はポケットから一枚の紙を取り出し、彼女に手渡す。学園に入学することを決めた、昨日の手紙を。
「……ああ、なるほど。よくよく考えたら、送り主が私たちに手紙を送って来たのは、何かをすることを求めていたからのはずなの」
「そういうことだ。わざわざ俺たちに手紙を送ってきたあたり、かなりの実力が必要なことなんだろう。そして、もしそいつの思惑に従うんだったら、かなり目立つことになるだろうからな」
目立たないようにその依頼をこなす、という発想は二人にはない。彼らにとって戦うことは、目立つことと同義なのだ。
「相馬のどうせバレるから、隠しておく必要はないという考えはよく分かったの。だけど、だったらなんでさっきの女の子に対して、明確な答えを返さなかったの?」
「絶対に隠さなきゃいけないってわけじゃあないが、あえて話す必要も無かっただろ。ま、一番の理由は現夢想を壁に使ったことが、何らかのルールに違反する可能性があったからなんだがな」
つまり、もしノイが何らかの罪を犯していても気づかれないように、相馬は誤魔化すという手段を取ったのだ。その事実に落ち込みそうになるノイだったが、今度は相馬が先に手を打った。
「言っておくが、あくまで保険を掛けただけなんだからな。それにノイの現夢想が何かのルールを破っている可能性がゼロだったとしても、どうせ面倒くさがって同じ選択をしただろうし」
「確かに、相馬だったらそうしそうなの」
「つまり、ノイに非は一切ないんだよ。さ、そろそろ門だ。どうやらあそこで受付してるみたいだし、そろそろ身分証明書の準備をしておけよ」
「……私、その話聞いてないんだけど」
どういうことだと、ノイは相馬を睨みつける。しかし、相馬は全く態度を変えずに言った。
「あるだろ? いっつも身に着けてる、俺たちのことを証明するカードが」
「……そういえば、そんなのもあったの」
――受付の人が膨大な量のSAN値を削られるまで、あと五分。
遅くなりましたが、今日も投稿出来ました。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
「……私は十分、隠していけると思うけど。派生技を使わなくても、十分戦えると思うし」
ノイの言う通り、二人は派生技を使わずに、現夢想の基本効果だけで、大抵の覚醒者を倒せるくらいの実力はある。それにそもそも、入学の時点で既に派生技を使える生徒なんて、ほとんどいない。
つまり、バレないように学園生活を送ることは、別に不可能でもなんでもないのだ。ただ、出来るからといって、やるかどうかは別の話なのである。
「よく考えてみろよ。俺たちがそんなことを継続出来る性格か?」
「……確かに、私たちにそんなことは無理なの」
「そーいうことだ。どう考えったって、どっか面倒くさくなって自重しなくなる。てか、それこそが俺たちとすら言えるからな」
「全くもって、その通りなの」
要するに、そういうことだった。自分たちの性格を熟知しているが故に、相馬は隠し通すことなんて出来ないと判断したのである。
そのことは、二人が若者でありながらも、序列一位と二位という立場であることが証明している。自分たちの実力を隠し切れなかったために、彼らはそんな地位を授かったのだから。
良くも悪くも、相馬とノイは単純なのだ。人生を楽しむために活動し、面倒事は嫌う。とても基本的だが、それだけをやるのは難しいことを、二人は行うことが出来る。
それを出来るか出来ないかを分けるのは、とても単純な要素だ。それだけの力を持っているかどうか、ただそれだけである。
「それと、他にも理由はあるぞ。というか、これについてはノイも知ってる」
「……何かあったっけ?」
首を捻るノイに対し、相馬はポケットから一枚の紙を取り出し、彼女に手渡す。学園に入学することを決めた、昨日の手紙を。
「……ああ、なるほど。よくよく考えたら、送り主が私たちに手紙を送って来たのは、何かをすることを求めていたからのはずなの」
「そういうことだ。わざわざ俺たちに手紙を送ってきたあたり、かなりの実力が必要なことなんだろう。そして、もしそいつの思惑に従うんだったら、かなり目立つことになるだろうからな」
目立たないようにその依頼をこなす、という発想は二人にはない。彼らにとって戦うことは、目立つことと同義なのだ。
「相馬のどうせバレるから、隠しておく必要はないという考えはよく分かったの。だけど、だったらなんでさっきの女の子に対して、明確な答えを返さなかったの?」
「絶対に隠さなきゃいけないってわけじゃあないが、あえて話す必要も無かっただろ。ま、一番の理由は現夢想を壁に使ったことが、何らかのルールに違反する可能性があったからなんだがな」
つまり、もしノイが何らかの罪を犯していても気づかれないように、相馬は誤魔化すという手段を取ったのだ。その事実に落ち込みそうになるノイだったが、今度は相馬が先に手を打った。
「言っておくが、あくまで保険を掛けただけなんだからな。それにノイの現夢想が何かのルールを破っている可能性がゼロだったとしても、どうせ面倒くさがって同じ選択をしただろうし」
「確かに、相馬だったらそうしそうなの」
「つまり、ノイに非は一切ないんだよ。さ、そろそろ門だ。どうやらあそこで受付してるみたいだし、そろそろ身分証明書の準備をしておけよ」
「……私、その話聞いてないんだけど」
どういうことだと、ノイは相馬を睨みつける。しかし、相馬は全く態度を変えずに言った。
「あるだろ? いっつも身に着けてる、俺たちのことを証明するカードが」
「……そういえば、そんなのもあったの」
――受付の人が膨大な量のSAN値を削られるまで、あと五分。
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