結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

100話 濃い1日でした。

「そうだ、忘れぬ前に。きりん殿ヘレン殿が明日の打ち合わせをしておきたいと言っておったぞ。」
「了解しました。では、1度戻りましょうか。」
「いよいよ明日来るんだね!楽しみ〜」


もともとその為の訓練だった事を忘れそうになっていたが、明日は天河海の人達が来るんだよな。
ここでは色々な体験できたけどどれだけ成長できたかはよく分からない。


「ワシは少しアメリ殿と話をしてから帰るさね。3人で帰れるかの?」
「きりんちゃん次第かな〜また翔くんに手を引いて貰えば行けるかな?」
「な!それならば和歌でもいいだろう!」
「えー女の子の手を引くのは、男の子の仕事だよ〜翔くんもそれでいいよね?」
「はい。いいですよ。」
「そこはうちの部隊の…」
「はい。アメリは無粋なことしないの。翔様、きりん様をお願いします。」
「ツェゴさん、分かってるぅ〜」
「ん?はい。任されました。」
「うぅみゅ〜…。」


アメリさんが恨めしそうに俺を見てきたがツェゴさんが引っ張って小屋に連れて行かれた。
きりんさんは何やら顔を真っ赤にしているが、走って疲れたのかな?帰りは少しゆっくり走ろうと思った。


「では、3人共気を付けて帰るのだぞ。」
「はーい。学園長またね〜」


帰り道学園まで何事も無く帰ることができた。
手を引いて走ればきりんさんも大人しくついて来てくれるので楽だった。


「こ、ここで1度解散です。」
「俺は先食堂行きますね。」
「私は1度部屋行くから、2人ともまた〜」


先輩はそう言って足早に行ってしまった。


「きりんさんはどうしますか?」
「い、1度戻りたいですが。そ、その…」
「どうかしました?」
「そ、その…て、手を…。」
「あ。失礼しました。」
「あ。う、うん。ま、また後で…です。」
「はい。また後で。」


きりんさんを見送ってから俺は食堂に向かった。
そこにはヘレンさん達が揃っていた。


「翔おかえり。きりん達は?」
「1度部屋に戻ってから来るそうです。ところでルカさん。」
「ん?何かしら?」
「ローランドさんとリコさんはどうしたんですか?」


ルカさんとヘレンさんはいつも通りだったが、2人は机に突っ伏したまま全く動いていないのが気になった。


「あぁ。訓練でへばっただけよ。皆が揃うまで寝るそうよ。」
「そ、そうですか。あー…来るまで静かにしときます。」


どんな訓練をしたんだろう。
この後の訓練が少し不安になったが、ここではあえて聞かないでおこう。
暫くしてきりんさんと先輩が来て全員が揃った。


「…ロー、リコ。」
「「はいぃぃ!!」」
「うわ!びっくりした。リコちゃん大丈夫?」
「へ?あ、訓練じゃないのかぁ。あ、和歌達お久!」
「ここは!なんだ学食か。翔達来てたんだな。」
「はい。ローランドさんおはようございます。」
「さて、皆揃ったし明日の事で作戦会議会もしましょうか。」


ヘレンさんの小さい声にも即座に反応する寝ていてはずの2人。
俺も2人の声に少しびっくりした。
周りが食堂だと分かるといつもの2人に戻った。
そんな光景を無視してルカさんが今後の話で話を切り替える。


「きりん達は外で魔物でも討伐して来たのかしら?」
「え、えと。に、兄様の所で。か、翔さんと和歌は訓練と少し戦闘。」
「アメリさんの所に行ったのね。確かに少ない時間で訓練するなら、その辺の魔物討伐より最適ね。」
「あれは楽しかったね〜最後はクマさんにも会って、喋る豹さんにも会ったし。」
「…熊さん?」
「俺と和歌先輩が初めに出会った、フェイスって熊の事ですよヘレンさん。」
「…!」
「す、少しの戦闘ってその熊となのかしら?」
「そうだよ〜」
「主に戦ったのは、アメリさんとツェゴさんでしたが。」
「ツェゴさんも居たのね。それなら…ってフェイス!?」
「そんなに驚く事ですか?」
「そりゃそうでしょう。私だって1度くらいしか見た事ないし、騎士部隊が揃って未だに討伐できない魔物なのよ?」
「そ、そんな強かったんですか…」


そんな相手に俺達は挑んでいたのか。
今になって身震いしてきた。


「アメリさんとツェゴさんが居ればなんとかしそうだけどね。私はごめんよ。」
「…無事で何より。」
「はは。アメリさんとツェゴさんには感謝ですね。」
「そうね。それとなんだっけ?喋る豹って?」
「翔くんと喋る豹さんだよ。私には分からなかったけど〜」
「え?翔も喋れる子と出会ったの?」
「あ、はい。その豹だけで、その仲間の豹と会話出来ませんでしたけど。」
「それはそうでしょうね。生涯に出会えるかどうかだし…と言っても、ここに2人居るから薄れるけど。」


それだけ珍しい事らしい。
でも先輩も兎と会話出来るし、確かに珍しさが薄れる気がする。


「1日しか経ってないのに色々経験したのね。」
「今思ってみても、濃い1日でした。」
「だね〜。因みにリコちゃん達はどうしてたの?」
「リコはず〜っとと試合してたかなぁ……。」
「ず〜っと?」


遠い目をしてるリコさん。


「2人はバドの経験させる為に、私とヘレンで試合してただけよ。」
「…寝る時間はあった。」
「「ソウデシタネ。」」
「あ、翔も和歌も午後から試合してもらうつもりだから。2人はダブルス出来るかしら?」
「大丈夫〜組んでやった事もあるし。」
「そうですね。特に問題ないです。」


午後からやる事は決まった。


「戦闘から試合に切り替えないとね。翔くん勝とうね!」
「やるからには負けませんよ。」
「翔達が相手か。練習とは言え負けないぜ!」
「リコ達が勝たせてもらうよぉ!」
「4人共やる気ね。その調子で明日も頼みたいわね。」
「…うむ。」
「み、皆頑張って。」


作戦会議で集まった気がするけど、訓練の話だけで終わったな。
まぁ夜にまた集まるだろうからその時でもいいか。
ダブルスをする事は決まっているから、この試合に勝って勢いつけていきたい。



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