少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

107話 とんでもない結果。

やたら元気な門番に見送られ僕らは、逃げるように外に出た。
そして昨日と同じ道のりで岩山まで来た。


「やっぱり道中魔物いないよね。」
「草木も少ないですから、地上の生物は生活し辛いのかと。」
「岩山じゃない方行くと何があるんだろう?」
「商人が良く出入りがあるので、大きい街はありそうですな。」


まぁ今は行く事はないけど、王都を出る事があれば行ってみてもいいか。




「それよりこの岩山ですが。この前ゴールデン・イーグルを倒したとこまで行きます?」
「あそこって寝泊まりするにも、安心できないし。出来ればもっと先に行ってみて水辺があるとこに行きたいな。」
「そこを拠点に動く感じですな。分かった。」


これからの方向性をクロイと話しながら進む。
岩山とは言え、どこかに水脈はあるはず。
なければ…その時考えればいい。


そのまま突き進む僕らの前に、1体の魔物が見えた。


「お母さん、あれどんな感じ?」
「うわぁ、気持ち悪い。」
「Lvとか見えるかな?」
「あ、そういう事ね。んー…マムーLv30のレア度Dだね。」


お母さんに見てもらったけど、女の人なら苦手な人も多いだろう。
ウネウネ動き、口からピロピロ舌を出して動く。


「クロイ。蛇って食べられるの?」
「食べる事例は聞いた事がありますが。わたくしは食べた事がないので、どう処理して良いかも分かりません。」
「処理なら俺やりますよ。首さえ落としてしまえば、毒も大丈夫ですし。」
「そうなんだ。ならまずはあれを…剣使えるのエッジだけか。」
「そうっすね。」
「頭飛ばせば良いかな?」
「どうするんですか?」
「え?これで。」


取り出した銃をエッジに見せる。


「銃じゃ厳しくないですか?弾丸自体が頭より小さいですし、何より当たりますかね?」
「頭を狙って撃つのは、やっぱり難しいのか。」
「そっと近づいて、後ろからって言うのがセオリーっすけど。あいつら嗅覚鋭いから、捕縛して退治ですかね。」
「捕縛ね…うーん。」


僕らのパーティで捕縛といえば、ローゼの鞭だけど。


「私?猪や狼は捕まえられるが、蛇は出来ないと思うわよ。」
「ってなると…クロイの魔法かな?」
「動かなくするのであれば…闇の重力か、土で埋める、後は凍らせるでしょうか。」
「それだけ方法があれば十分っすね。」


そんな作戦が立てる中、何個か弾丸を取り出す。


「ソラヤ。その弾丸は見た事ないが、なんだ?」
「これ?武器屋の人に貰ったやつ。超遠距離用の風の弾丸と、凍る弾丸。」
「また物騒なものを持ち出したな…。」
「そう?爆発するのよりマシじゃない?」
「試す前に実戦するんじゃないぞ?」
「じゃー今する?」
「どう思う?」


ローゼが皆んなに聞く。
僕がこの弾丸使うのに、そんなに不安かね〜?


「そうっすね。試し撃ちはなんでも必要ですけど、相手が蛇ですからね。」
「当たるかどうかの問題なら、空ちゃんなら問題ないと思うよ。」
「「うんうん。」」


当てるのが難しいと考えるエッジ。
当てる事なら問題ないと言うお母さんに、頷くお父さんとシー。


「ソラヤなら当てるでしょうね〜」
「まぁ外したところを見た事ないからな…。」
「もしもダメであっても。わたくしがその後、魔法を撃ち込めばいいと思いますよ。まぁ外すとは思いませんが。」


ナイトもローゼも僕が外すとは思っていないらしい。
クロイも思ってないみたいだが、もしダメでも魔法で拘束してくれるとの事。


どっちに転んでも大丈夫なら、気も楽だしやってみよう。


「どっちにするか…感じ的に氷が拘束ぽいかな。」


―ガチャ。


ん?なんか吸われてるようなぁ?


「どうしたソラヤ?」
「あ、何でもないよ。」


属性弾だし、魔力でも使ってるのかな?
自分のステータスをみると、MP380/390になってた。
ふむふむ。これMP使うのか。
正直MPの使い道のないから、もっと使っても良いんだけどな。


ん??また吸われた。MP370/390になってる。
これはもしかして、意識して魔力を込められるのか?


「………ふぅ。」


「いつになく慎重だな。」
「きっと的が小さいっすから。」
「ソラヤは割とポンポン撃つんだがな。それでいて命中率もいい。」
「それって凄いっすよね。」
「だからこそ、おかしな銃弾も気がつけば撃っているんだよ。」
「なんか想像できますね。」


ローゼが見守る中、僕は魔力を込め続ける。
それを集中していると思っているらしい。
エッジが言う的が小さいからではない。
魔力の込め方がイマイチわからず、少し苦戦しているのが現状。


「…こんな感じだな。」
「おや?」
「どうかしたかクロイ?」
「いえ、きっと属性の銃弾だからでしょう。」
「ん?一人で納得しないで説明を…。」


―ズドォ……ッチュン!


「当たっ…。」


―バリ………バリィィィィィ!!!!!


「「「「「……え?」」」」」
「わぁソラヤ綺麗だね。」
「ほほ。これはまた、とんでもない。」
「おぉ。これは凄い。」


弾を撃った後、魔物のHPを見れていたお母さんが、当たったと言いたかったんだろう。
直目の前に広がる光景に、皆んな声を失ったみたいだ。
シーは単純に綺麗で喜んでいる。
クロイは驚いているようだが、魔導師なだけに予想でもしていたかのような反応。
僕自身もこうなるとは全く思ってないから、凄いとしか言葉が出てこなかった。


「ソラヤ…どうしてこうなった?」
「僕もこうなるとは…MPは全部使ったけど。」
「MP?ソラヤ今いくつあるんだ?」
「全部で390かな。」
「魔力反応したので、もしやと思いましたが。そんなにMP使えばああなりますな。」
「ちなみにだが、クロイはどれくらい使うんだ?」
「たくさんあるので、あまり気にしてませんね。好きな時に精霊様に任せてますので。」
「……。」


へー。クロイはきっちりしてるから、その辺も見てるかと思った。
まぁ任せているからこそ、あれだけ特大の魔法出てくるのかね?


「クロイのは…MP2,820って2,000以上違うのか。さすが魔道士。」
「ほほ。そんなもんですよ。しかし、あのままだとこの先進めませんね。炎で溶かします?」
「……MP100まででってお願いはできるのか?」
「ふむ。聞いてみましょう。」


僕の撃った氷魔弾は敵の頭部に当たり、その後全部込めたMP390分の効果が凄かった。
蛇を凍らせれば良かったのに、家ぐらいの大きさの氷が張り巡られている。
当然だけど道は塞いで、この先に行くにはこの氷をなんとかしないといけない。


クロイが炎で溶かしてくれるみたいだから良かった。
ローゼはその際MP100で出来るか聞いていた。


「ふむふむ。はい。聞いてみますね。」
「で、どうだった?」
「出来るみたいですよ。ただ、全て溶けるかどうかは五分五分との話です。」
「いいんだ。MP100でどの程度威力が出るか知りたいだけだからな。」
「そういう事ですね。では、早速参りましょうか。」


クロイがそう言うと、杖を取り出し魔力を高める。
ん?魔力が見える…これは……?


「…巡る炎フレイムオーバー。」


―ッチ…ッチ…ボゥ…ボゥ………ゴォォォォォ!!!


氷の周りに火花が見え始める。
火が少しずつ見え始めたと思ったら……突然火力を上げて燃え始めた。


「………。」


ローゼの言葉にならない顔が。
僕とクロイは見なかった事にして、前を向く。


氷溶けるかなー?



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