覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

いただきます

「はいローストポーク!」
早い!もう2品目の出来上がり。これも間違いなく美味しそう。
 俺は白ごはんの確認と取り皿の準備を始める。いつもミーコと二人で食事しているテーブルでは狭すぎるのは必然、なのでもう一つテーブルは用意しておいた。
 ナイフ、フォーク、ワイングラス、飲み水用のグラス、食事に必要な物を揃えていく。
「泉音の飲み物はワインで大丈夫かな?」
呑めないとか洒落にならんので確認する。
「ありがとう!ワインは大好きなんだ〜」
良かったお好きで何より。妖精の二人はどうするかな...
「ミーコとルカリは飲み物は何がいい?」
「あちしはコーラ!の後にお酒〜」
「私は何でも良いのでお酒が良いです〜」
「了解!コーラも酒もたっぷりあるぞ!」
エルフってお酒好きか!?ハンパない酒豪だったら怖いな。
「はい最後の1品!牛肉の味噌風味たたき」
和風でやはり美味そう。
「お疲れさま!泉音!」
親指を突き出しグッジョブポーズする俺。
「時間が無くて簡単な料理ばかりでごめんね」
「何をおっしゃいますやら、全部美味そうでヨダレが出そうだよ」
ちょっと品のない返しだったかな。
「ホットプレートも準備完了です!」
「ありがと妖精さん達!」
飲み物をそれぞれグラスに注ぎ、4人が料理の並べられたテーブルへ集まった。
どうやら泉音が乾杯の挨拶をしてくれるらしく、ワインの入ったグラスを片手に立ち上がる。
「ではでは、皆さんお待たせ致しました。今宵のこの席は、明日から開業する源九郎人生相談所の前祝いと親睦を深めるためのものとなっております。えーと、長々と話してもつまらないのでそろそろ始めましょう!皆さんとの出逢いと源九郎人生相談所の開業を祝してかんぱーい!」
「かんぱーい!」「乾杯!」「かんぱい〜!」
泉音の作ってくれた料理の味は、3品ともかなりのレベルで「お店かよ」と言いたくなるほど美味かった。
みんなモリモリ食べて楽しそうに会話する。ルカリのワインをの飲むペースが気になるが、大量に買い込んだので大丈夫だろう。
 料理が半分以上4人の胃袋に収まったくらいで泉音の方に目をやると、酒がまわって白い肌がほんのり赤くなっていた。だが眉間にシワをを寄せて何やら考え事をしているように見える。
「どうした泉音、何か悩み事でもあるのか?」
「悩み事じゃないよ。源九郎に伝えなきゃって思ってた事を忘れちゃったんだよね。なんだったかな〜」
「そっか、じゃあ思い出したら教えてくれ。まぁ無理に思い出さなくてもそのうち思い出すさ。今はこの場を楽しもう!」
「そうだね!緊急を要する事でもなかったはずだし楽しまなきゃね〜」
余程の事なら来て早々に話してただろうし大丈夫だろ。ついでに補足しておく、ほろ酔いの泉音も魅力的だと。

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