オルトロス・ノエル
鍛錬の日々
あの日から8年という決して短くない月日が経った。
15歳になった俺は、やはり相も変わらずひたすらに己を追い詰めた。
この8年でなにが変わったかと言うとまず屋敷での扱いがより一層酷くなった。
あの日までは嘲りの目線も絶えずに俺に敢えて聞こえるように罵詈雑言を浴びせるだけで済んでいたが、普通に暴力も振るわれるようになった。
そして遂には全員に完全に“居ない物”として扱われるようになった。当然居場所も無いし食べ物も出されなかった。
なので居心地の悪い屋敷を出てすぐ近くの森に自分で拠点も建て、食料も自分で狩って調理もした。
服に至っても元々持っていた分は大事に保管しておいて普段は狩った獣の毛皮を着ていた。
一応、国の法では“子供は16歳になるその時まで育てなければならない”という事が決められていたが生憎俺は生まれてこの方育てられたという記憶はない。
すべての事を自分でしてきたし、手も借りようなどと思った事は一度だってない。
それがあの日を境に更に酷い扱いになってからは半分ヤケになって、それまでやってきた鍛錬も更に苛烈を極めるようなものになっていった。
7歳までは素振りから筋トレ、魔力を練る、獣での実戦などやってきたが、鑑定の儀の日のあとからはそれまでやってきた鍛錬に加え魔物と呼ばれる体内に魔力を宿す獣との実戦も始めた。
魔物は魔力を持っているので魔法を使ってくるのでかなり厄介だった。
最初の頃はレッサーウルフという見た目は狼の魔物をよく狩った。
身体強化をしていてかなりの速度で走り回り時々爪で引っ掻いてきたり体当たりをしてきたりなど、単調な動きな魔物だったので目を慣らすのによく相手にした。
時々、その上位種であるウルフハウンドに会い、文字通り死闘も繰り広げた事など数え切れないほどある。
治療なども自分でしなければいけないので初めてウルフハウンドに出くわして瀕死の傷を負った時は数日に渡り痛みで眠れない夜を過ごした。
屋敷の中で暮らしていた時に身につけた薬草の知識がなければ今頃この世に俺は居なかっただろう。
屋敷の近くの森には様々な魔物が生息している。
その辺に生えている草木一本まで神経を尖らせていないとすぐに襲われる。
まだ一度しか見かけた事は無いがスコーピオという蠍型の魔物の毒を試したくて狩ってきた熊に毒針を刺してみたら数分でドロドロに溶け出したのを見た時は流石に戦慄した。
あんな毒にやられれば薬草など無に等しい。
他にもゴブリンやオーガなども偶に相手をしたがかなり厄介だった。下手に知能を持っているのですぐに倒せずに長期戦になればなるほどどんどん倒せなくなっていくのだ。
他にももっと凶悪な魔物は大量にいたが全部思い出すとキリがない。
そんなこんなでまぁ大凡の人間は体験していないだろう人生を今日まで歩んできた。
今日も今日とて鍛錬に勤しむかと屋敷の池の水で顔を洗い、庭の方で素振りをしていると屋敷の方からこちらに誰か来る気配がした。
そいつは。
「ジュディ……?」
「気安く名前呼ばないでくれる?ノエル」
数年ぶりに見る弟だった。
俺も15になり更には毎日血が滲むような鍛錬をしているので、自分で言うのも何だが無駄のない筋肉が付き、肌には小さな傷跡から大きな傷跡もある。身長も気にしていなかったが170cmはある筈だ。
髪もほぼ切っていないので邪魔なので左の方は編んで垂らしている。
俺と同様に弟も15になって大人の体に近づいていた。
身長は俺とほぼ変わらない。髪の毛は記憶にある金髪のままだったがその手に持つ高価そうな杖と魔法使いらしい黒を貴重とした大きなローブを羽織っていた。
髪型も短めに切りそろえ、パッと見だけなら王子と言われても違和感がない、それくらいに清潭な顔つきになっていた。
「こんな俺のもとに何の用だ?」
「ふふっ、勿論明後日が何の日か分かるよね?」
「………ああ」
忘れるわけがない。なにせ────
「────16歳の誕生日だからな」
「そう。それでね、僕は国立サンドロス学園に通うんだけど、ノエルは家を追われることがもう数年も前から決まってるんだ♪」
「…言われずとも知っている」
「そこでね、話変わるけど、学園に行ったら3年間は寮生活で当分は帰ってこれないのさ。僕のこれまでの成果を父上に見せたいからさ、明後日。提案なんだけど」
ジュディは一旦間を置いて爽やかにニコリと微笑むと、
「僕と、戦ってくんない?」
15歳になった俺は、やはり相も変わらずひたすらに己を追い詰めた。
この8年でなにが変わったかと言うとまず屋敷での扱いがより一層酷くなった。
あの日までは嘲りの目線も絶えずに俺に敢えて聞こえるように罵詈雑言を浴びせるだけで済んでいたが、普通に暴力も振るわれるようになった。
そして遂には全員に完全に“居ない物”として扱われるようになった。当然居場所も無いし食べ物も出されなかった。
なので居心地の悪い屋敷を出てすぐ近くの森に自分で拠点も建て、食料も自分で狩って調理もした。
服に至っても元々持っていた分は大事に保管しておいて普段は狩った獣の毛皮を着ていた。
一応、国の法では“子供は16歳になるその時まで育てなければならない”という事が決められていたが生憎俺は生まれてこの方育てられたという記憶はない。
すべての事を自分でしてきたし、手も借りようなどと思った事は一度だってない。
それがあの日を境に更に酷い扱いになってからは半分ヤケになって、それまでやってきた鍛錬も更に苛烈を極めるようなものになっていった。
7歳までは素振りから筋トレ、魔力を練る、獣での実戦などやってきたが、鑑定の儀の日のあとからはそれまでやってきた鍛錬に加え魔物と呼ばれる体内に魔力を宿す獣との実戦も始めた。
魔物は魔力を持っているので魔法を使ってくるのでかなり厄介だった。
最初の頃はレッサーウルフという見た目は狼の魔物をよく狩った。
身体強化をしていてかなりの速度で走り回り時々爪で引っ掻いてきたり体当たりをしてきたりなど、単調な動きな魔物だったので目を慣らすのによく相手にした。
時々、その上位種であるウルフハウンドに会い、文字通り死闘も繰り広げた事など数え切れないほどある。
治療なども自分でしなければいけないので初めてウルフハウンドに出くわして瀕死の傷を負った時は数日に渡り痛みで眠れない夜を過ごした。
屋敷の中で暮らしていた時に身につけた薬草の知識がなければ今頃この世に俺は居なかっただろう。
屋敷の近くの森には様々な魔物が生息している。
その辺に生えている草木一本まで神経を尖らせていないとすぐに襲われる。
まだ一度しか見かけた事は無いがスコーピオという蠍型の魔物の毒を試したくて狩ってきた熊に毒針を刺してみたら数分でドロドロに溶け出したのを見た時は流石に戦慄した。
あんな毒にやられれば薬草など無に等しい。
他にもゴブリンやオーガなども偶に相手をしたがかなり厄介だった。下手に知能を持っているのですぐに倒せずに長期戦になればなるほどどんどん倒せなくなっていくのだ。
他にももっと凶悪な魔物は大量にいたが全部思い出すとキリがない。
そんなこんなでまぁ大凡の人間は体験していないだろう人生を今日まで歩んできた。
今日も今日とて鍛錬に勤しむかと屋敷の池の水で顔を洗い、庭の方で素振りをしていると屋敷の方からこちらに誰か来る気配がした。
そいつは。
「ジュディ……?」
「気安く名前呼ばないでくれる?ノエル」
数年ぶりに見る弟だった。
俺も15になり更には毎日血が滲むような鍛錬をしているので、自分で言うのも何だが無駄のない筋肉が付き、肌には小さな傷跡から大きな傷跡もある。身長も気にしていなかったが170cmはある筈だ。
髪もほぼ切っていないので邪魔なので左の方は編んで垂らしている。
俺と同様に弟も15になって大人の体に近づいていた。
身長は俺とほぼ変わらない。髪の毛は記憶にある金髪のままだったがその手に持つ高価そうな杖と魔法使いらしい黒を貴重とした大きなローブを羽織っていた。
髪型も短めに切りそろえ、パッと見だけなら王子と言われても違和感がない、それくらいに清潭な顔つきになっていた。
「こんな俺のもとに何の用だ?」
「ふふっ、勿論明後日が何の日か分かるよね?」
「………ああ」
忘れるわけがない。なにせ────
「────16歳の誕生日だからな」
「そう。それでね、僕は国立サンドロス学園に通うんだけど、ノエルは家を追われることがもう数年も前から決まってるんだ♪」
「…言われずとも知っている」
「そこでね、話変わるけど、学園に行ったら3年間は寮生活で当分は帰ってこれないのさ。僕のこれまでの成果を父上に見せたいからさ、明後日。提案なんだけど」
ジュディは一旦間を置いて爽やかにニコリと微笑むと、
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