Time Synchronicity
EP9.抜け出せないトンネル
「実際来てみたものの・・・」
大希は車の中でため息をついた。
休みを申請し、自動二輪の教習の申請を行ってから入校式を済ませ、高校生が下校する時間に美月が通っていたはずの高校近くに来ていたのだ。
「もし今見つけたとしても、俺に何ができるんだろう。」
記憶を持ったままタイムリープした大希は美月に気づくことができるし恋愛感情も持っている。
しかし、美月からしたら知らない他校の教員である。
どう考えても単なる不審者だ。
「一目会えたら何かアイディアが思いつく気もするのだが・・・」
声をかけたとして、それを不審に思われて通報されても大変なことである。
目撃情報から高校教員であることが発覚してしまうとそれだけで大騒動になってしまう。
最近は遠くから見ているだけで不審に思われて通報されることだってある。
現に、学校近くに車を停めている大希のことを不審に思う人もいるかもしれない。
大希は仕事を休んでいる状態で美月を探している。
もし、誰かが不審に思い警察に通報されて職務質問などされたものなら、言い訳を考えなければならないのである。
「余計なことを考えても仕方ないか・・・けど、美月は高校時代に部活も入らずにすぐ帰ったって言っていたはずだから通るはずなんだけどな。」
付き合い始めた当時、高校時代の話になったことを思い出していた。
「大希は部活何かやってたの?」
知り合ってすぐに付き合ったので、お互いの知らないことがたくさんあった2人だった。
そこで、まずは美月から大希に問いかけた。
「小学校から大学までバスケットをやってたよ。」
平均的な日本人男性よりも圧倒的に大きい身体だった大希は、そう答えた。
「そうなんだ?ぴったり!似合いそう!私は何もしてなかったなぁ」
少し悲しそうな目で美月は答えた。
「本当は何か部活をやっていれば楽しかったんだろうけどね。なんだろ?部活っていう集団に入ることが怖かったのかな?」
美月の明るい性格上、集団に入ることが怖いということが想像できなかった大希が尋ねた。
「確かに部活は思い出に残るかもしれないけど、特殊な集団だったかも?その特殊さが怖かったのかな?」
大希の場合、強化指定部とされていたので趣味で入る部活動とは全く違っていた。
しかし、部活動という特殊な集団にいたからこそわかることもあった。
「そうかもね?まぁ、今が楽しいからいいかな?」
前向きなセリフとは裏腹に、表情は優れない美月だった。
そんな過去のワンシーンを思い出しつつ、高校時代にはすぐ帰っていたという美月を探す大希。
しかし、いつまで経っても美月の姿は確認できなかった。
「もしかしたら今日は体調不良か何かで休みなのか・・・?」
そうこうしているうちに、生徒は一旦途絶えてしまった。
今学校にいる生徒は、部活動の生徒かダラダラ残っている生徒だろう。
休みを利用してなんとか来た大希は落胆した。
「ここで会えないとなると・・・次の手は何があるんだよ・・・」
再開できれば何かしらの方法が浮かぶと思っていたが、それも叶わなかった。
次なる手を考えていたが、教師と高校生という高い壁を越えるのには並大抵のアイディアでは太刀打ちできなかった。
「出会うことすらできないのか・・・?」
いくつものアイディアを浮かべても全て自分自身で論破されてしまうので、八方塞がりの気がしてくる。
起死回生のアイディアはいつまでも浮かばず、いつまでもここにいるとそれこそ不審者だと思われてしまうので、その日は帰宅することにした。
悔しさが溢れる大希だったが、どこからか視線を感じた気がした。
大希は車の中でため息をついた。
休みを申請し、自動二輪の教習の申請を行ってから入校式を済ませ、高校生が下校する時間に美月が通っていたはずの高校近くに来ていたのだ。
「もし今見つけたとしても、俺に何ができるんだろう。」
記憶を持ったままタイムリープした大希は美月に気づくことができるし恋愛感情も持っている。
しかし、美月からしたら知らない他校の教員である。
どう考えても単なる不審者だ。
「一目会えたら何かアイディアが思いつく気もするのだが・・・」
声をかけたとして、それを不審に思われて通報されても大変なことである。
目撃情報から高校教員であることが発覚してしまうとそれだけで大騒動になってしまう。
最近は遠くから見ているだけで不審に思われて通報されることだってある。
現に、学校近くに車を停めている大希のことを不審に思う人もいるかもしれない。
大希は仕事を休んでいる状態で美月を探している。
もし、誰かが不審に思い警察に通報されて職務質問などされたものなら、言い訳を考えなければならないのである。
「余計なことを考えても仕方ないか・・・けど、美月は高校時代に部活も入らずにすぐ帰ったって言っていたはずだから通るはずなんだけどな。」
付き合い始めた当時、高校時代の話になったことを思い出していた。
「大希は部活何かやってたの?」
知り合ってすぐに付き合ったので、お互いの知らないことがたくさんあった2人だった。
そこで、まずは美月から大希に問いかけた。
「小学校から大学までバスケットをやってたよ。」
平均的な日本人男性よりも圧倒的に大きい身体だった大希は、そう答えた。
「そうなんだ?ぴったり!似合いそう!私は何もしてなかったなぁ」
少し悲しそうな目で美月は答えた。
「本当は何か部活をやっていれば楽しかったんだろうけどね。なんだろ?部活っていう集団に入ることが怖かったのかな?」
美月の明るい性格上、集団に入ることが怖いということが想像できなかった大希が尋ねた。
「確かに部活は思い出に残るかもしれないけど、特殊な集団だったかも?その特殊さが怖かったのかな?」
大希の場合、強化指定部とされていたので趣味で入る部活動とは全く違っていた。
しかし、部活動という特殊な集団にいたからこそわかることもあった。
「そうかもね?まぁ、今が楽しいからいいかな?」
前向きなセリフとは裏腹に、表情は優れない美月だった。
そんな過去のワンシーンを思い出しつつ、高校時代にはすぐ帰っていたという美月を探す大希。
しかし、いつまで経っても美月の姿は確認できなかった。
「もしかしたら今日は体調不良か何かで休みなのか・・・?」
そうこうしているうちに、生徒は一旦途絶えてしまった。
今学校にいる生徒は、部活動の生徒かダラダラ残っている生徒だろう。
休みを利用してなんとか来た大希は落胆した。
「ここで会えないとなると・・・次の手は何があるんだよ・・・」
再開できれば何かしらの方法が浮かぶと思っていたが、それも叶わなかった。
次なる手を考えていたが、教師と高校生という高い壁を越えるのには並大抵のアイディアでは太刀打ちできなかった。
「出会うことすらできないのか・・・?」
いくつものアイディアを浮かべても全て自分自身で論破されてしまうので、八方塞がりの気がしてくる。
起死回生のアイディアはいつまでも浮かばず、いつまでもここにいるとそれこそ不審者だと思われてしまうので、その日は帰宅することにした。
悔しさが溢れる大希だったが、どこからか視線を感じた気がした。
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