最強のカップルはただ単に楽しみたい ~最強(トール)と天魔(パートナー)の学園無双~

志水零士

第一章 ~入学試験~  1 入学試験前夜の二人

「学園……って、そもそもどういうところなの?」

 夕食の最中、相馬が今日届いた手紙のことを伝えると、ノイはそう言って首を捻った。

「んーとだな。まず、邪生タイラントがどういう存在かは分かるよな?」
「敵。もっと言うなら、暴力に頼ることしかしない、どこにでも湧く生き物なの。そして、現夢想マジック以外ではダメージを与えられない」
「それだ。その、現夢想マジックしか効かないってのが……うまいな、この肉」
「それは良かったの。ちょっと手間をかけたんだけど、その甲斐があったの」
「へー、何をしたんだ?」
「それは秘密なの。乙女の秘密、ってやつなの」

 人差し指を口元に当て、ノイは小さく笑う。しかしその姿故に大人の色気はなく、何とも可愛らしかった。

「お前なー……そういうのは、大人な女性がやるからいいんであって、ノイがやっても可愛いだけなんだぞ?」
「む、失礼なの。罰として、私とあーんをするの」
「はいはい。ほら、あーん」
「あむ。んー、我ながらいい出来なの。はい、あーん」
「あーん。うん、やっぱりうまいな」

 その後も食べさせ合いを続け、二人は残り全てをそうして食べた。食器を片付け、再度席に座る。

「で、さっきの話だが、現夢想マジックでしか倒せない以上、その所有者たる覚醒者ブレイバーの育成は必須だと、ほとんどの国は考えたわけだ」
「そういう流れになるのは理解できるの。それで、そのために設立された施設が学園ってことなの?」

 ノイがそう問うと、相馬はその質問を待ってましたとばかりに笑って、人差し指を一本立てる。

「それはそうなんだが、重要な点が一つある。各国が強い覚醒者ブレイバーの存在を望んでいるのに、覚醒者ブレイバーを育成する施設は学園、正式名称『天岩戸学園』しかないんだ」
「……それは、何で?」

 こてんと、首を傾げるノイ。その可愛さに必死に耐えながら、相馬は答える。

「それ以上の施設が作れないんだよ。必要な設備、教員、ノウハウ……挙げようと思えば、いくらでもある。敬意を払って、天岩戸学園以外に学園と呼ばれる教育施設がないくらいだからな」
「なるほど。だから、学園という短い言葉で通用していると」
「そういうわけだ。至る所から覚醒者ブレイバーが集まるんだから、当然生徒数は尋常じゃない。更に、学園はどこかの国の施設ってわけでもない。学園という施設一つで、独立しているんだ」
「……聞けば聞くほど、面白そうなところなの」
「だろ? 覚醒者ブレイバーでさえあれば入学試験は受けられるし、試験内容は模擬戦だ。正直、この手紙が本当に学園から来たものかなんて分からん。だが、最近は邪生タイラントの退治もマンネリ化してきたし、受けてみる価値はあると思うんだが、どうだ?」
「私も、賛成なの。で、入学試験はいつなの?」
「聞いて驚け。……明日だ」
「……どうやら送り主は、私たちのことをよく分かっているみたいなの」
「ああ、そうみたいだな」

 ニヤリ、といった感じの笑みを浮かべる二人。自然とこういう笑みになるあたりが、二人らしいところだ。

 相馬とノイはかなり短気なのだ。もし、入学試験が一か月以上後だったら、何らかの手段で途中入学したであろうレベルに。
 そういう面倒事を回避するため、送り主はこんなタイミングで送って来たのだろうが、言い換えればそれは、二人の性格に加えてスケジュールまで知っていたということだ。

 それほど情報が得られる地位にいる人物からの手紙。何も起こらないはずはなく、二人はこれから起こるのであろう騒動を、心待ちにするのだった。





今日はもう一つ投稿予定です。平日は期待しないでください。

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