少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

168話 勇者継承で微妙な空気。

 リナとの戦闘中に突然流れたログ。犯人は国王様だった。僕が狙っていたタイミングに流れたもんだから、撃つのが少し遅れて回避された。これがもし逆だったらと考えると、ある意味運がいいのか?


「まぁやってしまったのはしょうがないです。」
「誠に申し訳ない。」
『それよりソラヤ。勇者がどうしたのだ?』
「よく見てないけど。スキルとか覚えたのかな。えっと短剣と剣と大剣と刀と盾をスキルLv10になった。」
『どれもソラヤが使ってない武器だな。』


 確かに刀は一番最初とエッジとの訓練で使ったくらい。短剣はメイクのを少し使ったかな。普通の剣とか大剣に盾とか触った事すらない。今はもう使ったないスキルが上がってもな。


「勇者だからな。剣関係のスキルは高いのだ。」
「まぁそうだね。でもこの武器僕はあまり使わないんだよね。」
「ま、まぁ他にもスキルはあるんだ!」
「他にも……。」


 ログを確認するとあった【英雄】ってスキルが。何とも凄いスキル効果が!


「基本ステータス1.2倍?」
「な!これは凄いだろう!」
「え、まぁ使わない武器スキルよりは……。」


 基本ほぼ20でINTだけ27の僕にとっては、24と32であまり変わらない数字。AGIだけは200あるから、240になる訳だけど。


「僕にとっては微妙だなぁ。でもHPとか少し増えるからいいのか。」
「一体どんなステータスなんだ?」
「AGI以外は20くらいだけど。」
「20が1.2倍で24か……微妙だ。」
「でしょ?」
「そもそもそのステータスに負けたのか……。」


 色んな意味で落ち込む国王様。これが平均的に上げていれば凄いスキルなんだろうけど。


「そうなると、国王様ステータス凄いのでは?」
「ほぼSTRとVITに振っているからな。それ以外は平均値だ。」
「何でこのスキル持っててそんなステータスに。」
「このスキルを受け継いだ時にすでに振っていたからな。それから他のに振り分けたが。」


 国王様だって人の事言えないじゃんか。でも今後のLvアップで上げるステータスに幅は広がるか。


「Lv40超えると中々上がらんからな。あまり変わらんが。」
「そうか。確かに40台から50まで上げるの大変だったし。」


 メイクの【グロウエッグ】のスキルがなかったらもっと大変だった。


「……今50まで上げたと言ったのか?」
「え?はい。そうですけど。」
「私よりLv高い人間がいるとは……しかもその年で?」
「え?何かおかしいですか?」
「私でもLv45だぞ……。」


 あれ?勇者って言うくらいだから、もっと高いと思ったけど。45だとメイクより一個多いくらいなのか。


「きっと魔界に行ったからですよ。あっちは強い魔物も多かったし。」
「それにしてもだ。強いと言っても仲間と戦わなければ勝てないだろう?」
「まぁメイクが居てくれて助かったけど。2人でも何とかなるよ?」
「……ちなみにだが。魔界ではどのくらいのLvと戦ったんだ?」
「どれくらいだっけ?えっと……50〜60くらいかな。」


 確かそんなくらいのはず。魔界は50超えるんだって思ったはず。メイクと一緒に戦い始めた時はたまに60近いやつもいたはず。


「そ、そんなLv帯に2人だと!?どんな戦闘すればそんな事に。」
「どんなってこんな?」
「あぁ……。」


 どんな戦闘と言われて、この場所を指差して答えた。妙に遠い目をして納得してくれた。本当は遠距離でバンバン攻撃したんだけど。


『ふむ。何かは分からぬが、少し強くなったって事で良いのか?』
「少し……。」


 なんか凄くガッカリしている国王様。勇者って言うくらいだから、もっと凄いのを想像していた僕が悪いのかも知れない。普通に考えたら1.2倍でも常人には凄いスキルなんだけど。女神様や龍神のスキル持ちの僕達からすれば、少しだけ霞んでしまう。


『何にせよ、目的は達成した訳だ。我もそこそこ満足したし……帰るか。』


 リナが空気を読んで戦闘をやめて帰ると言ってくれた。僕らも帰ろう。


 国王様も母さんに回復して貰ったとは言え、失った血までは戻らない。今日の所は大事をとって解散となった。


 帰り道。僕は思った。


「僕ら結局、何の為に王城に行ったんだっけ?」


 誰もが首を傾げ、今日一日が終わろうとしている。

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