少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

122話 不吉な噂?

二手に分かれて、僕とシーとローゼで武器屋に行く事になった。


「こんにちは。」
「お?仮面の坊やじゃないか。またやらかしたんだってな。」
「またって…僕は何もしてませんよ。」
「確かこの前だったか、大臣とその部下を倒したとか。」
「あーそんな事ありましたね。」


そう言えばそんな事が……忘れていた。
結局あの後、何も無いけど大丈夫なのか?
後でレイランさんに聞いておこう。


「でもってその後、岩山の魔物殲滅と。」
「殲滅って。僕らは普通に狩りをしていただけですよ。」
「坊やは、その普通の基準がおかしいんだよ。」
「そこはその通りです!」
「ローゼ…。」


別に否定はしないよ?しないけど…そこまで強く言い切るか。
ほら、ローゼの勢いに武器屋の店主さんが引いているよ。


「まぁそんなのどっちでもいいや。弾丸の補充したいんだ。」
「あんだけ弾丸渡したのにな〜。弾丸って結構お高いんだぞ?」
「知ってますよ。でも武器にケチって、仲間を危ない目には合わせたく無いので。」
「そこはしっかりしてるんだよな。ま、私は儲かるし、噂を聞くだけで面白いから良いんだけどね。」
「随分とはっきり言いますね。」


お客様相手に儲かるからと、普通は言わないだろう。
人には普通ではないと言っているが、この店主も中々と普通じゃない人だと思う。


そして新しい手持ちの銃に、渡した試作弾の調子を聞かれた。


「どちらもとても使い勝手が良かった。出来れば在るもの全て買っておきたいくらい。」
「そうかい!?そりゃ〜嬉しいね。」




ボラゾンっと呼ばれる素材の銃は、硬い言うだけの事がある。
イーグルの爪や嘴の攻撃を、弾いたりしてもひび一つ入らない。


それと貰った2種類の弾丸、風魔弾は離れた敵を撃ち抜くのに適している。
魔力を込めれば飛距離が伸びる。


氷魔弾は相手を拘束出来る。
一番最初に魔力を込めすぎた話をして、そんな効果があったんだと店主さんも驚いていた。




「坊やに任せて正解だったよ。とっても参考になったし、次あればまた頼むよ。」
「いえいえ、こちらこそ。」
「あ、補充って言ってたな。持ってくるよ。」


裏から沢山の在庫を持って来てくれる。
STRも少し上げて18あるし、限界ギリギリの重量まで買った。


「結構買って行くな。持てるのか?」
「最近Lv上がって、持てる重量少し増えたから。」
「へ〜冒険者は便利だな。でも銃弾以外も入れるから、そんなでもないのか。」
「僕は9割銃弾だよ。」
「……え?それでいいの?」


僕ではなくローゼに聞く店主さん。


「良くはないが…今はパーティで動いているからな。」
「この前も弾丸を少し私が持ってた。」
「助け合いって事か。でも弾丸9割はやり過ぎでは?武器屋の私が言うのもあれだが。」
「そうかな?別に困った事ないし…。」
「困ってからじゃ遅いぞ?」
「そうだね…。」


なんか言われて突然不安になった。
僕の持ち物は、武器と弾丸、石と回復ポーション。
あれ、最低限はあるんじゃ?


「ローゼ。最低限って何がいる?」
「水と数日分の食料だと私は思う。」
「あーそう言う事か。シーはどう思う?」
「最低限?そうだな……この拳とか?」
「分かる。僕も銃と銃弾あって、あと石と回復ポーションあるからこれが最低限じゃって思うんだ。」
「私も回復ポーションある。一緒だね。」
「「…………。」」


ローゼが言う最低限は1人での話。
シーに聞いたら同じ様な考え方だった。
やっぱり戦う最低限の装備があればいいよね。


「回りの者が、しっかりしないといけないわね。」
「貴女も大変そうね…。」


僕らを見て微笑む2人。
僕とシーは顔を見合い、首をかしげる。


そして銃弾は補充したので、店を出ようとした時に店主さんが気になる事を言ってきた。


「大臣には気をつけてね。」
「え?どうして?」
「ここ最近見かけた無くて、幽閉されてるとか、逃亡したとか色んな噂が流れているわ。」
「それと僕にどんな関係が?」
「ここに来て始めに言ったでしょ?傭兵を倒したとか。あれが原因ではって話もあるのよ。」
「恨まれてる?」
「そー言う事。あくまで噂だから。気になるなら西口の渡り鳥くんに聞くといいわ。」
「渡り鳥くん?」
「そそ。通称ね。西口にいるおしゃべりな門番よ。あの人噂ごと好きだから。」


あぁ。あの人か。
この街の僕らの話は彼がしていたし、噂の発信源か…。


「分かりました。ちょっと気になりますし、行ってみます。」
「はいよ。またどうぞ〜。」


武器屋を出るとローゼが考え込む。


「我々が谷山に篭っている間に、色々とあったみたいだな。」
「そうみたいだね。行くとこ決まってないし、一度西口の門番さんに情報収集しようか。」
「それがいいだろう。」


ローゼと話をして向かう事にした。
シーはどこでもいいよ〜って感じなので、一緒に向かう。








危険察知が発動する。


「2人とも危険察知が。周りを警戒。」
「あの話、やはりあながち間違いでもないか。」
「大丈夫、返り討ちだよ。」


それぞれが武器を構える。
街中なので、僕は銃を出さずに警戒する。


見渡すが人が多すぎて分からない。
すると2人の男がちか近づいてくる。
ローゼが前に出て、僕とシーがその後ろにつく。


「失礼ですが、何かご用でも?」
「「………。」」


黙って立つだけの2人。


―カタカタ。


ふと後ろの音に気がつく。


「その馬車から離れて!」




1番近くにいたのはシー。
近づく馬車の扉が開き大臣の顔が見えた。


何かを投げる動作が見えたが、銃で撃ち落とす時間もない。


僕は駆け寄りシーの腕を掴んでローゼに投げる。


「受け止めて。」
「おっと!ソラヤ!」
「ソラヤ!」


筒状の何かに、ひらひらとした何かが目に映る。
これくらいなら、ハンドガンで……。


…グラッ。
一瞬視界が歪んだ様に…。


「え?」


筒状の何かは、黒い霧を発生させた。
僕はそれを見ることしかできなかった。



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