覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

リトライ

「あぁ思い出した」
スタートの仕方と止め方は教えたが、止めるタイミングを教えて無なかったな...
「いいか〜ミーコ、次は目の前の白線に俺が到達した瞬間にストップウォッチを止めてくれ!」
「わかった〜」
 気を取り直してスタート地点に向かい息を整える。
「いいぞ〜!」
俺は手を振って合図する。
「よ〜い、ドン!」
 さっきと同じくらい良いスタートが切れた。スピードも上がった!
「疾風のように駆けるとはこういう事だーーーっ!」
また言ってる間にゴールし、さっきより上手く止まれた。
「ミーコ〜タイムは!」
「7秒37〜!」
「はぁ!?間違い無いのか?」
「あちしの動体視力を侮るな〜間違い無いよ〜♡」
マ、マジか!?世界記録を2秒以更新して人類史上最速の人間になってしまった。しかも履いてる靴は安物のスニーカーときている。
「こ、これはただ事では無いなぁ〜、もはや人間かどうか怪しまれるレベルだ」
俺は少し怖くなった。だが高揚感が優っている。
「でも確かに人間としては速いけど、あちしの方が断然速いよ〜」
この人類史上最速の人間を相手に大したことを言ってくれる猫娘だ。
「ほほう、聞き捨てならないなぁ。よかろう勝負だ!」
「いいよ〜負けても泣かないでね〜」
誰が泣くか!と思いつつ、一緒にスタート地点に並ぶ。
「ハンデとして源九郎がスタート言っていいよ」
完全に舐めてやがるな。絶対に勝ってやる!
「じゃあいくぞ!」
「あい!」
「よーい、スタート!」
ドヒュン!という音だけを残してミーコは俺を置き去りにし、50m以上の差をつけゴールしてしまった。
「ちょっとは見直したぁ?」
「あははは〜やっぱ妖精さんて凄いな〜」
俺の目からちょっぴり悔し涙が出ていた。   もうミーコとは体力勝負などするものか!
「次だ次〜!」
気持ちを切り替え、他に3種目やってみた。記録は次の通り。
○走り幅跳び 11m 45  世界新!
○走り高跳び 4m22    世界新!
○砲丸投げ  30m84  世界新!
うむ、どうやら身体能力だけで言えば人類史上最高の人間になってしまったようである。飛躍的にUPするにも程があるというものだが...
 あれ?”身体能力UP“って確か蓮君のスキル選択肢にもあったよな。もし、それを覚醒させていたら...このスキル相当やばい。使用には十分気をつけよう。
「ミーコ〜そろそろ引き上げよう」
「はい水分補給のポカ○」
元の姿に戻ったミーコから受け取り、飲みながら競技場の出口へ歩いていると、ふと上空に気配を感じそちらへ視線を向ける。
 光の玉がもの凄いスピードでこっちへ向かって来た!
「なっ!?」
光の玉は俺の目の前でピタッと止まり、眩い光を放ち和風の服を着た美女が現れ話しかけてきた。
「我が名は天照、御主は本当に人間か?」

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