オルトロス・ノエル
魔力測定をしたが…
教室に帰り朝礼が終わると、授業開始の鐘が鳴り響いた。
俺達シルバー1-1は担任のリューク先生に連れられ、さっきまで来ていたグラウンドに集まっていた。
「それじゃあ各々の実力把握の為、実技テストを行う。あくまで互いの実力を知るためのテストなので成績には影響が無いので悪しからず」
それじゃあ最初は魔力テストだと少し移動すると、グラウンドの反対側にある魔法実習塔にやってきた。
塔と名前についているが、塔のように縦に長い建物は一番奥に見えている建物だけで目の前には校舎と同等の大きさを誇る巨大な建物が立ち並んでいた。
そしてアーケードのようになっている道を進むと、右手側に一際目立つ建物があった。それはまるで教会のような風貌で、太陽の光で輝くステンドグラスが神秘的だった。
その建物の中に入ると、外見に反して正面には苔むした岩が幾つも転がっているだけだった。
しかし、その岩石群の中心にある一際大きな岩には透明に輝く宝石が嵌め込まれていることに気づいた。生徒たちも一体ここは何なんだとざわつき始めた頃にリューク先生が話し始めた。
「この岩石群は只の岩じゃなく、過去の賢者が作り上げた魔力とその属性を測る、れっきとした魔導具だ。そして彼の偉大な勇者の膨大な魔力をも推し量ることの出来た唯一の測定器でもある。その正確さと容量はお墨付きだ」
流石にその凄さを理解した生徒たちはおぉ…と感嘆の声を洩らしていた。
概要としては周りの岩石群も只の岩では無く一つ一つが魔石で計15個転がっており、計測者の力に応じて光る範囲が変わるとの事。文献によると全てを光らせたのは勇者ただ一人のみ。かつては13個まで光らせる猛者も数人居たみたいだが、現在は学長のみらしい。
というかあの学長、やっぱり凄い人なのか。
「それじゃあ自信のある者からどんどん計測していけ〜」
「は〜〜い。私、私!シルヴィが最初にやるよぉ〜!」
そう言って早速前に躍り出たのは女子生徒、シルヴィ。
キラキラとした大きな目にピンクのふわふわとした髪の毛の少しやんちゃで可愛らしい見た目に反して、彼女の格闘術は凄まじいらしい。
宝石の嵌っている岩の前にぴょんぴょんと跳ねて来ると、「えいっ」とその宝石を触った。
少しの間のあとシルヴィの触れている苔むした岩が色が変わり始めた。全体的に薄緑のクリスタルになると、そこからそよ風が溢れ出てきた。
あまりの変化に生徒たちも目を更にして見ていた。
そして完全に一個目の魔石の変化が起こると、次は2つめの魔石が薄緑の有色透明なクリスタルに変わり始めた。
その美しい変化は3つ4つと変わると、5つ目に差し掛かったところで変化が止まった。
「シルヴィ・アンヴァッカは4つ、と」
「リューク先生、これって凄い?凄い?!」
「平均レベルだ」
「え〜つまんな〜い」
シルヴィはぶちぶちと文句を垂れつつみんなの方に帰ってきた。その様子を後ろから見ていたリューク先生は説明した。
「今全員見たな?この様に周辺の魔石が使用者に反応して魔力を推し量る。因みに4つが平均だと言ったが、5つ目からはその魔石の抵抗値が1個ずつ凄まじく増えていく。例を上げるなら4つ目までの魔石を光らせる為に魔力が100必要とされるなら、5つ目を光らせるには200程度の魔力が必要となる」
「何それ〜!2倍ぢゃん!!」
「そうだ。だから4個までしか光らなかった生徒は後日放課後に精密な魔力量測定があるからな」
『えぇぇえ〜!!!』
放課後という自由時間を使わなければならないかも知れないと知った生徒達は不満の声を揃って上げた。
「とにかく、どんどん全員計測していけ」
******************
「ラスト2人だな。時間も押してるしさっさと済ませるぞ」
クラスメイト達はどんどんその装置に手を触れて測定していった。やはりと言うべきかここに来るまでの生徒全員が明るさは違えど4つまでしか光らせていなかった。
5つ以降と言うのがどれだけ高い壁か伺える。
そして残すところ俺と無口なシモンの二人だけとなった。
彼からは動く気配がしなかったので俺から装置に向かおうとしたのだが、シモンはスタスタと装置に向かって軽く触れた。
その瞬間。
古ぼけた教会の様な室内が真っ黒な靄に包まれた。
生徒達は混乱していたがそれでもこの結果が気になるのか、装置の台座に目を向けた。
『────なっ!!!!』
台座の周辺にあった魔石はドス黒い禍々しい光を放っていた。それは闇属性という発現率の極めて低い属性の印。そして何より光る魔石の数は。
光を放つのは13個の魔石。
あの賢者と言わしめた学長と同等の魔力量だった。
しかしそんな事は如何でもいいという様な、どこまでもいつも通りな彼はふっと手を離すと元いた場所、俺の近くまで戻ってきた。
そして俺を見て、
「次。行けば?」
それだけいうと彼は台座の方を向き、観客側に回った。
この気まずい雰囲気の中、俺に前に出ろと言うのかこの無口野郎は。
クラス全体の熱冷めきらない中、しれっと俺も計測してぱぱっと終わらせるかと開き直り、台座の前に立った。
今の今まで騒いでいたのに俺が触ろうとした途端にクラスメイト達は静まった。
一体何なんだと溜息を1つ。台座に手を置くと。
じわじわと魔石達が変化を始めた。
石のような色をしていた魔石が、俺の魔力によって透明度の高いクリスタルに染まっていく。周りの生徒たちも、それがなんの魔力なのかを理解しまたざわつく。
2個目、3個目、4個目とゆっくりとどんどんクリスタルに変化していく。
5個、6個、7個。その変化はまだまだ止まらない。
8、9、10、11、12。
どこからかヒュッと息を飲み込む声が聞こえる。
13、14────
「────あ、ありえん」
そう言ったのは誰だったか。
俺の魔力に反応して変化した魔石の数、15。
 
更には前例の無い台座までもがクリスタル化していた。
俺達シルバー1-1は担任のリューク先生に連れられ、さっきまで来ていたグラウンドに集まっていた。
「それじゃあ各々の実力把握の為、実技テストを行う。あくまで互いの実力を知るためのテストなので成績には影響が無いので悪しからず」
それじゃあ最初は魔力テストだと少し移動すると、グラウンドの反対側にある魔法実習塔にやってきた。
塔と名前についているが、塔のように縦に長い建物は一番奥に見えている建物だけで目の前には校舎と同等の大きさを誇る巨大な建物が立ち並んでいた。
そしてアーケードのようになっている道を進むと、右手側に一際目立つ建物があった。それはまるで教会のような風貌で、太陽の光で輝くステンドグラスが神秘的だった。
その建物の中に入ると、外見に反して正面には苔むした岩が幾つも転がっているだけだった。
しかし、その岩石群の中心にある一際大きな岩には透明に輝く宝石が嵌め込まれていることに気づいた。生徒たちも一体ここは何なんだとざわつき始めた頃にリューク先生が話し始めた。
「この岩石群は只の岩じゃなく、過去の賢者が作り上げた魔力とその属性を測る、れっきとした魔導具だ。そして彼の偉大な勇者の膨大な魔力をも推し量ることの出来た唯一の測定器でもある。その正確さと容量はお墨付きだ」
流石にその凄さを理解した生徒たちはおぉ…と感嘆の声を洩らしていた。
概要としては周りの岩石群も只の岩では無く一つ一つが魔石で計15個転がっており、計測者の力に応じて光る範囲が変わるとの事。文献によると全てを光らせたのは勇者ただ一人のみ。かつては13個まで光らせる猛者も数人居たみたいだが、現在は学長のみらしい。
というかあの学長、やっぱり凄い人なのか。
「それじゃあ自信のある者からどんどん計測していけ〜」
「は〜〜い。私、私!シルヴィが最初にやるよぉ〜!」
そう言って早速前に躍り出たのは女子生徒、シルヴィ。
キラキラとした大きな目にピンクのふわふわとした髪の毛の少しやんちゃで可愛らしい見た目に反して、彼女の格闘術は凄まじいらしい。
宝石の嵌っている岩の前にぴょんぴょんと跳ねて来ると、「えいっ」とその宝石を触った。
少しの間のあとシルヴィの触れている苔むした岩が色が変わり始めた。全体的に薄緑のクリスタルになると、そこからそよ風が溢れ出てきた。
あまりの変化に生徒たちも目を更にして見ていた。
そして完全に一個目の魔石の変化が起こると、次は2つめの魔石が薄緑の有色透明なクリスタルに変わり始めた。
その美しい変化は3つ4つと変わると、5つ目に差し掛かったところで変化が止まった。
「シルヴィ・アンヴァッカは4つ、と」
「リューク先生、これって凄い?凄い?!」
「平均レベルだ」
「え〜つまんな〜い」
シルヴィはぶちぶちと文句を垂れつつみんなの方に帰ってきた。その様子を後ろから見ていたリューク先生は説明した。
「今全員見たな?この様に周辺の魔石が使用者に反応して魔力を推し量る。因みに4つが平均だと言ったが、5つ目からはその魔石の抵抗値が1個ずつ凄まじく増えていく。例を上げるなら4つ目までの魔石を光らせる為に魔力が100必要とされるなら、5つ目を光らせるには200程度の魔力が必要となる」
「何それ〜!2倍ぢゃん!!」
「そうだ。だから4個までしか光らなかった生徒は後日放課後に精密な魔力量測定があるからな」
『えぇぇえ〜!!!』
放課後という自由時間を使わなければならないかも知れないと知った生徒達は不満の声を揃って上げた。
「とにかく、どんどん全員計測していけ」
******************
「ラスト2人だな。時間も押してるしさっさと済ませるぞ」
クラスメイト達はどんどんその装置に手を触れて測定していった。やはりと言うべきかここに来るまでの生徒全員が明るさは違えど4つまでしか光らせていなかった。
5つ以降と言うのがどれだけ高い壁か伺える。
そして残すところ俺と無口なシモンの二人だけとなった。
彼からは動く気配がしなかったので俺から装置に向かおうとしたのだが、シモンはスタスタと装置に向かって軽く触れた。
その瞬間。
古ぼけた教会の様な室内が真っ黒な靄に包まれた。
生徒達は混乱していたがそれでもこの結果が気になるのか、装置の台座に目を向けた。
『────なっ!!!!』
台座の周辺にあった魔石はドス黒い禍々しい光を放っていた。それは闇属性という発現率の極めて低い属性の印。そして何より光る魔石の数は。
光を放つのは13個の魔石。
あの賢者と言わしめた学長と同等の魔力量だった。
しかしそんな事は如何でもいいという様な、どこまでもいつも通りな彼はふっと手を離すと元いた場所、俺の近くまで戻ってきた。
そして俺を見て、
「次。行けば?」
それだけいうと彼は台座の方を向き、観客側に回った。
この気まずい雰囲気の中、俺に前に出ろと言うのかこの無口野郎は。
クラス全体の熱冷めきらない中、しれっと俺も計測してぱぱっと終わらせるかと開き直り、台座の前に立った。
今の今まで騒いでいたのに俺が触ろうとした途端にクラスメイト達は静まった。
一体何なんだと溜息を1つ。台座に手を置くと。
じわじわと魔石達が変化を始めた。
石のような色をしていた魔石が、俺の魔力によって透明度の高いクリスタルに染まっていく。周りの生徒たちも、それがなんの魔力なのかを理解しまたざわつく。
2個目、3個目、4個目とゆっくりとどんどんクリスタルに変化していく。
5個、6個、7個。その変化はまだまだ止まらない。
8、9、10、11、12。
どこからかヒュッと息を飲み込む声が聞こえる。
13、14────
「────あ、ありえん」
そう言ったのは誰だったか。
俺の魔力に反応して変化した魔石の数、15。
 
更には前例の無い台座までもがクリスタル化していた。
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