少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

182話 門の先には…。

 門を出た僕らはまず目についた光景に突っ込む。


「一度見にきたけど、この門こんなに見晴らし良くなったんだね。」
「本当に死ぬかと思ったわ。」


 戻ってきたナイトは真っ黒だったしね。あれでよく生きていたと思うよ。そしてあの場では聞けなかった事を今聞いてみる。


「何があればこうなるの?」
「さっきソラヤが戦った時の剣を覚えてる?」
「あの赤黒い大剣?」
「そう。まずは扉から出て木に身を隠したの。」







「はぁはぁ……なんであそこにお母様が。」


 突然で何にも考えずに出たけど、動き回ったら音でばれる。一旦はここで息を潜めて。


「フリィィィジュ!!…………音は無い、そうなると隠れているわね。」


 隠れて正解!後は戻ってくれるのを……。


―ズン!


「フリージュ。居るなら出て来なさい。3秒待つわ。」


 怖すぎるぅ!?ここで出たら私は……でも出なかったら。


「はい、3秒。死にたくなければ屈みなさい。すぅ……だぁ!!!」


―ザン!


―ズズズ……ドシーン!!


 咄嗟に声に従い頭を抱えた。そして頭を上げる。


「へ?一体何が?木が全部倒れている?」
「見つけたわぁ〜。」
「ひぃぃぃ!!」


 その場にいたら死ぬ!脱兎の如く走り出す。


「戦火、星振り!」


―ボォォォ、ゴゥン!


「ちょっ!?」


 振り返った私の前に特大の火の玉が迫る。


―ボガァァン!!


「っかは!?」
「ふふ。確保。さぁ戻るわよ。」







「薄れ行く意識の中。燃え盛る森を担がれた記憶が最後ね。」
「……。」


 黒焦げはそれで。


「その後はわたくしが火を消しましたぞ。」
「母上がすいません。」
「問題ないですよ。あの魔法はソラヤの時にも役に立ったので。」
「僕の時?」
「あれですよ。雨の魔法。」
「あれか……死ぬかと思ったよ。」
「ほほ。すいません。この炎を消すのと同じ水量だからかもしれませんね。」


 僕とフェンスさんの戦いは山火事クラスか?


「精霊さんにも加減を教えておいて欲しいな。」
「ソラヤがそれをいいます?」
「僕だって加減くらい知っているよ。」
「「「…………。」」」


 じっと僕を見てくる、クロイとローゼとメイク。そんなジト目で見なくても。


……。




…………。






 気を取り直して移動をする。とりあえず門を左に曲がり真っ直ぐ。


 道中は特に戦闘も無く走り続ける事數十分。また白い扉が現れた。


「これが東の門かな?」
「おそらく。全て同じデザインなのでなんとも。」


 ここで待ってもしょうがない。行ってみれば分かるだろう。


「皆んな行くよ。」


 皆んなに声をかけ中に入る。白を基調にした今までで一番小さい部屋。綺麗なガラスの柱が並ぶ。


「あら?お客様?」


 金色の髪に白いワンピースのような服を着た女の人が近づいて来る。見た目は綺麗なお姉さんだが、普通の人には無いものがそこにはあった。


「天使族…。」
「はい。原初の森を守護を承っております。名はサリエルと申します。」
「大天使サリエル様ですか。これはまた……。」
「クロイ知っているの?」
「はい。話に聞くにはアークエンジェルとして天使の調停者。邪視による災害や災いを引き落としたり、相手の真意を見抜く力がある。と聞いたことがあります。」
「あらあら、それは怖いわね〜。」


 つかつかと靴を鳴らし近づいて来る。


「どうする?」
「皆んなそのままで。」
「あら?私を目に前に堂々と……面白いわ。坊やお名前は?」


―コツン。


 大きな白い鍵のような杖を床に着き、前のめりで笑いかけるサリエルさん。


「僕はソラヤ…と申します。」


 ぺこりとお辞儀をする。前に礼儀がなってないってキレられた経験から、少し礼儀正しくいこうと思う。しかし、これが天使の微笑み……美人な上に天使とか反則級に可愛いよな。


「んにゃ!?」
「どうかされましたか?」
「ん!何でもありません。ありませんとも。」


―コツン。


 微妙に顔が赤い。この感じシー達が照れている時の顔に似ているな。でも挨拶しただけだしなぁ。少し調子でも悪いのかな?


―パシ。


 頬を抑えるサリエル様。やっぱり調子悪いのかな?見ると薄着で寒そうだけど。何か羽織る物とかあったかな。


「ひ、人の子よ。」
「はい。」
「そんなジロジロ見るでないぞ。」
「あ、すいません。薄着で寒いかなって思い。それに綺麗なので見ていたいと言いますか。」
「はにゃ!?ん!その年で褒めるのが上手ですね。」
「僕は事実を言っているだけです。サリエル様は綺麗ですよ?」


 後ろを向いて羽根がバサバサ動かすサリエル様。あまり失礼の無いようにしたけど。大丈夫かな?


「ソラヤって時々あれだよね。」
「分かる。それを計算しないでさらっとやるから。」
「「はぁ〜……。」」
「え?僕が何?」
「「なんでも無いよ。」」


 シーとメイクが僕を見て溜息をつく。何か言いたそうな目だけど何だろう。


「しぃとの子よ…………我が門に何用だ?」


 噛んだ。揚げ足を取るつもりもないので、そのまま話を続けよう。


「はい。天使族の襲撃を受け、これより東の地へ行こうかと。それで、その……。」
「なんだ。申してみよ。」
「命令を出す人の話を聞き、説得もしくは倒しに。」
「命令を出す者?それに襲撃?人間界に?」
「はい。」


 腕を抱えて考え込んでいるサリエル様。この門にいる天使族だし何か知っているのか?


「ソラヤと言ったかしら?」
「はい。そうです。」
「天使達がした事を頭に描けるか?許可をもらえればそれを見たいのです。」
「良いですけど。どうやったうのでしょうか?」
「簡単な事だ。自分の目で見た事を思い出そうとすれば良い。記憶に残る物を拾い集めるのは私がする事なので。ただし嫌だと思えばすぐにやめましょう。後は目の前のウィンドウを見てくれるか。」
「よく分かりませんが、了解しました。」
「では……記憶投映メモリープロジェクション




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 光魔法【記憶投映メモリープロジェクション】の使用を確認しました。


 この魔法は使用条件に自身の同意が必要となります。


▶︎許可しない。  許可する。


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 凄く仰々しいウィンドウが出てきた。 こんな親切仕様の魔法があるんだ。えっと許可の方を選べば良いんだよね。とりゃ。




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 投映中止する場合は下の選択を選んで下さい。


▶︎終了する。


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 おう。視界の邪魔にならない場所にこんなウィンドウまで。この世界の不思議がまた一つ増えた瞬間だった。

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