最強のカップルはただ単に楽しみたい ~最強(トール)と天魔(パートナー)の学園無双~
第一章 ~入学試験~ 2 壁の前での遭遇
「ほー。ここが学園か」
「なんというか……でっかいの」
「ま、そんな感想しか出てこないよなー」
安心と信頼の移動手段、距離の破壊で学園の目の前に来た二人は、呆然とそんな言葉を漏らしていた。
目の前にあるのは、学園の広い敷地を囲む壁。至近距離というのもあるかもしれないが、二人にはどれほど高いのかが分からないほどに、その壁は高かった。
「分かってないわね。この壁の一番特筆すべきところは、高さじゃないっていうのに」
隣から聞こえて来たそんな声に、思わず二人は体を向ける。そこにいたのは、二人と同じくらいの年頃の一人の少女だった。
「凄いところは高さじゃないって、どうゆうことだ? 何か、特殊な性質があるのか?」
――白支配、起動――
――派生技・無の浸食、展開――
「表面を探った感じ、特にそういうのはなさそうなの」
「……探った?」
「ああいや、気にしないでくれ。で、どういう意味なんだ?」
「……まぁ、いいわ。それで、この壁の特徴的な点だったわね?」
慌てて相馬が、ノイの発言を誤魔化そうと問いかけた。明らかな誤魔化しに眉を顰めた少女だったが、あえて問い詰める必要も無いだろうと思い、質問に答える。
「一言で言えば、薄いのよ。邪生は現夢想でしか倒せない。だから、邪生が攻めて来た時に覚醒者が来るまでの時間を稼ぐため、多少削られても大丈夫なように大抵の壁は厚くなってるってるんだけど、この壁は違う。邪生が攻めて来たら、そこら中にいる覚醒者に任せればいいだけだから、薄くても十分なんとかなっているってわけ」
「なるほどなぁ……覚醒者が沢山いるからこそ出来る、経費削減ってわけか」
相馬そんなことを言うと、ノイは首を横に振る。
「多分だけど、その分を高さに使っているんだと思うの」
「それもそうか。となると、別に経費削減にはなってないのか?」
「なってないでしょうね。ただ、壁が高いおかげで飛び越えて来る邪生はいないらしいから、費用が普通なのに安全性は高くできてるってことじゃない? 見張りの人も、少なかったりするのかもね」
相馬は少女の考えに対して深く相槌を打つと、ニヤッと笑って言う。
「なるほど。……いい話を聞かせてもらった。ありがとな」
「感謝なの」
「いや、ちょっと――って行っちゃったし。……多分、私と同じように入試に来た人よね。学園に入学さえ出来たら話す機会もあるだろうし、私と彼らの両方が受かることを、祈っておくとしましょうか」
手をつないだまま走り去っていく二人の背中を見ながら、少女、カールーライン王国第二王女フラン・カールーラインはそう呟いた。
二人は知らない。フランが今回の入学試験において、一番期待されている覚醒者であることを。
そしてフランもまた、二人の正体を知らないのだった。
何ですって? 一話が短い?
……自分もそう思います。
投稿ペースをその分早くするので、お許しください。
ということで、本日二回目の投稿です。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
「なんというか……でっかいの」
「ま、そんな感想しか出てこないよなー」
安心と信頼の移動手段、距離の破壊で学園の目の前に来た二人は、呆然とそんな言葉を漏らしていた。
目の前にあるのは、学園の広い敷地を囲む壁。至近距離というのもあるかもしれないが、二人にはどれほど高いのかが分からないほどに、その壁は高かった。
「分かってないわね。この壁の一番特筆すべきところは、高さじゃないっていうのに」
隣から聞こえて来たそんな声に、思わず二人は体を向ける。そこにいたのは、二人と同じくらいの年頃の一人の少女だった。
「凄いところは高さじゃないって、どうゆうことだ? 何か、特殊な性質があるのか?」
――白支配、起動――
――派生技・無の浸食、展開――
「表面を探った感じ、特にそういうのはなさそうなの」
「……探った?」
「ああいや、気にしないでくれ。で、どういう意味なんだ?」
「……まぁ、いいわ。それで、この壁の特徴的な点だったわね?」
慌てて相馬が、ノイの発言を誤魔化そうと問いかけた。明らかな誤魔化しに眉を顰めた少女だったが、あえて問い詰める必要も無いだろうと思い、質問に答える。
「一言で言えば、薄いのよ。邪生は現夢想でしか倒せない。だから、邪生が攻めて来た時に覚醒者が来るまでの時間を稼ぐため、多少削られても大丈夫なように大抵の壁は厚くなってるってるんだけど、この壁は違う。邪生が攻めて来たら、そこら中にいる覚醒者に任せればいいだけだから、薄くても十分なんとかなっているってわけ」
「なるほどなぁ……覚醒者が沢山いるからこそ出来る、経費削減ってわけか」
相馬そんなことを言うと、ノイは首を横に振る。
「多分だけど、その分を高さに使っているんだと思うの」
「それもそうか。となると、別に経費削減にはなってないのか?」
「なってないでしょうね。ただ、壁が高いおかげで飛び越えて来る邪生はいないらしいから、費用が普通なのに安全性は高くできてるってことじゃない? 見張りの人も、少なかったりするのかもね」
相馬は少女の考えに対して深く相槌を打つと、ニヤッと笑って言う。
「なるほど。……いい話を聞かせてもらった。ありがとな」
「感謝なの」
「いや、ちょっと――って行っちゃったし。……多分、私と同じように入試に来た人よね。学園に入学さえ出来たら話す機会もあるだろうし、私と彼らの両方が受かることを、祈っておくとしましょうか」
手をつないだまま走り去っていく二人の背中を見ながら、少女、カールーライン王国第二王女フラン・カールーラインはそう呟いた。
二人は知らない。フランが今回の入学試験において、一番期待されている覚醒者であることを。
そしてフランもまた、二人の正体を知らないのだった。
何ですって? 一話が短い?
……自分もそう思います。
投稿ペースをその分早くするので、お許しください。
ということで、本日二回目の投稿です。
フォローといいねをよろしくお願いします。いいねは、面白いと思った話だけでいいので。
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