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【書籍化決定】前世で両親に愛されなかった俺、転生先で溺愛されましたが実家は没落貴族でした! ~ハズレと評されたスキル『超器用貧乏』で全てを覆し大賢者と呼ばれるまで~

八神 凪

第六十五話 マキナの戦い


 「ぐあ!? こ、降参だ……」
 「鍛え方が足りないんじゃないか? 俺みたいなに負けるなんてな? はははは」
 「くっ……」
 「ああ、ニブル!」

 兄さんのクラスメイトだというさわやか系の男子生徒が声援むなしく地に倒れてしまう。
 この聖騎士部、ルールはシンプルながら制約が多いので勝利を掴むのは難しいと分析していた。武器・盾を落とすと負け、兜を弾き飛ばされたら負けという『特定の装備品を失うと即終了』がなかなか厳しい。

 スキルも魔法も使えるけど、基本的に乱戦の状態になると使っている暇がないのが現状だ。
 で、相手は大きい体を駆使して体当たりでバランスを崩してからの猛攻が基本パターンのようで、何とか耐えても向こうの方が有利を取っているのでジリ貧となってしまうのだ。闇雲に戦って勝てる相手じゃないと思った。

 「くっそー! あいつら体がでかいから体当たりが強いんだよな!」
 
 パシン! と、手と拳を合わせながら悔しそうにグラウンドを見つめるリューゼ。その横ではヨグスが【鑑定】で不正が無いか確認していた。

 「仕方ないよリューゼ、全員十四、五歳だが装備に不正はないし。こっちはトリ以外四年生・五年生を出していないから力負けしている感じだね」
 「チッ、汚いやつらだぜ。お、次は行けそうじゃないか?」
 「わ、大きい人ー」
 「三年生の人ね、私みたことあるわ」

 見れば次のオブリヴィオン学院側は相手に負けないくらいの巨躯を誇っていた。これはいけるんじゃないか? 二戦目は勝ちたいと願う中試合が開始される。

 「がんばってくださいー!」
 「そこ、槍で足元をー!」
 「あぶなっ!? おお! やれやれ返してやれ!」
 
 二戦目は俺達の応援にも熱がこもる。学院の生徒総出で名も知らぬ温厚そうだけど攻めが強い生徒を応援する。

 そして――

 「いよっしゃぁぁぁ!」
 「やったぜおい!」
 「ちょ、ティグレ先生、手ぇ……」
 「お、おお……すまねぇ……」
 「ふふ、仲がいいんですね先生達♪」

 ヘレナにからかわれて顔を赤くする先生たち。だけど、ベルナ先生は落ち着かない様子でそわそわしていた。

 「あ、次はマキナちゃんだよー」
 「本当だ、うう、相手の人男の子だよ、だ、大丈夫かなぁ……」
 「素早さを活かして戦うのがマキナだけど、鎧が邪魔かもね。鎧をつけて練習を何度かやってれば話は別だけど……」
 
 いきなり実戦で鎧装備、というかいつもと違うことをすると実力を発揮しにくい。マキナはどっちだろう?

 「マキナちゃんーがんばれぇぇぇ!」
 「ファイトー!」

 大人しいルシエールも声を上げて応援をする。一瞬こっちに気づいたマキナが微笑み手を振ってくれた。【カイザーナックル】って剣でも使えるのかな……? 俺がそんなことを考えていると、試合が始まった。


 「やああ!」
 「はは、可愛い掛け声だな。おら!」
 「あう!?」
 
 マキナの武器は剣で、相手も剣。だけど、リーチ、体重が完全に劣っているマキナが覆すのはかなり厳しい。今のもよくぞ取り落とさなかったと褒めていいくらいだ。

 「まだよ! 【カイザーナックル】で……!」

 剣を握ったまま拳を突き出すマキナ。なるほど、それなら拳を使えるなと感心する。しかし、相手は余裕うの顔でにやりと笑う。

 「お! そういうスキルかお前? なら俺のスキルだ【防御壁】」

 ゴイン!

 「痛っ!?」
 「俺の体はスキルのおかげでかなり硬くできるんだ、スキルの能力はまだまだみたいだな。そらそら!」
 「ああ!? うぐ……」

 落としそうになった剣を盾のある左手で拾い相手の攻撃を盾で防ぐマキナ。後ろに下がり、肩で息をしているが、そこで違和感に気づく。

 「……ん? 何で剣を持ち変えないんだ?」
 「そういえばそうだな」
 
 「お前……クク、ならば――」
 「く、来る!」
 
 ガキン! キィン!

 「おらよ!」
 「あう!?」
 「まだだ!」
 「きゃあ!?」

 冷や汗をかきながら剣を受けていたけど、途中から蹴りや盾に攻撃を加えられ、一方的にやられ始めた。ここで、ようやく相手の意図がわかり俺は激昂する。

 「あいつ……!」 
 「お、おい、マキナのやつ大丈夫かよ!?」
 「大丈夫じゃない! あいつの右手、ヒビか、最悪折れてる!」
 「あ、ラース君!」

 ジャックが言うのと同時に俺は駆け出していた。相手の男子生徒、マキナの右手が使えないと分かり、マキナをいたぶる方向へ変えたのだ。
 盾に当てられても振動で右手はかなりきついはず。鎧があるとはいえ、マキナの小さいからだで受けるにはやはり厳しい。

 「先生ストップして! マキナはもう駄目だ!」
 「君はマキナちゃんのクラスの……降参か武器を落とすまで勝負は続くんだ、戦意を失っていない以上ダメなんだ」
 「そ、そっか……マキナ! もういい、終わりにするんだ!」
 「ダメ……折角試合に……うぐ……!?」
 「ここで無理して壊れたらどうするんだよ! 剣を捨てて!」
 「うるせえな……外野は黙ってみてろ!」

 ガッ! と、男子生徒の攻撃がマキナの膝にヒットし、崩れ落ちるように倒れる。直後、剣を取り落とし試合が終了する。

 「チッ、あいつのせいで終わっちまった」
 「!?」

 ガコン、と倒れているマキナを見えない位置で蹴った。俺は見た。

 「てめぇぇえぇ!」
 「なんだ!? うぐえ!?」

 気が付けば俺はその男子生徒に対しドロップキックを顔面にぶち当てていた。こっそりレビテーションで浮力を使いクリーンヒットした。

 「ラース君!?」
 
 先生がびっくりして俺の肩を抑えると、相手の先生が眼鏡を直しつつ嫌味たっぷりで言う。

 「こちらの学院の生徒は試合に乱入するくらいしつけが出来ていないんですかね?」
 「……試合終了の合図は出ていた。それからあいつが気絶したマキナを蹴ったのが悪い! そうだ回復――」
 
 俺はマキナの下へ行き回復魔法をかけると傷がスッとなくなる。だけど気絶したまま目を覚まさないので、近くに敷かれているマットの上に寝かせた。

 「いってぇ……おい、貴様ぁ! よくもやってくれたな」
 「それはこっちのセリフだよ。弱いのが分かったうえで、ケガをしている女の子をいたぶるとか神経を疑うよ。それでも騎士かい?」
 「弱い奴が戦おうってのが悪いんだろうが、へへ!」

 こいつも気絶させるくらいぶん殴りたいなと思っていると、

 「ラース君、だったかな? 仇は僕達がとるよ」
 「うん。許せないわ!」

 マキナが先輩と呼んでいた女生徒と、一番上の五年生だろうか? 大人びた男子生徒が俺の肩を叩いて相手学院を睨みつける。すると、マキナと戦っていた男子生徒が口を開く。

 「先生、俺をぶっ飛ばしたこいつと戦いたいんだけどダメかな? 体術はできるみたいだし、異種戦って形でさ」
 「そんなことは許されない! グルドー先生、約束の話を忘れてはいないでしょう」
 
 すると茶髪オールバック眼鏡は顎に手を当ててからにやりと笑う。

 「いえ、その子が急に蹴りを食らわしてきたんでしょう? ならウチの主張は飲んでもらいたいですな。当人どうして決着をつけるというのは? その子も随分怒っている様子だし。……どうかね、君?」


 ふうん……そういうことをするのか。俺の体格を見て勝てると踏んだのかもしれないな。俺が返事をしようとすると――

 「俺は構わねぇぜ。ラース、やれ」
 「ティグレ先生、ダメですよぅ! でもマキナちゃんをあんなにしたのは許せません!」
 「なんで先生が答えるのさ……ま、でも、俺もそのつもりだからいいけどね?」
 
 俺が睨みつけると、マキナを倒した男子生徒の頬がピクピクと動く。

 「こいつら……! てめぇ、この女よりも酷い目に合わされたいらしいなぁ!」

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