覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

バーベキュー

 みくるに一言謝ったあと10本くらい俺発の炎系魔法により、バーベキュー用に炭をこしらえ手製でコンロも準備した。
「余ってる薪はキャンプファイヤーに使って、みんなで囲んでゆっくり会話でもする事にしよう」
「あ、いいですね〜それ、キャンプと言えばってやつですもんね」
 俺と治志でキャンプファイヤーの準備をして、みくるとリアーネで食器や飲み物の準備をする。
「野菜の準備はできたよ源九郎」
泉音とルカリが大皿に入れた野菜を運んでくれた。
「肉もOKだよ〜」
ミーコとミニョルが程なく肉を運んで来たがその量に驚く。山のような肉、いや山は山でもエベレスト級の肉の山である。何てったって猪と熊を一頭ずつまるまるだもんな。
「量に驚いてるようだが、オレとミーコが本気を出せば恐らく全部食べ尽くせるぜ」
 小さい身体のミニョルが頼もしいことを言ってくれる。人間ではまず無理な量だが、ひょっとしたらグレムリンとケット・シーが居ればこれだけの量の肉も、残して無駄にしてしまう事は無いのかも。
 余計な心配をよそにバーベキューの準備が整った。
 大量の肉から焼いていく、ジューッと食欲を増進させる音。幸いメンバーには肉を食べられない者がいない。みんな大好きなようだ。
 衛生上怖いのでしっかり焼いていくが、一枚一枚がステーキ並の厚さと大きさに切ってあるから通常より焼きに時間が掛かってしまう。
 調味料はタレ、塩、コショウ、醤油などを持参してある。
 やばいヨダレが出そう。目の前の熊肉が食べ頃になったので受け皿に移すが、肉が皿から半分くらいハミ出ている。一発目はタレで食すと決めていた。たっぷりとかけて口に運び噛みちぎったが普段食べている肉と比べるとやや硬い。だが美味!
「うっまぁ〜っ!初めて食ったけど熊って美味いんだな〜。よくぞ狩ってくれたミーコとミニョル!」
 俺だけでなく全員が熊肉、猪肉を絶賛し、ミーコとミニョルに感謝していた。
 褒めちぎられて二人の狩人は顔を赤くして照れている。特に強面なグレムリンのこの表情は画像に残したいくらいだ。
 午後の死ぬほどきつい模擬戦の後だけに、みんな飲み込むようにバクバク食べている。その中でもみくるの食べっぷりは目を見張るものがあった。今の状態なら日本で大食いチャンピオンになれるのではないか。
「ハイハイみんな肉ばっかり食べないで、バランスを考えて野菜も食べるんですよ」
 泉音が母親のように言いながら網の上に野菜をどっさりのせていく。
「野菜と肉を一緒に食べると美味しいさがますよね〜」
 と言いながら、まだほとんど焼けてないキャベツで肉を包んでヒョイっと口に詰め込む。頬っぺたがリスな瀬戸みくる爆食女王の爆誕だ。

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