少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

123話 ここはどこ?

筒状の何か……あれはもしかしたら巻物とか、呪文が載っているスクロールだったりするのかな。
僕は暗闇の中、1人考え込む。


「誰かいますか〜?」


………。


誰もいないようだ。
これも何度かやってるんだけど、誰からも返事もなければ音すらしない。


目は開いていると思う。
でも何も見えない、匂いもしない。
ちなみに夢かどうかは、頬つねって確認済みである。


「ここが何か分かんないから、銃を撃つのも危ないしな……困った。」


とりあえず床か分からないけど座ってみる。
闇雲に動いても体力使うし……これ座っているんだよな?


…シー達どうしたかな。


…。


……。


飽きた。


じっとしてても始まんない。
状況を確認しよう。


大臣に何か投げられた。
おそらく魔法の類で、黒い霧の様なものに包まれたのは見えた。
そうなると、これは隔離の魔法か五感を奪う魔法か。


体は動いている気がする。
そう言えばつねって痛かったわ。
立ってみて手探りで前に向かって歩いてみる。


………これ歩いてるのか?地面を踏んでる感覚がないんだよな。
宙に浮いてるのか?あれ?この感覚どこかで体験した様な。


「寝てる時か…この浮遊感に違和感………。」


ふと頭をよぎった一つの可能性。


「異世界転移…。」


これは、ほっといたらまずい気がしてきた。
魔法をキャンセルさせるか、強い力でかき消すか。


―ガチャ。


今はこいつに賭けるしかないな。
目が見えなくても、体が、感覚が自然にリロードする。
これでダメなら、あとは神頼みだ。


「聖魔弾…ぶっ壊してこい!」


―ズゥゥン……キラッ………。


「ん?爆発しない?」


―ドゴォーン!!!…ビキ…バリィィィン!


「おー。ちゃんと爆発したな。最後の割れた様な音は何か分からないけど。」


………音?


それに爆発も見えたし、土の匂いもする。
その場で足踏みをする。


「おぉ踏んでる感覚だ。」


そして周りを見渡す。
空は暗く夜って感じで、大きい岩が荒野に広がっている。
家やビルが見えないから、ここはきっと元の世界ではないな。


すると、ここはどこなんだ?









「ソラヤ!?どこ!?」
「ふはは、私をコケにするからだ。ざま…」


―ゴス!


「ごは!ぎ、ざまは!?」
「…今のはなんだ?」
「はっ?」
「何だと聞いている?」


―ゴス!ゴス!


「何をしているの!大臣を守れ!」


―シュルゥ…パン!シュルゥ…パン!


「させないわ。ブルーム、その人殺しちゃダメよ。」
「どうかな。役に立つなら考える。」
「私の話を聞いてくれるうちは大丈夫ね…周りの兵は任せて。」
「ありがとう。」


―ゴス!


「ごは!ごほっごほ。も、もう、やめ…。」
「これで最後だ…あれは何だ?」
「て、転送の……。」
「……。」
「…転送のスクロール。」
「…そう。」


転送のスクロール……?
スクロールって聞いた事がある。
でも転送が分からない。


「ローゼ。転送のスクロールが何か分かる?」
「それを大臣が言っていたの?」
「私は知らない。」
「転送のスクロールは分からないけど。スクロールとは、魔法を封じた書物ね。」
「はっ、禁忌の書物だ。庶民が知るものか。」
「っち。知っているなら話せ。」
「誰が…」


―ゴス!


「……喋る?」
「は、はひ!」


死なない程度に手加減するのが難しい。
でも出来ないと、一撃でしんじゃうし。
そうなれば、ソラヤの事が分からなくなる。


だから……。


「それで?」
「転送のスクロールは…別の場所に移動する物です。」
「別の場所に……その場所は分かるのよね?」
「………それは………。」


え?


今なんて言ったの?


ソラヤ…。


…………。









しばらく歩いてみた。
僕の知る荒野でない事は分かる。


なぜって?


「言葉通じるかな?」
「「……。」」


2人の門番みたいな人に槍を向けられている。
その2人は背中に大きな翼がある。


「ん〜魔族?」
「「……。」」


これはどうするべきか。


「入っていい?」
「「……。」」


2人は黙って、槍で入口を塞ぐ。
僕の言う事分かっているのかな?


「僕はソラヤです。冒険者なんですが、ここはどこでしょうか?」


ギルドカードを見せる。
この行為が意味あるか分からないけど、身分を確認するにはそれしかない。


「ここは魔界だ。ランクは…足りているな。入れ。」
「あ、ありがとうございます。」


…。


……。


………魔界?


どうやら僕は、今魔界にいるらしいです。

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