少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

103話 噂好きな隊長と何かを目論む隊長。

笑い声が響く部屋。
レイランさんとアインスさんの疲れた表情が見える。


「さて、そろそろ帰るとしよう。」
「やっと…そうですか。」


王様が立ち上がり、騎士の人達が前と後ろに2人ずつ立つ。


「…………。」
「ん?」


1番後ろの人が、僕…じゃないな、シーを見ている…気がする。
顔も鎧で隠れているから、どこ見てるか分からないけど。
なんか視線を感じる。


「多分だけど、シーをずっと見ている人がいるんだけど。」
「私を?ん〜顔も鎧だから分かんないや。誰かに似てたとかじゃない?」


シーは特に気にしている様子もない。
もしかして、シーのお姉さんを知っている人で、似ているから見ていたとか…。
そんな都合の良い事ある訳無いか。


「では、新しき時代の者たちよ!これからの武勇、期待しているぞ!」
「おいおい、ファング。まだ俺達もいるんだからな。」
「お、そうか?なら王都はこれから、盛り上がっていくな!」
「もちろんだぜ。」
「「がはははは!!」」


扉を開けお辞儀をするヤヤさん。
騎士の人が先に部屋を出る。
その後、肩を組んで笑うおじさん2人。
騎士の2人とレイランさんが出て行く。


「ヤヤ。ソラヤさん達に部屋の案内を。」
「畏まりました。」


最後にレイランさんがそう言い残して、出ていった。


「いやー、びびった。帰ってきたら王様いるんですもん。」
「そうだな。私も少し緊張したよ。」
「結構頻繁に来るんですか?」
「気がつけば屋敷にいる事が多い。」
「王様って自由なんだね。そんなに王都って安全なのかな?僕は初日に色々あったけど。」
「今日のはソラヤが助けに入ったのであろう?王都内と言っても、隊長が4人も同伴するんだ。」
「そんなに隊長達強いんだ。」


お母さんがいれば、細かく見てもらう事も出来たんだけど。
生活用品の買い出しで今はいなかった。


しかし、あの人達…今日は何しに来たのだろうか?









仮面クランの屋敷からの帰り道。
先頭は私とアハト。
馬車を挟みその後ろに、フィーアとノイン。
念には念をと隊長を3人も、連れて来てしまった。


王都での仕事は回っているだろうか…。


「あのアインス様。」
「アハト。貴方も王国騎士団の隊長なのだ。呼び捨てで構わんぞ。」
「そんな、呼び捨てなんて!?」
「ならせめて様は外してくれ。」
「アインスさん。よろしいでしょうか?」
「あぁ。それなら。ところで何か聞きたい事か?」
「そうでした。僕、あのクランの噂くらいしか知らないんですが。実際どんな人達なのですか?」


アハトはあのクランについて聞いてくる。


「あのクランは王都の中で、3本指に入るクランだよ。アハトは仮面の噂を耳にした事はあるか?」
「あります。魔物を単身で倒し続け、一晩でその魔物で山を作ったとか…。」
「…。」
「あとは、王都の令嬢を何人も更生させていった、伝説の講師がいるとか。」
「…。」
「他にはですね〜」
「アハト、噂話が好きなのか?」
「はい!鵜呑みにはしませんが。聞いていると面白いです。」
「そうか。鵜呑みにしなければ、それでいいんだが。」


変に理解をする前に、少し仮面のクランについて話しておこう。
普段からあまり他の隊長と話していないから、アハトと言う人間の事が分からなかった。


しかし、少し話したいみると気さくに話してくる純粋な子だと思った。
だからこそ、変に覚える前に教えておこうと思った。
新しい人については分からないが、クランの方針など大まかは変わらないだろう。






「うーん。そうだったのか。」
「どうかしたのか?」
「いえ、やっている事も理念も僕ら王都の騎士団と一緒ですよね。」
「そうだな。」
「王都の騎士団やればいいのに。」
「それは王も考えていて、10番隊にどうだと交渉しているみたいだぞ。」
「ですよね。いれば心強いですよね。」
「自由が欲しいからと断られているみたいだな。」
「確かにクランの方が少し、自由がききますね。」
「念の為言っておくが、これは噂として流してはいけないからな?」
「………分かってますよ〜。」


今の間は何だ?
でもまぁ、外堀から埋める手もあるか…。
ここで無理に止めるなら、どうなるか見てみるのも面白い。


私は王都までの帰り道、アハトに今の王都でどんな噂があるか聞いてみた。


そして話題は尽きる事なく、王都に向かうまでの間アハトは喋り続けた。









あの子…なんでここに?




しかし、今の私には立場も職務もあった。
自分の感情を優先させるわけにはいかない。


……次の休みはいつ貰えるのかしら。


「シー・ブルーム……。」


全身鎧に包まれている中で、私は職務を忘れ考え事をしている。



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