結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

59話 ときどきお馬鹿?

俺と先輩は軽く汗を流してから食堂に来た。
勿論1人ずつだ。
先に浴びた先輩が綺麗だとか、もはや恒例だが俺は一向に慣れません。


「翔くんぼーっとして、どうしたの?」
「あ、いえ。ぼーっとしてました。」
「ん?」


あぁ。上目遣いで首を傾けて、それはわざとなんですか?
今日も先輩は可愛いです。
んっ!俺は何事も無かったかのように…。


「あ、ローランドさん達が先にいますね。いきましょう。」
「あ、うん。」


食堂にはローランドさんとリコさんが先に来ていた。
テーブルの上では、何かの肉が置いてあり2人でがっついている。
ついさっきまで倒れていたのに元気なもんだなっと思ったが口にはしないでおこう。


「おう。翔!お前も食え、美味いぞこれ。」
「―もぐもぐ。ん。」


そう言って2人は謎の肉を俺と先輩に山盛りされた肉を差し出してくる。


「んー硬い。」
「確かに…でも厚みもそんなにないから食べれますね。これ何の肉なんですか?」
「しらん。肉ならなんでも美味いからいいんだよ。」
「―もぐもぐ。く…」
「リコちゃん、もぐもぐしてかわいいー。」


先輩が言う通り少し硬い気がする。
ただ薄くスライスしてあり、そこまで厚みもない。
ローランドさんに聞いても何の肉か分からないけど、食べれない事も無い。
そしてリスのように一生懸命食べているリコさんを先輩が頬をつついて遊んでいる。


「うわぁ、あれだけ走ってよくそんな食べれるわね。」
「ルカさんもどうだ?美味いぜ。」
「私は遠慮するわ、そんな食欲も無いから簡単なもの取ってくるわ。」


後から来た3人は軽食を取りにカウンターに行った。
そんな中俺達はもくもくと謎の肉を食べた。


「あぁ…何故こんなにも熊肉ばかり。」
「こ、この前狩をした熊を消化したいみたいだよ。ほ、ほら鍋なら食べれるよ。」
「…ほら。」
「ありがとヘレン。…あ、これなら食べれそうね。」
「へ、ヘレン。わ、私も欲しい。」
「…どうぞ。」
「お、美味しい。」


網野さん達は鍋を持ってきた。
聞けばルカさん走るのが苦手で、食欲がないって後で聞いた。
野菜もあるし、焼肉よりは食べ易いだろう。


「熊肉!?ごほごほ!?」
「大丈夫!?はい、お水。」
「し、知らずに食べたの?」
「これ熊だったか。肉ならなんでも一緒だろう。」
「―もぐもぐ。リコは知ってた。」


驚いて俺は噎せた。
先輩から貰った水を俺は一気に飲み干す。
ローランドさんは肉ならなんでもいいと言ってるがそう言う問題ではない。
リコさんは知っていたらしい。


「まぁ熊さんのお肉でも美味しいからいいや。」
「…和歌先輩がそれでいいなら。」
「そうそう、きりん。これ例のやつよ。」
「あ、ありがとう。」
「ルカちゃんときりんちゃん、それは何ー?」
「見てもいいわよ。和歌と翔の事だし。」
「俺と和歌先輩の事?」


ルカさんが何か紙を網野さんに渡していた。
好奇心旺盛?な先輩は真っ先にそれに食いついた。
見てもいいものらしく、網野さんは俺と先輩に何枚か紙を渡してきた。
中を見ると俺の事が細かく書いてある。


「これは、この前の訓練で変な眼鏡…観察してたやつですか?」
「翔。聞こえてるわよ。変とは失礼ね。」
「あ、すいません。」
「あれはね…」
「そ、それはルカにお願いして作ってもらったものなの。」
「きりん、話を遮らないで欲しいわね。まぁいいわ。簡単に言えば魔力の分析結果よ。」


貰った紙には魔力の特性や改善点など細かく書いてある。
まるで教科書や参考書みたいなクオリティーだ。


「凄いねー。ふむふむ。私ってこう見えてるのか。なんか面白いね。」
「午前中でやった事がここまで。凄いですね。」
「そうでしょ!もっと褒めてもいいのよ!」
「…凄いぞ。」
「ふふん♪とは言っても時間無かったから、簡単にだけどね。」
「でも、要点絞って読み易いですし。あとで詳しく教えて欲しいです。」
「あ。翔それは…」
「今でもいいわよ!和歌?どこに行くのカナ?一緒に話すわよ!」
「…翔くんってときどきお馬鹿だよね。」
「…す、すいません。」


俺はつい言ってしまった。午前中に嵌ったばかりなのに。
いち早く気がついた先輩はその場から逃げようとしたが、食事中の不意打ちを逃げる事は出来なかった。
他の人達はと言うと…。


「はぁー食った!じゃ俺は戻るからな。後は頑張れよ。」
「リコも眠いから戻るね。ファイト!」
「…では。」
「わ、私も…。」
「何を言ってるの?きりんは聞きなさい。部長でしょ?」
「は、はいぃ。」


その後、俺達は食堂から誰も居なくなるまで話を聞くのであった。









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