少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

106話 西口の門番は元気。

武器屋に着いた僕達。


店主が出て来る。


「ん?昨日仮面の坊や達じゃないか。どう…し、た。」
「ん?俺の顔に何か付いてるか?」
「……団長、仮面が着いてる。ふふ。」
「面白いのかそれ?それとも何か付いてるのか?」


仮面を外して確認するおじさん。


「なんもないぞ。いつもの仮面だ。」
「……ん。」


おじさんの方で親指を立てて、グッドサインを出して満足そうなスタンさん。


「言った通り仲間を連れて来たよ。」
「本当に連れてきたのか…しかもクランの長を。」
「おじさんは武器買いに来たいって言ったから、ついでに連れて来たんだけど。」
「その肩に乗ってるのは……6番ってスタンさんじゃん。」
「あれ知っているの?」


店主の人はおじさんだけじゃなく、スタンさんも知っていた。
おじさんが有名なのは分かるけど、スタンさんも知っているのは意外だ。


「もしかしてファンクラブ…。」
「私はそっちじゃないよ。生産者としてだよ。」
「生産者…そう言えばこの仮面も、スタンさんが作ったんだっけ?」
「……ん。」


それでレイランさんは、武器選びにスタンさんを指名したのか。
ん?それなら。


「スタンさんがおじさんの武器作れたんじゃ?」
「……重いから。」
「前の武器もどこかで買ったんだ。大きく頑丈な剣となると、スタンには重いだろう。」
「まぁ大変ではあるかもしれないけど。」
「大きくて頑丈な剣ね…ちなみに前の剣はあるの?」


早速仕事を始める店主さん。
おじさんの武器に興味が入ってるから、僕らは僕らで個々に武器を見る。


「これは、側面から大きな力が複数回…これに耐えるような剣か……しかしどうすればこんなダメージを?」
「そこにいるブルームに砕かれたのだ。」
「ブルームって確か…。」
「ん?私が何か?」
「昨日の彼女じゃない。この剣どうやって砕いたの?」
「どうって、殴ってだけど?」
「そう。殴って剣を砕くとか、手が先に壊れると思うんだけど?」


呆れたようにシーと話をする店主。


「そう言う訳で、ブルームに砕かれないくらいの剣が欲しいのだ。」
「この剣を素手で砕く子でしょ?無理無理、伝説クラスの素材が必要だわ。」
「そりゃ無いな。そもそも本当にあるのか?」
「あるか分からないから、伝説なのよ。」
「ならばどうすればいいのだろうか。」


おじさんが悩み出す。
ぽんぽんと肩を叩き、おじさんはゆっくりとスタンさんを降ろす。


「……手伝う。」
「え?手伝ってくれるの?」
「……団長だから。」
「そうなると芯の素材から作らないとね。」


なにやら2人で話し込み始めた。
僕らは放置なのか?




しばらくして店主とスタンさんが戻ってきた。


「いやー、ついつい話し込んじゃったよ。」
「……有意義。」
「私こそ!何より楽しかったよ!」


握手を交わし、お互い仲良しになったようだ。


「それじゃ、仕事しますか。」
「一応言っておきますが、さっきのも仕事ですからね?」
「分かってるよ。さて、お兄さん達は何が欲しいんだい?」


一人一人の要望を聞いてメモを取る店主。
前回はそんな事はして無かったのに。


お父さんは盾を選ぶ。
お母さん、ナイト、クロイは特になく、ローゼの装備する鞭もあまりいい物がなかった。


「盾はこれ。物理を守るだけじゃなく、魔法も守ってくれる優れもの!」
「これには何を仕込んでいるのか?持ったとき何か違和感を感じる。」
「良く分かるわね。これは魔力を流せば、守る範囲を拡大出来るんだよ。周囲守る物と前方のみの二つのタイプがあるけど、どっちがいいかしら?」
「前だけでいい。俺は背にいる人を守れれば良い。」
「やりたい事がしっかりしてて良いわね。準備するわ。」


「鞭に関しては次ので良いのがあれば、仕入れるわ。また覗いてみて下さいな。」
「はい。お願いします。」


無理に買う必要性はないので、次の機会まで考えるとしよう。
お父さんの盾は物があったので、すぐに貰った。
おじさんの武器は1から作るらしく、時間はかかるみたい。


「俺はしばらくスタンとここに居るが、ソラヤ達はどうする?」
「僕らはもう行くよ。急ぐあれでもないけど、じっとはしてれないから。」
「うむ。気をつけて行ってこいよ。」
「はい。では、また来ますね。」
「はいよ。今日はありがとね、またいらっしゃい!」






僕らが武器屋を後にして、外に出るために西門に行くと…。


「お疲れ様です!ソラヤ様!」
「今日も元気だね。」
「はい!いつもそうですけど、今は少し興奮気味です!」
「な、なんで?」
「だって新しく加入した人が、全員揃っているではありませんか!」
「この前も見たよね?」
「2度目だからこそ、気がつけない点もあるかもしれません!」


まじまじと見られ、テンションの高さに戸惑う僕達。


「ソラヤ、もう行こう。」
「そうですね。いくぞソラヤ。」


シーとローゼに話を切り上げてもらい、僕らは西口をそそくさと出る。


「ソラヤさーん!おみやげ話を是非お願いします!」
「あー…出来たら。」


元気いっぱいに送り出され、僕たちは初めに行った岩山へと向かった。



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