少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

152話 気になる事は確認する。

 戦いが続くが決着はどうなるのか。爆発が続く中僕らは見ているだけ。


『バトラス殿。この戦いはいつまで続くのか?』
「ふむ。おそらく第三者の介入か、何か別な事が起きれば?」
「見ている僕らの介入が無いとすると……いや、言わないでおこう。」
『言ってはいけないとはどう言う事だソラヤ?』
「例えば何か良く無い事が起きて、僕らが移動するような……。」


―ドドドド……ぐら。


「「……。」」
『揺れたな。』


 爆発音が止まりミステリアが戻ってくる。


『今の揺れは何かしら?先に言っておくけど、私じゃ無いわよ。』
「お城の防衛魔法が発動したのかも知れません。」


 マレット君が遠くを見てそう言った。


「若様の防衛魔法が発動したとなると?」
「お城がマズイかも。戻るよ3人とも。」
「は!おい、ソル動けるか?」
「あぁ。なんとか。」


 4人が慌てて帰る準備をする。


「すいません。戦いの途中ですが、僕らはお城に戻るので……。」
『いいわよ。緊急事態なんでしょ?少し動いて私も満足だし戻るわ。』
「ミステリアさん、ありがとう。」
『この子もさっきの揺れで起きそうだし。あと頼んだわよソラヤ。』
「え?頼んだって?」


 戦いも途中だけど、ミステリアも空気を読んだか再開する気は無いみたいだ。そして頼んだと言ってその場に倒れる。


「危な!」
「ん……。」


 ギリギリでメイクを受け止める。よく見ると羽根も片方だし、戻るってそう言う事なのね。


「あれ?ソラヤ。生きている?」
「うん。お陰様で。」


 まだ少し寝起きな感じのメイク。


「それでは我々は帰ります。またどこかで。」
「リナ殿!次また再戦をお願いするぜ!」
「ソラヤ殿またの機会に。」


 黒い渦の中に3人が入って消えていく。


「ソラヤさん。今度はこんな場じゃなく、お客として魔王城に来て下さい。お気をつけて。」
「マレット君も気をつけて!」
「マレット君……ふふ。それではまた会いましょうソラヤ君!」


 そして黒い渦が消えていった。






「しまった。ついマレット君って。魔王様の子供なのに。」
『別にいいだろう。人族が魔王に気を使うこともない。それに向こうも嫌な感じはしなかったぞ?』
「そうかな?それならいいけど。」
「なになに?何があったの?」


 ここで何があったかメイクに説明しないとだな。ミステリアにはどちらでもいいと、言われたけどちゃんと説明するべきだと思う。


「メイクに話す事があるんだ。メイクをいつも見守ってくれていた人の話を……。」
「ん?うん。」
『その前にメイクを下ろしたらどうだろう?』
「「あ。」」


 倒れたメイクを抱きかかえたままだった。少し恥ずかしそうにメイクはゆっくり立ち上がる。


「どこから話そう……。」


―ドドドド……ぐら。


「この揺れは?」
『それは我らにも分からん。魔王城に何かあったとしか。』
「……大丈夫かな?」
「気になるなら見に行く?お話はリナの背中でもいいよ?」
『我もそれで構わんぞ。正直何があったか気になるしな。』
「2人がいいなら。」
「私はソラヤに着いて行くだけだよ。」
『我も暫くは共に居ようと思うぞ。』


 リナが少し離れて龍の姿に戻る。


『サァ、乗ルガイイ。』
「大きくなると言葉元に戻るんだね〜」
『フム?魔力デ伝エルノデナ。』
「不思議だね。」
『後デ調整シヨウ。』


 リナの言葉は調整でどうにかなるのか?今はまぁいいか。僕はメイクとリナの背に乗る。
 魔王城は割とすぐ着くはず。なのでメイクには一番大事なミステリアについて話しておいた。


「そうなんだ。だから私、生きているんだね……。」


 自分の羽根を触りながらメイクは少し考え込む。


「どうしたの?」
「今まで気がつけなくて、ずっと1人にしちゃったから。そう思うと、なんか悲しくなっちゃって。」
「……。」
「だから私、ミステリアと話せるようになりたい!」
「そうだね。僕も手伝うよ。」
『我モ協力シヨウ。』
「ありがとうソラヤ、リナ。」


 さて、ミステリアについては話した。戦闘面とかマレット君にした事は言ってないけど。それは今はしなくていいだろう。そろそろ魔王城が見えてくる。


『ム?何カ来ル。』
「遠くてよく見えないけど。飛んでる?」
「ここは我々が支配した!侵入者は排除…『煩イ。』あぁぁぁ……。」


 リナの前足一撃で地上に落ちていく何か。


「話も聞かずにはたき落としていいの?」
『龍族二対スル礼義モ知ラン者ゾ?問題無カロウ。』
「排除がって言ってたし、武器を向けてきたから味方ではないよ。」
「そんな事も言ってたね。」


 確かに味方ではないだろう。だからと言って話す前に倒してしまって良かったのか。もしもマレット君の部下だったりしたら……まぁ気にしないでおこう。


『ア…あ〜…ん!!よし。』
「ん?」
『完璧だな。どうだ?聞き取りやすいか?』
「うん。完璧!」
「そんな簡単に出来るものなの?リナが凄いだけか?」
『我は凄いからな!ふふん!』


 ご機嫌に空を飛ぶリナ。時折、空にいる何かを地上へ落としている。僕はもう気にしない事にした。


「な!龍だと!?我々の邪魔…あぁぁ。」
「我が物顔で飛びやがっあぁぁぁぁ。」
「なんだぁぁぁぁぁ。」


 聞こえない。僕は何も聞いてませんよ。


『小蝿が煩いな。どんどん寄ってくるぞ?』
「少し手伝おうか?」
『それには及ばんのだが。このまま魔王城の上を飛んでいるのもって思ってな。』
「一度離れようか。門の前に降りて中に入ってみようか。」
『了解した。』


 リナが反転して地上に降りようとすると、目の前にいっぱい飛んでいる人が立ち塞がる。


『邪魔だ!ウィンド・バースト!』


―ゴォォォォ!!!


「うわぁぁ!」
「ばかなぁぁ!!」
「ぎゃぁぁ!」


 色んな悲鳴が聞こえるがしょうがない。龍の前に立ち塞がる訳だし。リナの風のブレスによって目の前の飛んでいた人達は……人達?


―ズズズ……。


 すると目の前に黒い渦が発生した。


「これは?」
『この魔力はあの魔王の子のものだな。』
「飛び込めって事?誘われてるとか?」
『門から入るよりは、手取り早いと思うがどうするのだ?』


 リナが言うに魔力はマレット君のものらしい。周りには僕らしかいなくて、門から中に入ろうと思っていたから手取り早いのは確かだ。


「どうせ行くなら早い方で行こうか。メイクもいい?」
「うん。着いて行くよ。」
『では参ろうか。』
「ちょ!リナは人型で飛び込んで。出た先が狭かったら……。」
『それはちと、問題だな。ソラヤ達が飛んだ後人型で追う。』
「お願いね。じゃ、行くよ!」
「とぉ〜!」


 僕はメイクの手を取り黒い渦へと飛び込んだ。



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