結構マジでやってます。

ノベルバユーザー458883

22話 褒められるのは慣れてないんです。

あーこれやばい。俺はローランドさんの道を辿るのか。
あの大柄のローランドさんが血を吐くくらいだから、俺だとどうなるんだ?
そういってる間に先輩は突っ込んでくる。


「くっ!!」
「ききーーっと!!……ふぅー止まれた。あれ?翔くんは?」


猛スピードで突っ込んで来た先輩に驚いて。他のメンバー達は思わず壁の方を見た。


「翔くん…よけたね。」
「へ?あ、俺生きてる?」


先輩に吹き飛ばされて、ローランドさんと同じ結果になると思われていたが俺はそうならなかった。
これってあの熊のときと一緒だな。気が付いたら回避してる。


「これは、驚いた。リコのを一度見ただけでやってのける和歌も凄いが。翔もよく回避できたな。」
「なんか、咄嗟に体が動いたって言うか。熊さんの時と一緒な感覚です。」
「む。ひどいなー。私は熊さんじゃないよ?」


いつの間にか訓練モードな網野さんに関心される俺と先輩。
てか、先輩。熊さんって言うよりまるで猪でしたけど…。それは言わないでおこう。


「そう言えば、2人は森でフェイスに遭遇して逃げ切れたってテトラさんから聞いていたな。」
「ん?森でフェイス?」
「翔くん。森の熊さんだよ。」
「なんか学園長がそんな事言っていたような。和歌先輩よく覚えてますね。」
「えっへん!でもでも、逃げ切れたのもペティットが助けてくれたからだけどね。」
「ペティットがあそこに居てくれて良かったですね。」
「ん?それは違うぞ。2人がペティットの所に行ったんだ。」


森での話を聞いていた網野さん。
フェイスと言われて俺は憶えていなかったが先輩は憶えていた。
でも一回くらいしか聞いてないのに、先輩の記憶力はときどき凄い。


「翔くん。今失礼な事考えた?」
「いえ。そんな事はございません。」
「ふーん。まぁいいや。きりんちゃん。違うってなんでなの?」


先輩は心が読めるのだろうか。
感受の魔力って心が読めたり?いや、ないな。ないだろう…たぶん。


「和歌は感受の魔力だからな。感覚に身を任せると良い方向に行くことはないか?」
「んー。どうだろー。あっちに行けばいい気がしたくらい?」
「和歌先輩はてきと…勘で動いてあんまり失敗がないのは確かですね。」
「前の世界での影響がこちらでは、感受の魔力を手に入れる事になった。それは魔力の高いペティットに引かれ、結果的に助かったとテトラさんの見解だ。」


前の世界での影響が先輩の力になったのか。
基本行き当たりばったりだったなぁ…。良い方向って言われると、どうかと思うけど。
失敗って言う失敗はなかったと思う。
でも…大変だったなぁ。フォローとか後処理を大体俺に押し付けるから。
笑顔でよろしく!なんて言われたら断れないし。


「あ。でも翔くんも頑張ってくれたよ。私を担いで熊さんの攻撃避けてたし。かけっこしてたし。」
「へ?俺ですか?…ん?かけっこ?」
「確かにな。一人だったら危なかったな。和歌にとっては翔と居た事が一番の幸運かもな。」
「え?いや、そんな事は。俺何もしてません。」
「謙遜するな。翔は私よりも速いぞ。それに和歌を担いでフェイスの攻撃避けるとか私にはできないな。」
「そうなの。翔くんは凄いんだよ。いつもいろいろ助けてくれるの。」
「わ、和歌先輩。俺凄くないですって。」
「そんな事ないよー。いつも助かってる。ありがとね。」


なんかどんどん持ち上げられて行く俺。やめて下さい。めっちゃ恥ずかしいです。
あー顔赤くないかな?今こそヘレンさんのポーカーフェイスを!
どうですかヘレンさん!


「…まだまだ。」


目が合い一言。会話の流れと俺の態度で言わんとしてる事が分かってるみたいだ。さすがだ。


「では次に私の能力を見せる話だが。ただ見ても面白くない。どうするか。」
「きりんだって速いんだし。皆で競争でもすれば?あ、私とヘレンは不参加でね。」
「お。それは面白そうだな!俺もやr…ぐふっ。」
「リコもやるよー。今度こそきりんに勝つよ!」
「私もやってみたいー。面白そうだよー。」
「ローランドさん。突然動いたらダメですよ!」
「面白そうだな。よし。ローが回復したのち、競争やってみるか。」


なんか話が逸れたからいいけど。競争する流れになってる。


「自分の魔力の使い方わからないんですが?」
「翔はローが回復するまで教えるさ。そうと決まれば準備だな。」


そうして俺達は競争の準備に取り掛かった。





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