少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

191話 危ない2人?

 やっぱりと言うか、僕とリナだけでは戦いが進まない。正確には……。


―ビュン!ヒュン!ギュン!バサ!ビュン!ヒュン!バサ!ギュン!


 今はリナだけである。これだけ攻撃しても回避されるようになってきた。多分ミカエルもこの速度に慣れたんだろうね。接近戦の剣と拳の攻撃も変化がないし、時々ハンドガンを使うけどそれすら反応するようになった。


「っふ、っふ、っは。」
『面白いぞ!ふははは!』


 リナは避けられるこの状況が面白いらしく、意地でも当ててやろうとあの手この手で攻撃している。そう、足や尻尾や翼を使い……。


「離れて見るとこんな感じなんだね。」
「な?これに参加したら味方の攻撃も避けつつ攻撃しなければならないからな。」
「確かにあのリナの攻撃は当たったら大変だからね。」
「そんな中、それに合わせて攻撃していたソラヤはおかしいだけだからな。」
「それは言い過ぎだよローゼ。」
「案外そうでも無いですよ。」


 後ろにメイクと座っているサリエルさんが話に参加してきた。お茶を飲んで……。


「はぁ〜この飲み物は温かいですね。」
「お茶って言うんですよ。」
「そうか。エイリは素晴らしい技術をお持ちのようだ。」
「で、僕の話は?」
「そうでした。」


 お茶を置きそれに母さんがおかわりを注ぐ。援護がないと思ったらクロイはお湯とか色んな事に使われていた。


「ずず……。リナさんは龍族であり近接格闘は得意な種族です。」
「それは見ていれば分かるけど。」
「それ故に戦い方も特殊で。連携より一人で多勢と戦う事を得意としています。」
「まぁあの攻撃は周りに仲間が居たら危ないよね。」
「そうなのです。それなのにソラヤは合わせられます。」
「そうだね。」
「特殊で読みずらい動きを、AGIと言う純粋なステータスで上回り無理矢理に。」
「……ふむ。」


 そう言われると連携って言うより、2つの攻撃を避けつつ攻撃する感じだった。それが出来るからやった訳で。その時に普通に剣より短剣の方が、色々と立ち回りやすかったからなだけであって……おや?


「剣を使いたい気持ちは分かるけど。パーティ向きじゃないよね。」
「メイクの言う通りかも知れません。本来剣は勇者が装備する事が多いのです。それは前線で1人戦い抜く為の力ですから。」
「1人で戦い抜く力か……。」


 今まで僕はどうしてきた?父さんに守って貰って、ローゼとクロイで足を止めて、シーとナイトがその隙に攻撃する。僕は……。


―ザク。シュン……ガチャ。


「やっぱり僕はこれでいい。」


 剣をアイテムにしまい、代わりにいつもの武器を取り出した。


「やっと我々の出番か?」
「ん〜ごめん。少し方向が逸れたね。」
「いや、初めに突っ込んでいくのは変わらない。それが剣か銃かの差だ。」
「それに私達もただお茶を飲んでいただけじゃないよ!」


 ローゼが武器を握りたちあがる。それを見てシーも武器を着ける。そしてお茶は飲んでいたんだね。まぁそこはいいか。


「ちゃんと相手の動きも見てたんだから。」
「そう言えば始めはそんな戦い方もしていたね。」


 シーに言われて思い出した。ローゼもそれが言いたかったのかも知れない。誰が相手でも僕には仲間がいる。


「ふふ。いいパーティです。」
「そうでしょう?」
「貴女も行きたいのですか?」
「行きたいけど。ここじゃ私は足を引っ張るから。」


 メイクは少し残念そうにサリエルさんと話している。力を制限されているこの場所で、メイクを戦いに出すのは怖い。


「一つ方法がない事もないです。」
「え?」
「力を願うものに力を……私の認めた者であれば。それが守護神の役割です。」
「サリエルさんは私を認めてくれるの?」
「(ソラヤを思う者に悪い子はいませんよね。)」
「な!?」
「ふふふ。」


 サリエルさんが耳元で何か伝えてから、メイクが物凄く慌てる。悪い感じではないけどなんだろうか?


「では、サクッといきましょう。願え……叶え……。」


―カツン、カツン。


「想いを……繋げ!」


―カツン、ガツン!


 メイクの足元に何か光る文字が浮かび上がる。それは円を描く様に広がり、ゆっくりとメイクへと溶け込んでいく感じに見える。


「サリエル、っふ。まだそんな力が、っは!残っていた、っか!」
「私は戦っていません。力を託しただけです。出来るか半々でしたが、どうやら結界に干渉されるのは戦う力のみですね。詰めが甘い。」
「ここに、っは!来てまで、っふ。説教ですか!」


 リナの猛攻を躱しながらもこっちの様子を気にするミカエル。僕が攻撃を止めてから、攻撃を受ける事もなくなった。1人に集中したらそれが出来るって、ミカエル自身が素で強い事が分かる。


 そんな話の間に光は治る。


「どうですか?」
「うん。行けそう。」
「どうなったの?」


 サリエルさんとメイクの近くに行き状況を確認する。


「私が願った事はソラヤと一緒に戦う事。制限だって関係なくどこまでも。」
「それでそのスキルなんですか。随分変わったものになったわね。」
「スキル?メイク見てもいい?」
「いいよ。その方が安心してくれると思うし。」


 一応メイクにステータスのスキルを見る許可を貰う。そして今までになかったスキルを探す。




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【天使の共鳴】
パーティメンバーの能力をコピーする。一部スキル制限。


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「説明がざっくりだな。これ使える?」
「うん。自分のスキルだもん。使い方は分かるよ。ソラヤ私のステータス見てて。」
「うん?分かった。」
「願いを叶え想いを繋げ……天使の共鳴。」


 僕の周りに光が集まり回り出す。それはすぐにメイクの指に形を変えて現れる。


「ん?左の小指に指輪が出てきた。」
「それが条件。相手がそれを外すか、私が外せば解除される。」
「ふむふむ。まぁ別に構わないけど。これでどうなるの?」
「ほら、ステータス見てみて。」




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▶︎ステータス アイテム プロフィール パーティ
―メイク Lv44


―HP 6,612/7,612・MP 1,112/2,112・SP 4,500/5,500
―STR/20・DEX/20・VIT/20・AGI/200・INT/27・MND/20・LUK/100
―【STR/23(46)・DEX/25(50)・VIT/10(20)・AGI/100(200)・INT/5(10)・MND/10(20)・LUK/1(2)】


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 なんかいつもより多い。二段もある。下のはメイクのステータスだな。しかも制限されているのも反映されている。


「すると、上がそのスキルの効果?」
「そう。見て何か分かる?」
「んー、これ僕のステータスか。LUKも引き継ぐんだね。でも勇者とか女神のスキルは無理なんだ。」
「そう。これで私も戦えるよ!」
「ソラヤと同じステータスだと……。」


 それを聞いていたローゼがこっちを見る。何その顔は?


「実質ソラヤが2人って事か!?そんな馬鹿な!」
「そこ、そんなに驚く事?」
「大問題だろう!」
「ローゼさん。私は銃使わないよ?」
「問題そこ?」


 僕に突っ込みながら、皆んなにも指示を出してローゼは器用だな。




 僕はそんなに危ない存在って認識なのか。そこだけが少しだけ気になった。

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