Time Synchronicity
EP8.片想い
「美月!やっと会えた!」
感動のあまり美月を抱きしめようとする大希に向かって、美月は邪険な顔をして答えた。
「お前誰だよ?」
その瞬間、ハッとして大希は目を覚ました。
起きる予定だった30分前に、全身汗びっしょりで飛び起きたのだった。
「なんだ・・・夢か・・・」
この夢が予知夢なのか大希の心配から起こった夢なのかはわからない。
「けど実際・・・会ったところで他人だもんな・・・」
夢によって現実を実感した大希だった。
嫌な夢を見た大希だったが、それでも仕事へは向かわなければならない。
授業を行いながら常に考えていたことは『会えたとしてどうしよう』ということだけだ。
現在、大希が美月と会えたとしても他人同士だ。
そこで、どんな声をかければ自然とつながりを持てるのかを考えていた。
「未来が変わっている可能性があるんだから、会えるとも限らない。何かしら行動を起こさなきゃいけないな・・・」
大希は美月が通っている学校へ行こうとした。
しかし、美月は高校時代に帰宅部だったこともあり、部活の顧問を受け持っている大希が下校中の美月を待ち伏せることなど不可能だった。
「どこかでうちが休みのときでも狙わない限り、難しいかなぁ・・・」
そんな時、職員室がざわつき始めた。
聞き耳をたてると、他校生がうちの学校の入り口で校内を覗いていたとのことだった。
「昔は学校に乗り込んでくるなんてこともあったけど・・・今時ないよな・・・」
大希が呟くと、隣の席の高杉が詳細を教えてくれた。
「どうやら女子生徒らしいですから殴り込みではないみたいですね。恋愛のもつれか、どっかの部活動のファンなんでしょう。」
「ファンですか!?そんなに強い部活もなかったような・・・」
大希が疑問を持ちながら聞き返す。
「強くなくても外見だけでファンができることもあるんじゃないですか?けど、その女子生徒はすぐいなくなったようなのでトラブルにならずに済みましたね。」
高杉がホッとした表情で教えてくれた。
「それはよかったですね」
高杉は面倒見は良いが、少々話を長くしてしまう癖があった。
大希は適当なことで会話を切り上げ、次の授業へ向かった。
しかし、ずっと考えていることはどう美月を探そうかということだけだった。
「こうなったら休みでも取るしかないかな・・・」
自動車学校の申し込みもあるので、大希はどこかで休みを取ろうとしていた。
申し込みの後に美月を探しに行こうという計画だ。
しかし、相手は大希のことを知らないはずだ。
これは、完全にストーカー行為と相違ない。
「今回は確認するだけかな?もしかするとずっとこのままかもしれないが、それはそれで仕方ないか・・・」
少し諦めた大希だったが、念のため年休申請を提出しに行った。
授業の振替など、有給休暇を使用するにはかなりの手間を要するのだった。
一通りの手続きを終えて、平日休みを確保した大希だった。
「このままじゃストーカーだな・・・何か方法を考えなければ、一生片想いで人生を終えることになるぞ?」
大希は美月と付き合うようになり、本当に人を好きになるとはどういうことかを知った。
もちろん、前の彼女の莉緒のことも好きではあったが、決定的に何かが違っていた。
美月のためであればなんだってできると確信していた大希は、愛と恋の違いについて実感したようだった。
恋に覚悟はいらない。
愛には覚悟が伴う。
そんなことを感じていた矢先のことだった。
もし美月と付き合うのが5年後だとしても構わない。
しかし、未来にズレが生じている今、美月と出会えない可能性もある。
そうなってしまうと、出会っていない人に一生片想いを続けるしかない状態なのだ。
「まずは行動を起こすしかないな・・・」
美月を一目見るだけで良いと自分に言い聞かせながら、申請した休日を待つしかない大希だった。
感動のあまり美月を抱きしめようとする大希に向かって、美月は邪険な顔をして答えた。
「お前誰だよ?」
その瞬間、ハッとして大希は目を覚ました。
起きる予定だった30分前に、全身汗びっしょりで飛び起きたのだった。
「なんだ・・・夢か・・・」
この夢が予知夢なのか大希の心配から起こった夢なのかはわからない。
「けど実際・・・会ったところで他人だもんな・・・」
夢によって現実を実感した大希だった。
嫌な夢を見た大希だったが、それでも仕事へは向かわなければならない。
授業を行いながら常に考えていたことは『会えたとしてどうしよう』ということだけだ。
現在、大希が美月と会えたとしても他人同士だ。
そこで、どんな声をかければ自然とつながりを持てるのかを考えていた。
「未来が変わっている可能性があるんだから、会えるとも限らない。何かしら行動を起こさなきゃいけないな・・・」
大希は美月が通っている学校へ行こうとした。
しかし、美月は高校時代に帰宅部だったこともあり、部活の顧問を受け持っている大希が下校中の美月を待ち伏せることなど不可能だった。
「どこかでうちが休みのときでも狙わない限り、難しいかなぁ・・・」
そんな時、職員室がざわつき始めた。
聞き耳をたてると、他校生がうちの学校の入り口で校内を覗いていたとのことだった。
「昔は学校に乗り込んでくるなんてこともあったけど・・・今時ないよな・・・」
大希が呟くと、隣の席の高杉が詳細を教えてくれた。
「どうやら女子生徒らしいですから殴り込みではないみたいですね。恋愛のもつれか、どっかの部活動のファンなんでしょう。」
「ファンですか!?そんなに強い部活もなかったような・・・」
大希が疑問を持ちながら聞き返す。
「強くなくても外見だけでファンができることもあるんじゃないですか?けど、その女子生徒はすぐいなくなったようなのでトラブルにならずに済みましたね。」
高杉がホッとした表情で教えてくれた。
「それはよかったですね」
高杉は面倒見は良いが、少々話を長くしてしまう癖があった。
大希は適当なことで会話を切り上げ、次の授業へ向かった。
しかし、ずっと考えていることはどう美月を探そうかということだけだった。
「こうなったら休みでも取るしかないかな・・・」
自動車学校の申し込みもあるので、大希はどこかで休みを取ろうとしていた。
申し込みの後に美月を探しに行こうという計画だ。
しかし、相手は大希のことを知らないはずだ。
これは、完全にストーカー行為と相違ない。
「今回は確認するだけかな?もしかするとずっとこのままかもしれないが、それはそれで仕方ないか・・・」
少し諦めた大希だったが、念のため年休申請を提出しに行った。
授業の振替など、有給休暇を使用するにはかなりの手間を要するのだった。
一通りの手続きを終えて、平日休みを確保した大希だった。
「このままじゃストーカーだな・・・何か方法を考えなければ、一生片想いで人生を終えることになるぞ?」
大希は美月と付き合うようになり、本当に人を好きになるとはどういうことかを知った。
もちろん、前の彼女の莉緒のことも好きではあったが、決定的に何かが違っていた。
美月のためであればなんだってできると確信していた大希は、愛と恋の違いについて実感したようだった。
恋に覚悟はいらない。
愛には覚悟が伴う。
そんなことを感じていた矢先のことだった。
もし美月と付き合うのが5年後だとしても構わない。
しかし、未来にズレが生じている今、美月と出会えない可能性もある。
そうなってしまうと、出会っていない人に一生片想いを続けるしかない状態なのだ。
「まずは行動を起こすしかないな・・・」
美月を一目見るだけで良いと自分に言い聞かせながら、申請した休日を待つしかない大希だった。
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