結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

98話 助けたいです。

「すいません。あの豹を助けたいです。」


本当はすぐ動きたかったが、俺が動けばきっと先輩も動いてくれるだろう。
だが自分1人の行動で先輩やアメリさんとツェゴさんを危険に晒す訳にわいか無い。
助けるとなればここに居る2人の協力は必要になる。
俺はアメリさんを真っ直ぐ見た…助けたいと思う気持ちを強く込めて。
アメリさんはすぐに答えを出した。


「なら行動しようか。だが問題は熊と豹に挟み撃ちになる事は避けたい。翔は何か考えがあるんだな?」
「はい。そっちは何とかなると思います。」
「俺とツェゴで時間を稼ぐ。1分で何とかしてみせろ。和歌は翔の側でフォローだ。」
「分かった。翔くん、頑張ろう!」
「ありがとうございます。それでは…行きましょう!!」


俺は茂みを抜け出して豹の元へ駆け出した。
先輩も俺に遅れず着いて来てくれる。
アメリさんとツェゴさんが一気にクマさんに詰め寄る。


「「せや!!」」


ーバキ!
ーグルゥ!?


クマさんは突然現れた2人の不意打ちを驚いていたみたいだがしっかり腕でガードした。


「さすがはフェイスと言ったところか。初撃をしっかり防御してくるか。」
「休まない!攻撃を続けて下さい!」
「分かってる!いくぜ!オラァ!!」


ーバキ!バキ!バキ!


「防御が甘いです。」


ードゴッ!
ーグルゥ!?


アメリさんが連続で撃ち込み、その隙をツェゴさんが追撃する。
横目で見たが凄い息があっていると思った。


『な、何だ!?』


豹が警戒したように俺達を見ている。
アメリさん達の猛攻にクマさんと豹の間に距離が出来た。
俺はその間に豹に話しかける。


「俺はお前の言葉が分かる!仲間を助けたいか?」
『な、何だお前は!俺の言葉が分かる??何言ってるんだ!』
「いいから黙って見ていろ!お前は俺が助ける!」


そう言って俺は豹に背を向けてクマさんに向き合う。
先輩も何も言わず俺の横に立ち、同じ様に豹に背を向けた。


「アメリさん!こちらは大丈夫です。何か指示を!」
「和歌はフェイスの右から。翔は左から攻撃しろ!くれぐれも攻撃を受けたりするなよ!」
「「はい!!…せぁ!」」


前をアメリさん、左右から先輩と俺が攻撃する。
その攻撃を避けたり、防御するクマさん。
あれだけ大きいのに凄い俊敏に動くから驚きだ。
そんな中で僅かな隙を見つけて攻撃するツェゴさん。


「さすがに強いな。追い払うにしても攻撃力が足りん…ツェゴ武器を!」
「分かった。翔様、和歌様。3人でこの場を暫く維持して下さい。」
「え?あ、はい!」
「よく分からないけど、攻撃続けてれば良いんだね〜」


そう告げるとツェゴさんが近くの木に近づいて行く。


「…この子は……お願いしても良いかしら?…そう。ありがとう。」


前のクマさんき気を配りつつ、聞こえてくる声がする。
暫くすると木が軋む音が響く。


「創造するは折れないつるぎ!我等と共に打ち破る力を!!」


ーギギギギギィィィィィ!!!!!


「アメリ!」
「おう!助かる!」


何かがアメリさんの前に飛んできた。
それを取るアメリさんの手には木の剣があった。


「翔、和歌!少し下がっていろ!!」


その場を飛び退いてクマさんに突っ込んで行くアメリさん。


ービュゥン!!バキィ!!
ーグルゥ!?


渾身の一撃を防御したクマさんから嫌な音がした。
それを見て更に追撃をするアメリさん。


ービュゥン!ビュゥン!


それを器用に後退しながら躱すクマさん。
一定の距離が開くとクマさんは森の奥へと駆け出した。


「このまま奥に引っ込んでくれれば良いんだが。」
「翔様。こちらは私達で警戒いたします。あちらを見てきて下さい。」
「はい。ありがとうございます。」
「翔くん。ヒョウさんがガウガウ言ってるよ。何言っているか分かる?」


さっきの事で色々聞きたい事もあるが、今は出来る事をやるか。
俺はアメリさんとツェゴさんに警戒を任せて先輩と豹の元に向かう事にした。





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