少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

178話 戦闘好きの試練④

 殴り合う2人。気がつけば5分は過ぎて、オーラの様なものは無くなった。それでも尚も殴り合う。


「これ終わらないな。止めた方がいいかな?」
「いや、もう終わるよ。」


 何かを見ていた母さんがそんな事を言う。おそらく龍眼で見ているからHPかSPが底をつきそうなんだろう。


「やるわね。」
『中々に楽しい戦いだった。』


―バタ。


 その場に倒れ込む2人。


「ふふふ……。」
『ははは……。』
「『ふはははは!!!』」
「はいストップ。そこでまた立ち上がろうとしない。」
『む?』


 これをここで止めなければ、どこまでも続きそうだったから止めた。MPやSPは減っているけど、純粋な殴り合いはHPさえあればいい。


「全員じゃない個々の力を見るにでは?」
「そうでした。こんなに力を使うのは久し振りで。すいません。」
「それでリナとはもういいですよね?」
「あぁ。これ以上は別の機会にしよう。」
『そうだな。我の独り占めも良くないしな。』


 という訳で次行こう。ここから先は好きにやらせていたら、終わらないから1人15分ずつと区切ることにした。




 少し?と言うかだいぶ暴れすぎた王妃様の休憩をとって、試合は午後からとなった。順番はご飯を食べつつ決め、次はクロイの番である。


「ほほ。よろしくお願いします。」
「よろしく頼む。では、どこからでも来るが良い。」
「はい。時間も限られているので、始めから全力で参りますぞ。皆様、準備は宜しいでしょうか?」
「皆様?」


―ボウ。ブク。ヒュル。ビシ。キラ。ズズズ。


「小手調べはいりません。思いの丈をぶつけましょう!」
「ちょっ!?何これどうなって、危なっぐふ。」


 火水風の玉が宙を縦横無尽に動き回り、王妃様に確実なダメージを与えていく。土は行く手を阻んだり、体勢を崩したりと他の魔法の支援をしているように見える。光と闇は互いに正反対な属性だけに、反発や協力して攻撃をしていく。一見地味に見えるが、個々の特徴を瞬時で判断して回避もしくは迎撃。


「これは厳しいな!」
「ほほ。そんな嬉しそうに言われましても。」


 しかし、それも長くは続かない。基本は1対1で戦う事がないから、派手な一撃を食らわす余裕はない。なのでこの様な小出しで威力を出せる魔法の選択をした訳で……。


「その年で6属性をこれだけ操り、精度も練度も高い。一体どんな生活すればこうなるのか、私が聞きたいくらいだぞ。」
「ほほ。恐縮です。」




 その後は何事もなく進んでいく。


 ローゼは鞭を使った戦闘、相手を捉えたり弾いたり。動きを見ていても以前よりも早いし、性格だなって僕は思った。
 ナイトは戦わない。と言うか昨日の夜に黒焦げになるまで戦ったので免除である。


 父さんが戦ったが、自分から攻撃する術がない。ひたすらに相手の攻撃を15分耐えて終わった。その次に出てきたのは母さん。母さん自身も戦う術は無く……ではも相手の様子がおかしい?


「母さん何したの?」
「ちょっとだけ幻覚をね。でも大丈夫、その人にとっては幸せな夢。身体には問題無いよ。」


 確かに魔法の効果的には問題無いだろうけど。王妃様は凄くいい笑顔だし。一体どんな幻覚を……。




「は!ここは!?」
「王妃様大丈夫ですか?」


 魔法の詳細を話すと納得してくれた。


「なんとも恐ろしい魔法でしょう。幸せすぎて昇天しそうでした。」
「……無事で何よりです。」


 何この反応。怖すぎるよ。母さんの魔法自体はMND依存って話だけど、ここにいるメンバーで耐えられる人はいないだろう。


 残りはメイクとシーと僕。


「私がいくね。皆んなの見ていたら身体動かしたくなった。」
「程々にねシー。」


 次は加減を知らないシー。リナと戦闘は似ているけど、防御面が高い訳では無いから殴り合いは無いと思うけど。




―ッス。


―バキ!


―ッス。


―ドス!


 相手を撹乱した上での一球入魂タイプのシー。LUKが50あるからか当たれば嫌な音がする。それでも上手く躱したり受け流す王妃様。でも捌き切れない一撃が当たると少し苦い顔をする。


「はい。15分!」
「ん〜私もまだまだだな。ありがとう御座いました。」
「いやいや、そのLvで私とやり合えるのは凄い事よ?」


 シーを褒める王妃様は、攻撃を貰った箇所をさすりながら褒める。次はメイクだけど、痛そうだから母さんに回復をして貰う。


「じゃ、次は僕が行こうか。」
「え?ソラヤは最後でしょう?私が行くよ。」
「ん?別に良いけど。」
「このパーティのリーダーな訳だし。それに地形が変わる前に戦っておきたいし。」
「僕ってそんな認識なの?」


 仲間皆んながうんうんっと頷く。地形が変わるって……。


「回復感謝します。では、始めましょう。」
「はい。」


 上に被っていたローブを脱ぎ捨てるメイク。


「翼が片翼……。」
「うん。生まれた時からだから。」
「すいません。貴女は貴女よね……始めましょう。」
「では……参ります!」


―ジャキ。


 両手にナイフを構えるメイク。


―ドン!ッシュ、ッシュ!


「速い!」
「まだまだです。行きますよ!」


―ドゴォォン!


―パキ…パリィィン!


 地形が変わる前にってメイクは言っていた。だけど僕は言っておきたい。


「爆発するナイフに、地面が一部凍ってる。え?これ地形変わるんじゃ?」


 15分経った。


「これはこれは……僕によく僕に言えたよね?」
「えへ。色々試したかったんだ。まさかこうなるとは。」


 地面は爆発で平面とは言えない。至る所に氷の山が。


「戦い方がソラヤそっくりだね。」
「これはメイクさんも武器の禁止令が必要ですね。」


 マレット君の防御結界に守られてる中、シーとローゼがそんな事を話す。この後ローゼがメイクと話し合いをしていたのは至極当然と言えるだろう。


「さて、最後はソラヤさんですね。こんな惨状ですがどうします?」
「まぁ遅かれ早かれこうなってる訳ですし。もっと変わるかもしれませんし、このまま始めても問題無いですよ。」
「……。後の事は考えるのはやめましょうか。」


 やっと僕の番が回ってきた。マレット君もいるし、好きに戦って良いってローゼに許可も貰えたし。メイクは許可するしか無いのは言うまでも無い。


「さて、暴れさせてもらいます。よろしくお願いします。」
「えぇ。マレット。皆様をしっかり守るんですよ。貴方は戦わなくてもいいので。」
「はい。母上とソラヤくんが、気兼ねなく戦えれば。」


 そう言えばマレット君戦ってなかったか。安全の為だししょうがないか。

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