少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

164話 会議の進行役は?

 しばらくして僕らは国王様に呼ばれた。屋根もなく広い王様の部屋だった所に案内された。


「よく来てくれたボックス。この様な場所ですまんな。さすがに屋根まで直すとなると、時間がかかりすぎるからな。」


 今この場にいるのはギルドマスター、仮面ギルドの団長ボックスさんと副団長レイランさん。それに魔界での当事者である僕とメイクとマレット君とリナ。あとは騎士団の人かな?シーのお姉さんノインさんがいる。


「話せればどこでも良い。で、捕らえた天使達からは何か情報はあったのか?」
「それが有力な情報は何も。大天使ミカエル様が神罰を降す。としか言わんのだ。」
「神罰と言われてもな。我ら人族が何かしたのか?」
「それも特に思い当たる節も無いから困っているのだ。ソラヤ殿から聞いた話では魔界でも同じ事があったらしい。」
「それは俺も聞いた。何だろうな……世界でも壊したいんじゃないか?」
「……。」


 世界を壊すって何とも物騒な話だ。でも、ここに来る前におじさんやレイランさんと話していた。結局それしかないのではないか?っと。


「南は我らが人間界。北はマレット殿のいる魔族界。西は……。」
『ん?』


 リナを見る国王様。


「リナに何かあるんですか?」
「いや、リナ殿は龍族と聞いているからな。何か情報があるかと思いな。」
『ん?我は龍族だが。聞きたい事があるのか?』
「いや、西の方は天使族が来たかとな。」


 ん?西って……。


「あ、龍の郷か。」
『あぁ。それで我か。すまんな、その頃は魔界にいたのでな。様子見てくる方がいいか?』
「それを私が頼む訳には。」


 国王様とリナが僕を見てくる。


「僕?」
『ソラヤが言えば良いのだろう?人間も色々と面倒なんだな。』
「人族が多種族に願ったり、命じたりは出来んのだよ。」
「僕が知らない何かがあるんだ。」


 だからおじさんもレイランさんもリナに対して何も言わなかったのか。あれ?僕も人族じゃないの?


「僕も人族じゃ?」
『ソラヤは我の友である。気にする事はない。』
「そんなもの?そうだな……西の龍族が仮に攻められたとして、確認しないとダメかな?」
「と言うと?」
「どこがどう攻められようと、天使族の大元。ミカエルのいるとこ行けばいいんじゃない?」
「ほぅ。」


 国王様の目が光った様に見えた。きっと気のせいだろう……でもギラギラしてるし、気配がなんかダダ漏れだよ。周りの騎士達が皆んな国王様を見ているよ。


「そんな期待された目で見られても。僕が言う事は一つ。天使族攻めればいいでしょう?」
「ほほぅ!」


 正解か?正解なのか。そんな身を乗り出して。


「国王様。何がどうなっても、地震だ乗り込む事はありませんよ。」
「そんな馬鹿な!貸しを返してもらうなら、この戦いの協力する他ないであろう!?……ちら。」


 そもそも僕が天使に戦いにくい前提だよね。まぁ色々旅をする前に壊されたくないから、止めようとは思っていたし。国王様がどうこう言う前に、メイクとマレット君とリナで決めていた事。シー達には後で言ったけど、きっと来てくれると思っていたし。


「ここで国王様連れて行くってなると、この王都沈みますよね?」
「そんな事はない。ここにいる騎士団長9人とも強いぞ?」
「「「「「「「「「え?」」」」」」」」」


 9人全員疑問の声を上げた。全員揃うってよっぽどだな。


「ほれ、皆の結束は心配いらんだろう?」
「そう言う問題ですか?」


 ほら騎士団長が国王様を囲み始めた。見えなくなって何か話し合いをしている。






 しばらくして……。






「しょうがないな。我はここに留まるとしよう。」
「この短時間に何があったの?」
「なに、切札を使ったまでです。」
「切札?」
「はは。いくらソラヤ殿でも教えられー。」
「王妃様です。」
「これアインツ。バラすでないぞ。」
「ここにいる皆様にバレてもいいでしょう。むしろ教えておきたいくらいです。」


 頭を抱える騎士団長のアインツさん。バラされて怒る事はなかったが、面白くなさそうな顔をしている。


「流石に国王様を連れて行く訳にはいきませんよ。もし連れて行くとしても、気の知れたシーのお姉さんか勇者ですよ。」
「わ、私と勇者様を比べられても……。」
「そう言えば、この国に勇者様っていないのですか?僕一度も見た事ないのですが。」
「何を言う。目の前にいるではないか。」
「え?」


 僕は目の前と言われて、一人一人顔を見ていく。騎士団長達が揃って首を振る中、1人だけ首を振らずにニコニコする人物が……。


「まさかですが。国王様が?」
「そうだ。勇者とは我の事。」
「え?ジルと、龍神と戦ったって言うあの?」
「龍神か、懐かしいな……もう30年も前の事だな。」


 まさかの事実。ジルが勇者が来たのは30年前と言っていたから、結構歳をいっているか。とっくに世代交代してると思っていた。それが現役だったとは。


「我も引退してもいいのだが、誰も我を倒せんのだ。」
「倒す?」
「そうだ。我を倒した者に勇者を引き継いで貰うのが習わしだ。」
「誰も勝てなかったり、事故とかでできなかった場合は?」
「その時は別の誰かに譲渡されるとか。その方法は神のみぞ知るだな。」


 誰かに譲渡か。たぶん転生するとか覚醒したりするんだろう。まぁ僕には関係のない……。


「そうだ。いい事を思いついた!」


 突然声を上げる国王様。いい事と聞いて誰しも良い想像はしなかった。


「ソラヤ殿。勇者の称号いらないか?」
「…………へ?」


 今この人は何言った?おっとこの人じゃない、勇者で国王様だった。


「無論タダではない。我と戦い勝てればの話だ。」
「いや、さっきの話は聞きましたが。そもそも誰でも挑戦して良いものなんですか?」
「構わんよ。現に騎士団長達は我に挑んで負けておる。」
「え〜……。」


 騎士団長達が勝てない相手と戦うとか。しかも一対一でしょ?ん〜どうしよっかな。


「ソラヤ。戦ってみれば?ってか戦ってみたそうだよ。」
「そんな事ないよメイク。別に僕は勇者の肩書きが欲しい訳でも、戦闘狂って訳もないし。」
「ソラヤは強い相手と戦うの好きじゃないの?龍神だって戦ったって言ってたし。」
「あ、メイクそれ秘密なの。」
「なんと!ソラヤ殿も龍神様と戦ったのか!?」
『龍神様と戦った?そうなのかソラヤ?』


 メイクはハッとなり謝ってくる。言っちゃダメって言ってなかった気がしたし、まぁここに居る人達ならいいか。


「いずれバレる事だしいいよ。でもそれと戦闘は。」
「勝って勇者の称号をってに入れると、基礎ステータスあがるぞ?」
「…。」
「天使族と戦うにも必要だと思うがな。」
「……。」
「仲間にも恩恵もあるし、あって困るスキルでもない。」
「………。」


 後ろを向き仲間を見る。


 マレット君は期待の眼差し。メイクはにっこり笑い、弾丸を差し出してくる。リナは面白そうに尻尾が少し揺れてる。


「せっかくの誘いだ。やってみれば良い。ちなみにわしも勝てん。」
「マスターは攻撃が単調ですから。国王様と相性は悪いです。」
「おじさんが勝てないのか……面白そう。」


 戦う気はなかったけど、僕の中では初めから決まっている。


「では、その称号貰います。」
「はは!そうこなくては!!アインツ準備だ!」


 話が凄く脱線していることに気がついたのは、全ての事が終わった後だった。話の進行をする人が1番脱線していたし、しょうがないか。



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