少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

133話 たまたま、本当にたまたまなんだ。

  村から飛んできたおじさんにも言われ、聖魔弾はメイクの許可が降りるまで禁止になった。まとめて敵を倒せるから、効率としてはいいと思うんだけどな。


「ところで坊主はこれからどうするんだ?」
「とりあえず、素材を集めて売りに行こうかと。」
「魔物は今さっき跡形も無くなりましたが。」
「……ん。今度は1匹づつ確実に仕留めて行こう。って事で上空のあれから。」
「上空?なんか飛んでるな…。」


―ガチャ、ズゥゥン……チュゥン。




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《ウェイストランド・ウォッチバード Lv51を倒した。765(1,530)の経験値を得た。》
―メイクはLv13→Lv14になった。5ポイント獲得。


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「またLv上がった。」
「はへ?」
「おじさん、3歩後ろに下がって。割と急いで。」
「な、なんだ!!」


  慌てながらも、ちゃんと下がるおじさん。3歩と言わず10歩くらい後ずさる。


「そんな離れなくても…。」


―ドサ!


「ね?大丈夫でしょう?」
「これ、さっき上飛んでたやつか?」
「そうですよ。」
「また一撃…いや、もう驚かんぞ。」
「はい。回収。」
「…。」


  何かを言おうとしてやめたおじさん。前にも魔物の弱点を突けば出来ない事もないと話していたし。
それより何を警戒しているのか、鳥が集まり始めた。


「何を警戒しているのか。」
「鳥さん集まって、上でくるくるしてるね〜」
「何を警戒って……。」
「よし、犬の魔物も鎧の魔物も近くにいないし。あれ回収して村に売りに行こう。」
「はーい。」
「なんか軽いな。しかしさっきよりも遠くに見えるが?」
「ん、MP5追加で届くよ。」


―ガチャ。


「様子見は悪手だ…」


―ズゥゥン……チュゥン!




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《ウェイストランド・ウォッチバード Lv51を倒した。765(1,530)の経験値を得た。》
―ソラヤはLv25→26になった。5ポイント獲得。


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「よっと。おじさん動かないで、メイクは右に2歩。」
「またか!?」
「右に、1歩、2歩!」


―ドサ。


  うん、狙いバッチリ。さらに警戒してさらに上空に上がる魔物。だけど森から狙うより真下にいる今は、さっきよりも距離はないし狙いやすい。


「この調子で落として行くからよろしく。」
「はーい。」
「だから軽いな、おい。俺に落とすなよ!」


  ギャーギャー言ってくるが、一応気にかけておこう。上から落下したのが当たると危ないしね。この前覚えた【空間把握】ってスキルのおかげで、何がどこに落ちてくるのか分かるって気がついたのは後の話。


…。


……。


………。


「あらかた片付いたかな?」
「もう見えないね。」
「……。」


  さっきまで落ちるたび叫んでたおじさんも静かだ。人間慣れって大切だ。熊の魔族だから熊?まぁどっちでもいいか。


「ところでおじさんは、ここに何しに来たの?」
「とてつもない爆発が2つあったから、確認に来たんだ。心当たりがあるから、村の者には落ち着くように言ってからな。」
「そうですか。大変ですね。」
「おいおいおいおい。他人事か?」
「「ごめんなさい。」」
「まじで気をつけてくれ。前に龍神様が近くに来た時も大混乱で、暴れているんじゃないかと不安がっているんだよ。」


  龍神様ってジルか。確かに突然現れたら慌てるよな。でも話せば分かるし、無駄に暴れたりしないと思うんだけどな〜。


「次から気をつける。」
「本当に頼むぞ。」
「分かりました!」
「本当かね〜……まぁいいわ。それと坊主に渡しておきたい物があったから持ってきた。」


  そう言うと、おじさんは鞄から一つの大きな布を取り出した。


「これは?大きい布?いや、マントかな?」
「そうだ。ギルドにたまたま余っているのがあってだな。これをかけると装備とかが隠す事が出来るんだ。」
「装備を隠す?」
「まぁ見ていろ。」


  おじさんは持ってきたマントを羽織った。


「どうだ?」
「どうだと言われましても…。」
「鞄!見えなくなっているだろ?」
「「???」」


  鞄なんかあったか?おじさんの背中には何も無いように見える。そして、マントを取ったり、羽織ったりを繰り返してくれる。


「ほほぅ。マントの中身が見えなくなる物かな?」
「そうだ!やっと分かったか。」
「あ、はい。それでこれを渡したかったんですか?」
「あぁ。ギルドにあったやつだから遠慮なく使え。」


  受け取る前提で話が進んでいるけど、何か罠があるんじゃ無いか?貰ったからと何かお願いをされたり……なんて、これはきっとメイクに渡す物なんだろう。


「ん〜マントの下の装備を隠すのは良いかもだけど。僕は別に隠す装備もないし、アイテムは仕舞えば良いだけだしなぁ〜。」
「ん!!ん?ん?」


  分からないフリををしてみるけど、分かり易いくらいの目で合図をしてくるおじさん。知っているよ、これを付ければ天使の翼も隠せるんでしょ?なんで直接あげないのかね?


「だけど、僕は自分のをもう持っているんだよね。これ僕がどう使っても良いんだよね?」
「あぁ。好きに…ちら。してくれて良い。」
「ぶふっ。あ、すいません。メイク。」
「ん〜?」


  笑いを堪えながらマントをメイクに差し出す。マントを見て首をかしげるだけのメイク。遠慮してるのか、受け取ろうとしないメイク。なのでアイテムからマントを出して装備する。


「ほら、僕はこれがあるから。このマント着てみてよ。」
「私が?良いの?お供えじゃないものだよ?」
「いーの、いーの。紳士なおじさんのプレゼントだよ。」
「ばっ!?ちげーし!」
「はいはい。」


  受け取って早速マントを着けるメイク。その場でくるっと回ってどう?って聞いてくるがおじさんはウンウンと頷いている。メイクに耳打ちして、ある言葉を伝える。


「おじさん。ありがとう。」
「よせよせ、俺は村の人が問題起こさないようにやるだけだ。」
「ニヤニヤ。」
「坊主はそのニヤニヤ止めろ。ってか口に出してるぞ。」
「知ってる。」


  やりにくいそうに頭をかく。きっとコレは照れているんだろう。


「俺は先に帰るからな。」
「はい。有難うございました。」


  背を向けて手を軽く振り村まで帰るおじさん。


「さて、僕らも村に行こうか。」
「え?でも私は…。」
「そのマントがあるから大丈夫だよ。」
「マント……あれ?羽根が見えない。」
「今気がついたのか。」


  そして新たなアイテムをたまたま貰い、本当たまたまギルドにあった物をだったが、外で騒ぎを起こした僕にたまたまくれたマントのお陰で、メイクと一緒に村に入る事が出来る。


「顔も隠すかな?これ予備あるから貸しとく。」
「何これ?」
「こうやって顔に着けるんだよ。」
「こう?」
「そそ。一応顔を隠した方がいいかもしれないし。」
「分かった〜」


  そうして門番の前まで来た僕らは…。


「怪しいな、そこの2人組。止まりなさい。」


  門番に止められました。あれ?どうしてだ??

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