結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

87話 良い話と悪い話?

森果町からの果物などの納品も無事に終わり、食堂はいつもより賑わっていた。
学園長も満足そうに一緒に食事を楽しんで部屋に戻ろうとした。


「ふぅ、3人のお陰で満足いく食事だったのぉ。改めて例を言う。」
「いえ。俺達もいい経験になりました。」
「そだねー。町で学生達とバドも出来て楽しかったし。」
「で、です。ま、また何かあれば言って下さい。」
「そうかそうか。今は特に任務等は………。」


無言の間が気になり俺達は学園長に視線が集まる。


「ちと、待って欲しい。確かバド部隊関係で何か手紙が来ていたのぉ。」


カードを取り出して、慌てた様子で空中に何か操作をする学園長。


「学園長は何してるんですか?」


見慣れない光景に俺が疑問を口にする。
それに対してルカさんが答えてくれた。


「きっと手紙を確認してるのよ。」
「手紙って、あのカードでですか?」
「ええ。カードの所有者が許可を出さない限り周りに見えない様になっているの。」
「へぇー。便利な物があるんですね。」


向こうで使っていた携帯を思い出した。
確かに遠くの人と連絡取れるならあれ程便利な物はないな。


「私達も持ってるし、使えるわよ。翔達もあるでしょ?」


そう言って取り出したのが、転移する時や地図を出した時に使っているカードを取り出した。


「へ?これってそんな事も出来るんですか?」
「そうよ。他にも色々あるのよ。他には…」
「と、とりあえず。この手紙の機能教えて下さい!」
「…まぁいいわ。」


このカードの性能も気になるが、ここでルカさんが語り出したら止まらないだろうと思い話を戻した。


「そうね…きりん。翔に手紙出してみて。」
「ほ、ほえぇ!?」
「ふふ。何変な声出してるの?はい、やる!」
「は、はいぃ!め、メール オン!」


突然ルカさんに言われて網野さんが慌てそれに従う。
慌てる様子にルカさんがニヤニヤしているが、俺はただその様子を見ている。


「ルカちゃん。私もやりたーい。私に送ってよ。」
「あら。そうね。なら私は和歌に教えるから。きりん任せたわよ。」
「ほ、ほえぇ!?」
「はは。網野さん、また変な声出てますよ。」
「か、翔さんまで。お、送りますぅ…。」


暫く待ってると、カードに…何もおこらない。
これって何か変化があるのだろうか?


「網野さん。手紙来たら何か、カードに変化ありますか?」
「は、はい!!す、すぐに…あ。」


カードに埋め込まれた石の色が緑色に光りだした。
てっきり音が鳴るかと思ったが、光って知らせるみたいだった。
んー…このあとどうすればいいんだ?
地図の時みたいに『マップ オン』って言えばいいのか?
すると、目の前に地図が表示された。


「うぉ。地図が出てきた。」


そう言えばさっき、網野さんは『メール オン』って言っていたな。


「あ。手紙の画面でてきた。言葉に出さなくてもいいんだ。」
「え、え。で、できたの?」
「はい。見れました。網野さんの手紙を…長っ!?」


手紙を開いて驚いた。
そこには、びっしり書かれていた。
いつもは言葉の出だしが、噛み噛みな感じも無い。


「何々…」
「だ、だめです!こ、ここで読まれると。は、恥ずかしいです。」
「そうですか?では、後でゆっくり読みますね。」
「は、はいぃ…。」
「あ、あのぉ…網野殿。お楽しみのとこ悪いんだがのぉ。」
「べ、べべべ別に、たのひゃん…!!」


舌を噛んだらしく涙目の網野さん。
そんな様子にさらに申し訳なさそうに学園長が話を続ける。


「そのぉ…良い話と、悪い話があるんだが。どっちからがいいかの?」
「はーい。良い話からがいい。」


そんな学園長の話しを、二つ返事で反応する先輩。
他の皆はどちらでもよく、反論も何も無しで学園長が話すのを待つ。


「実はな、お前達のバドミントン部隊に試合の申込みがあっての。」
「え!他の人達と試合できるの?」
「あぁ。前々からそんな話はあったんだが、こっちは人数も少なくてな。」


俺と先輩が最近増えて、やっとぎりぎり試合できるようになったらしい。
他の人と試合は楽しかったし、違った経験も出来るし楽しみだ。


「それはいいとして。悪い話ってなんなのかしら?」


代表してルカさんが学園長に聞く。


「いやぁ…はは。3日後に来るんじゃが。」
「随分急なのね。こっちは何も準備していないわよ。」
「正直。和歌が学生とバドをした話を聞くまで忘れておった!」
「はぁ、まったく。で?それの何が悪いの?」


学園長はすっと顔を落として、とんでもない事を口にする。


「交換留学として、ルカを指定する権利だと。」
「はぁ!?」


それに一番驚いたのは、意外な人物だった。





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