【書籍化決定】前世で両親に愛されなかった俺、転生先で溺愛されましたが実家は没落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超器用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~
第百五十一話 ドラゴンの装備を求めて
なんだかんだと三年生の初日が終わり、放課後になった。授業は少しずつ難しくなっているけど、俺達は分からないところは助け合うから成績は悪くない。去年の対抗戦もパティという新しいメンバーを迎えたけど、一位を再度取ることが出来た。
……ルクスは相変わらず突っかかってくるけど、地力を上げることを優先したらしく、Eクラスと二位争いはかなり燃える展開だった。
「ラース、今日はどうすんだ?」
帰り支度を整えていると、リューゼが俺に声をかけてくる。剣を持っているところを見ると、ギルド部へ行くのだろう。
「あー、今日はレオールさんが来る日なんだ。だから今日はまっすぐ帰るよ」
「そっか。なら、今日はラース抜きでギルド部だな。マキナは?」
「んー、私、アイナちゃんに会いたいしラース君と一緒にお屋敷に行こうかな? いい?」
マキナがそう言うので俺は頷く。そこにルシエールも加わってきた。
「私も行っていい? 今日はお姉ちゃんがお店のお手伝いだから、久しぶりに会いたいな」
「あ、パティも行きたいですー!」
「オラも行くよー」
パティとノーラも元気よく手を上げて主張してきた。それを見て苦笑しながら、俺は他のクラスメイトに声をかける。
「じゃあ、ウチに来る人は俺についてきてよ。クーデリカとウルカはリューゼと一緒に?」
「そうする! ミズキさんと約束してるんだー」
「僕は魔法の練習がてら行ってこようかなって」
クーデリカとウルカはリューゼとギルド部に赴くらしい。結果、マキナとルシエールにノーラ、パティとジャックがウチに来ることに。
「それじゃ、ナルとイーファ、コンバーを呼びにいくか。あ、ベルナ先生はダメか……ティグレ先生どう?」
ギルド部も人が増え、他クラスも数名が入部した。実戦経験を得ることができるのは冒険者志望にはとてもありがたいようだ。しかし引率の先生は必要なので、ティグレ先生に依頼をかけると、
「俺ぁ今日ダメだ、今日から新学年だろ? 会議とかあるんだ。あー、バスレー先生行ってくれるか?」
そう返事があった。やはり新学期の初日は忙しいのだろう。すると口笛を吹きながら片づけをするバスレー先生に白羽の矢が立った。
「お? わたしが必要ですか? かしこまりました承りましょう! ちょっと興味あったんですよね、ギルド部」
「大丈夫かな……」
リューゼが不安げに呟き、そのまま出ていった。入れ替わりに兄さんが入ってきて、俺達のところへやってくる。
「あれ、バスレー先生が副担任なんだ?」
「お疲れ、兄さん。そうなんだ。とりあえず今日は大人しかったけど油断はできないね。ティグレ先生のところにやったのはそのせいかもしれないけど……」
「あはは、確かにそうかも! とりあえず帰ろうか」
「うんー!」
兄さんはノーラの手を取り、二人仲良く歩いていく。相変わらずの光景に俺とマキナ、ルシエールも微笑みながら後を追う。他愛無い話をしながら門を抜けるとルシエールが俺に尋ねてきた。
「レオールさんの話ってなんなのかな? また衣装?」
「いや、あれだよ。サージュからもらった牙や鱗、まだ持ってるだろ?」
「うん」
「あれを加工できる人を探してもらってるんだ。一応、衣装の話はするけどメインはそっちかな?」
そう、もう俺達は十三歳になったし、兄さんにいたっては十五歳。そろそろ武器や防具に加工して持っていてもいい頃合いじゃないかと思い、レオールさんに頼んでいたのだ。
リューゼのようにすぐ冒険者になるなら死の確率を下げることになるしね。
「本当に!? うわあ、私ナックルガードが欲しいなあ……」
「はは、マキナはナックルガードがあったらかなり強くなりそうだよね」
「私はお守りとか胸当てかなあ」
「うう、ドラゴンさんの装備羨ましいです……」
パティにはまだ友達の証を貰っていないので、がっくり項垂れる。そのために家に通っている節もある。
「ただいまー」
「お邪魔しますー!」
俺達は各々、声を出しながら家へ入るとすぐにパタパタと小さな足音が聞こえてくる。
「にーしゃ! おあえりー!」
<おお、帰ったか皆>
「ただいま、アイナ、サージュ」
危なっかしい足取りで走ってきたのはアイナで、俺を見るなりがっぷり足に抱き着いてきた。サージュは空を飛び、ノーラの腕に収まる。
このままでは動けないので俺はカバンをマキナに手渡し、アイナを抱っこする。まだまだ軽いので余裕だ。
「でーにしゃ、おあえりー!」
「はは、アイナはラースにばかり行くね。たまには僕にも抱っこさせてよ」
「ん」
「んー」
アイナは手を伸ばして兄さんの顔を要求し、頬ずりをする。別に兄さんが嫌いってわけじゃないんだけど、アイナは俺に抱っこや膝の上に乗ることが多い。
「アイナちゃん、こんにちはー」
「あい!」
「うふふ、かわいいー。髪の毛の色はラース君と同じだから懐くのかな?」
ルシエールが小さい手を握手しながらそう言い、サージュが口を開く。
<今日は昼寝をしていたから元気が有り余っているぞ。なかなか将来優秀になりそうだ>
「へえ、サージュ面倒見がいいから助かるよ」
<住まわせてもらっているしな。あまり背に乗せて飛ばないようにすることにしたぞ。体力がつかないからボール遊びをメインにしようと思う>
「サージュお父さんみたいー」
ノーラの言う通り、腕組みをしてうんうんと頷く姿は子育てお父さんみたいである。たまには大きい姿でのんびりさせたいと思うんだけどさ。
「そう言えば母さんは? サージュが居るとはいえアイナ一人にはしないだろ?」
<ああ、今は商人が来ているからそっちにな。メイドも今日は少ないし>
「そうだっけ?」
<うむ。ニーナが居なくなってメイドの仕事も様変わりしたから仕方あるまい>
サージュの言う通り、ニーナもハウゼンさんとの結婚を機にメイドを辞めたのだ。あの事件のことで退職金は要らないと首を振っていたけど、父さんがどうしてもということで俺達が以前住んでいた丘の上の家をプレゼントした。
今はあそこでニーナのお母さんとハウゼンさんが暮らしていたりする。ハウゼンさんの出張続きの生活もストップし、他の町にあるギルド同士でやらなければいけないことの目途が立ったと喜んでいた。
そろそろニーナのお母さんに孫を見せたいと、この前ウチに来ていた時に母さんとベルナ先生と一緒に話しているのは記憶に新しい。
「父さんと母さんが対応しているなら応接室かな? 俺、行ってくるよ。アイナは誰か――」
「やー!」
「……は無理そうだから連れて行くよ」
「ははは、ラース好かれてんなぁ。じゃあ、お前の部屋に行ってていいか?」
「うん。お願い。サージュも付いてきてよ」
<分かった>
ノーラの手から離れ、俺の頭に乗るサージュ。アイナが手を伸ばすが、背中をポンポンと叩いて落ち着かせ、俺は応接室へ向かった。さて、職人さんは見つかったかな……?
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