覚醒屋の源九郎 第一部

流川おるたな

本題

 人間の子供も可愛いが、猫娘はもっと可愛いいのではないか!?などと考えている場合では断じてない!本題に入らなければ...
「まずは、“婚姻契約みたいなもの”と言っていたが、詳しく教えてくれるか?」
婚姻はほとんどの人にとっても重要な事であると思うが、俺の人生でも例外ではない。
「ん〜、厳密に言うと人間界での“婚姻”とはもちろん違うよ。でも命を懸けた契約である事は間違いないかな〜」
「命懸け!?そんな重い契約を俺の同意なく一方的に結んだのか?」
「そこはごめん、あちし(私)との契約はもはや“天災”って言うのは嫌だけど、“抗えないもの”だと理解して欲しい」
「運が無かったという事か...」
「まぁそういうことなんだけど。“運が無かった”というのはちょっと酷いんじゃないかなぁ...」
ミーコを少し傷つけてしまったようで、モジモジして俯いてしまった。
 大失態だ...俺は数時間前まで自暴自棄になっていたではないか!ミーコとの出会いがあったからこそ、人助けしようという気持ちになり、ささやかな幸福感を持って夕食を美味しく食べられるまでに回復したではないかぁぁ!
「本当にごめん!今日はミーコに救われた。逆に運が良かったのかも知れない」
ミーコに見えていないが、俺は深々と頭を下げ謝った。
「うん、許す♡」
あっさりと笑顔を取り戻した猫娘は、こちらを振り向き抱きついて来た。
「良い機会だからあちしのスキルを一つお披露目するね〜」
「メタモフォシス!」
「ポワン」という擬音と共に煙が出て視界が見えなくなったかと思うと、膝上のミーコが急に重くなり、首元に何やら懐かしい極上の柔らかさを感じた。
 煙が晴れ、目に飛び込んで来たのは大人の姿のミーコだった。面影は残しつつ、見事に「可愛い」から「美人」に変貌を遂げている。
「どうかなぁ?大人のあちし♡」
「美人で素敵...だな」
素直に言葉が出るほど見惚れてしまった。
(ピンポーン)
 このままだと俺の理性がががというところで、部屋に来客を知らせる呼び出し音が鳴り響いた。

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