異世界になったこの世界を取り戻す

文戸玲

時空を超えて③~死神のジャン~

「確かに,おれをそう呼ぶやつもいるな」
「ええ,この世界にはいないかもしれないけどね」

 この世界にはいない? どういうことだ。チチカカが興奮したように声を上げた。

「死神のジャン!? あんたがか? これはそそるわねえ。ぜひ手合わせを願いたいわあ。できればあなたの代名詞の首切りカマで頭を斬り落としてちょうだい♡」

 頭を抱えてさも嬉しそうにチチカカはわめいている。どういうことだ,とバオウがジャンににじみ寄った。

「どうにもこうにも,頭がイっちゃってるやつが揃っているんだからおれにも訳が分かんねえよ。それより,まずはあのペンダントが先じゃないのか? バオウ,もう分かっているんだろ? 協力しろ」

 そう囁くと,バオウに目で何かを訴えた。



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