異世界になったこの世界を取り戻す

文戸玲

監獄にて⑪~ウニ再来~



「よく分かった。でも,罪のない人間を葬り去っても良いとは思わない。みんな必死で生きているんだ。その人達の権利を勝手に奪うなんて許せない」
「その罪のない人間が,悪意あるもの達によって平和を脅かされているのじゃ。せめてわしらの手で導いてやらねばならん」
「それはエゴじゃないの? 誰もそんなことは臨んでない! みんな,人として生きていくんだ」
「人のことを思い行き着いた先じゃ・・・・・・。もうよい,わしらはきっと相容れることはないじゃろう。あとは神のみぞ結果を知る。わしはわしの考えに敵対するものを排除させてもらう」

 そう言うと,こちらに手を向けていた商人に合図を送った。商人は無表情のままこちらに近づいて手に何か力を送るような雰囲気を醸し出した。その瞬間,服に忍ばせていた短刀を腕を振るようにして取り出し,腕をなぎ払った。よろける商人に脇目も振らず,ジャンを押さえつけている敵に向かってタックルした。こちらの攻撃を防ごうともしなかった商人は勢いよく飛んでいった。

「よくやった。こっから反撃だな」

 体を首をボキボキ鳴らしながらジャンはヒューゴと吹き飛ばされた商人を睨み付けている。立てかけてあった剣を複数持って,容赦なくまたウニのように串刺しにした。


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