嫁ぎ先の旦那様に溺愛されています。
一つ屋根の下での事情2(8)
高槻さんのスーツを見たあと、レストランで食事をし家に帰ったのは午後7時を回っていた。
「総司さん、先にお風呂どうぞ」
「いいのか? 手伝わなくて」
「ここまで運んでもらったので大丈夫です」
「そうか」
彼が洗面所に入っていくのを確認したあと、購入してきた衣類を、箪笥などに入れ――、背広などのスーツはハンガーに掛ける。
そのあとは、購入してもらった小物はどうしよう? と、迷っていると、彼がお風呂から出てきた。
どうやら、男の人というのは10分ほどでお風呂に入って出てこれる特技があるみたい。
「何か悩んでいるのか?」
「えっと、買ってもらった指輪などの小物はどうしようかなって……」
「そうだな……。とりあえず、莉緒が持っていればいいんじゃないのか?」
「――で、でも! 盗まれたら……」
「それはそうだな……」
さすがに高槻さんも百万円以上する指輪に関しては、少し考えてくれたみたいで――、
「盗まれたら、また買えばいい」
――何も考えてなかった!?
そもそも百万円を超える品物を、また買えばいいってどういう経済的な心理しているの!?
少し頭が痛い。
「総司さん。普通は、盗まれたら! また! 買えばいい! みたいな発想をするのは駄目です! 勿体ないです! 浪費です!」
「そ、そうか……」
私の剣幕に彼は若干引いたみたいだけど、百万円もあったら一年分の食費は余裕なので、ここはしっかりとしておかないと!
むしろ一ヵ月2万円で行けるまであるので、4年分の食費ですらある。
「――なら、莉緒がずっと身に付けていればいいんじゃないのか?」
「――え?」
「身に付けておいた方が安全だろう?」
「それは、そうですけど……」
学校に貴金属を付けていくのは原則禁止なような……。
「学生結婚なら指輪をつけるのは普通だと聞いたことがあるぞ? それに、指輪を普段から付けておいた方が、それらしく見えるだろう?」
「……それはそうですけど」
「別に、無理に付けろとは言わない。金庫を買うのもいいぞ?」
「そうですね……」
金庫を購入する方がいいかも……。
でも昼間は神社に人はいないから、そう考えると身に付けておく方がいい場合もある。
「まぁ、莉緒の学校の方には俺の婚約者と言う事で弁護士を通して正式に伝えてあるから問題ないと思うがな」
すでに高槻さんが手を回しているのなら、指輪をつけて登校した方がいいかも知れない。
送り迎えも櫟原さんが車でしてくれるし、家に置いておくより安心するから。
「それでは、明日から身に付けて登下校しますね」
「それがいいな」
彼は、フッと笑うと私の頭を撫でて――、「莉緒も、さっさと風呂に入って寝るようにな」と、居間に入ってしまう。
そして、すぐにノートパソコンの前に座ると仕事を始めた。
私は、彼の邪魔にならないように、お風呂に入るべき脱衣所に入り服を脱いでから身体を洗い、湯舟に身体を鎮める。
「はぁ……」
今日は、疲れました……。
それにしても明日からは婚約指輪をつけて登下校……。
クラスの誰かに何か言われそう。
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