結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

96話 直感派と理論派。

騎士部隊の人の所で訓練は2日目。
今日は朝から走り込みをするらしい。
きりんさんの周りには騎士部隊の人達が取り囲む。


「きりんよ。ペースは皆に合わせてくれ。」
「ここまでしなくても私は大丈夫だ。」
「…まぁそう言うな。森も安全って訳じゃないしな。」
「ならば翔や和歌はどうするのだ?」
「2人には気配を探る訓練も兼ねて俺と先頭を走る予定だ。」
「むぅ。何か言いくるめられた気がするが。」
「ははは。気のせいさ。」


布陣は俺と先輩とアメリさんが先頭で、その後ろにきりんさんを囲んでいる騎士部隊の方々。
言わなくても分かるが、きりんさんが迷子にならない対策もバッチリと言う事だ。
学園長はヘレンさん達を見てくると1度学園に戻った。
あの人はきっと走り込みはしたくないんだろうなっと思ったのは胸にしまっておこう。


「では出発前に気配の探る方法を教えておこう。」
「はい。アメリさんお願いします。」
「お願いします〜」
「よし。では、まず目をッガ!と力を込めるのだ。その後瞬きはして問題ないが、力を抜きすぎない様に!」
「……。」
「んーッガ!…目が乾くよ〜。ッガ!これでいいの〜?」
「あぁ。ここから先に魔物が数頭居るがどちらの方向か分かるか?」
「ん〜あっちかな。4頭居ると思うよ。」
「ほう。さすがだな。それを維持したまま走れそうか?」
「ん。やってみる。」
「……。」
「ん?どうした翔。分かったか?」
「すいません。全く分かりません。」
「む?そうなのか?どうするか…ッガ!だぞ?」


あれ?この説明で伝わるのか?
何を言っているかさっぱり分からない。


「そうだな…ツェゴ!」
「あぁ。俺が教えればいいのか?」
「おう。対で教えるとしよう。」
「和歌様の方は…あれで出来るのか。」


ツェゴと呼ばれた人が俺に教えてくれるみたいだ。


「翔様。俺は騎士部隊の副隊長でツェゴと言う。」
「ツェゴさん、お願いします。」
「では、先程アメリから聞いて事を全て忘れて下さい。あれは気持ちでどうにかする直感派の考え方なので。」
「…大丈夫です。何も分かりませんでした。」
「だろうな。あれで理解できる方が特殊ですから。昨日の訓練を見ていても翔様は理論派でしょう。」
「まぁ、気合でこう!よりは説明頂ける方が分かりやすいですね。」
「そうだろう。さて、気配を探ると言っても色々ある。翔様は『ゴカン』が何か分かるか?」
「視覚や嗅覚の五感ですか?それとも、目、鼻とかの五官ですかね?」
「その二つが出てくるか。翔様は頭の回転が早いんだな。」
「いえ、そんな事は無いですよ。」
「いや。それが分かるだけでもアメリとは合わない事が良く分かる。」
「……。」


2人は考え方が真逆なんだろう。
少し棘のある言い方だったが、意見が食い違ったりしてるのかな。
それからツェゴさんは気配の探索について教えてくれた。


まずは気配を探るには人によってその方法は異なるという事。
目で見る事、鼻で嗅ぐ事、耳で聞く事、口で味わう事、肌で感じる事。
先輩はどうやらアメリさんと同じで目で感じる事が出来るみたいだ。


「どうだ?どれかを意識してみて、感じた事を言ってみるといい。」
「ん〜…森と水の匂いがする事と、周りの息遣いか、喋ってる声が聞こえますね。」
「ほう。翔様はそのまま前を向いていて下さい。…お前達!和歌様を中心に前後に別れてみてくれ。」


ツェゴさんは俺の後ろの部隊の人達に何か指示をしている。


「では、翔様。今隊列を前後に別けました。和歌様より後ろは何名いるか分かりますか?」
「あ、了解です……5人、3人、1人で9人ですか?」
「ほう、そこまで分かりますか。翔様は嗅覚と聴覚、それに感覚もありそうですね。」
「3つあるんですか?」
「今の所ですが。まず水の匂いですが、ここより1キロ先に河があります。私には匂いは分からないので、嗅覚の可能性が高めです。続いて息遣いに喋り声と部隊の配列を見ないで当てたあたりは聴覚や感覚の可能性もありますね。」
「そうなんですかね。自分じゃよく分かりませんが。」
「初めから全て理解するのは難しいですよ。今はそれを少し意識して走ってみるでいいのです。走ってて気が付いた事はその都度聞いてくれて構いません。では、そろそろ行きましょうか。アメリ、こちらは準備いいです。」
「おう。では行こうか。皆の者!着いて来い!」


先頭は先輩とアメリさん、その後を俺とツェゴさん。
そのさらに後ろからきりんさんを囲む様に騎士部隊の方々。
その人数をみるに、きりんさんの迷子にしない為の徹底差に今更ながら少し面白くも思う。
後ろは騎士の人達に任せて、俺はツェゴさんに言われた事を意識して走る事にした。







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