少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

98話 どこの世界も変わらない。

1件目の武器屋を出た僕ら。


思い出したかの様に仮面を着けるシー。
そうか、僕も付けなければ。


「面白い人だったね。」
「そうだね、今度皆んなの武器とか見に行こうか。」


そしてまた腕にしがみついてくるけど、今度は腕から変な音は聞こえない。
さっきと今で力加減の違いは何かあるのか?
武器やに行ったくらいだし…う〜む。


「さて、武器屋は行ったし。次は何かお菓子のお店を探そうか。」
「お菓子?どうして?」
「え?シー好きかなーって思って。」
「うん!ありがとう。」


次はシーが好きそうなお菓子を探す。
さっきの武器屋のカヌチさんに聞いておけばよかったか。


武器屋を過ぎてから、家が続きたまにお店があるが、食材を置いているところが多い。
お菓子屋ってどう見つければいいものか。
周りに声をかけようかと思うけど、顔を人の方に向ければ、大体の人が目を逸らす。


仮面をつけた2人が腕を組み歩いていく。
道は自然と空いてくるし、コソコソ何か聞こえてくる。


…少し声を聞いてみるか。


「あれじゃないか?仮面の新人。」
「十と十一はカップルなのか。」
「そこじゃねーよ。手ぶらで出かけて、誰も倒せなかった谷の悪魔を退治したらしいぞ。」
「ほー、やっぱり強いやつに女は振り向くのか。」
「お前はそればっかりだな。」


カップル…カップルってなんだ?
う〜ん、カップルって言えば、男女ペアで挑むクエストがあったな。
…パートナーって感じか?


まぁいいか。
それより気になるのは、僕らが討伐に行って帰ってきてから、そんなに時間が経ってないのに知っているという事。
情報発信は早い方なのだろうか。


ふらふら街を見ながら歩いていると、遠くから呼ばれる声がする。


「…そーらーーやーーーさーーーーまーーーーー!」
「ソラヤ呼ばれてるよ。」
「僕の事知ってる人少ないはずだけど。」
「あの人……門番の人じゃない?」
「このまま放置してもあれだし、行ってみる?」
「そだねー。あまりうるさかったら、ワンパンしちゃうかも。」
「一撃で沈むから止めようか。」


行く所も決まってないし、呼ばれて手を振っている人をほっといて行く事も出来ないので向かってみる。


「こんにちわ。今はお二人なんですね。」
「ん。で、何?」
「ブルーム様の機嫌悪い?」
「…様?」
「はい!やっぱりファンとしては当然かと。」


ファンって言ったよこの人。
まだ王都きて数時間だけしか過ぎてないんだけど。


「あ、もしかして街で僕らの話がされたいるのも?」
「もう広まっているんですか!流石です!」
「広めてるんんじゃ?」
「僕がですか?持ち場は離れられませんし、出来ませんよ〜。」
「そうですよね。はは。」


ふむ。となると別口か?


「あ、人が溜まってきたので、仕事に戻ります!」
「あ、はい。頑張って下さい。」
「結局なんで呼ばれたの?」
「さぁ〜?」


結局なんで呼ばれたのか分からずじまい。
噂の原因も彼じゃないとすると、王都の情報網が凄すぎるか…。
西口の門から、馬車が過ぎて行く。
その過ぎる際に聞こえてきた。


「あの仮面ってさっき言ってた奴か?」
「うぉ、いきなり見られた。」


「「……。」」


ふと西口の門を見ると、かなり並んでいる。
南の門もそれなりに多かったが、さすが王都って感じだな。
その門番が来る人に全てに僕らの話をしていたとしたら?


「原因分かったね。」
「まぁ悪い噂でも無いし。気にせず歩こうか。あ、お菓子屋の場所聞けばよかった。」
「別に良いよ!」


また腕を組んで歩き出すシー。


「このままぶらぶら歩くのも楽しいから!」
「シーがそう言うならいいけど。」


僕もシーと歩くのは楽しいし、一緒にいると落ち着く。
だからか?気を張らないから、毎度の不意打ちを対処しきれない。


「あ、あの服可愛い。」
「どれ?」


店の前に並ぶマネキンに服を着せて展示してある。
こう見ると、どこか元の世界と変わらない気がしてくる。
シーが見ていたのは、シンプルなワンピース。
全体的に白で長いスカート、二の腕が少し隠れるようなひらひらした半袖って言うのかな?
腰には青いリボンでベルトのようになっている。


「うーん…。」
「まぁ、私には似合わないよね。」
「ちょっと着ている姿を想像してみた。シーって髪綺麗だし、あの白がもっと綺麗に見せてくれそう。」
「き、綺麗?」
「うん。あ、でもひらひらしたスカートのワンピースだし、シー自体が可愛いから可愛くなるかな?」
「か、可愛い!?」
「なんか気になってきた。ちょっち入ってみよう。試しに着れるなら着て欲しい。」
「え?あ、ソラヤ?」


腕を組んでるので、僕が歩き出せばシーもついてくる。


「いらっしゃいま…せ。」


僕らを見て、一瞬どもったな。
客観的に自分を見る。
腕を組んでるので服屋に入って来た、仮面の二人組の男女。


「ちょっとごめんね。」
「ん?」


シーの仮面を取り、自分も取ってアイテムにしまう。


「すいません、外の白のワンピース試しに着れますか?」
「あ、はい。いいですよ。持って参りますので、こちらにどうぞ。」
「え?え?」


店員さんに着いて行く。


「これ?着るの?でもどうやって?」
「店員さんがお手伝いしてくれるよ。」
「はい。お任せください。」
「え?えー?」
「僕が手伝う?」
「え!?て、店員さんお願いします!」
「ふふ。お任せ下さい。では、お連れ様はこちらでお待ち下さい。」


布で仕切られた部屋に、あたふたしながら入るシーと店員さん。
僕はすぐ近くにある椅子に座って待つ。
布で仕切られてるだけだから、声は聞こえてくる。


「これどうすれば?」
「ここにチャックがありますので、下ろして頂き、下から被ればいいのですよ。」
「んー?これかな?下から被る。」
「後は後ろのチャックを上げればいいです。その際髪を巻き込まないよう、お気をつけ下さい。」
「むむ。上まで上げるの大変…。」
「上げますよ。髪をかきあげて下さい。はい、出来ました。」
「これ一人で着れないのでは?」
「(それをお外の殿方に上げてもらうのですよ。)」
「え?」
「(女性のうなじは武器です。色気で悩殺して下さいな。)」
「へ!!??」
「とてもお似合いですよ。では、見て頂きましょう!」
「ちょっと、まだ心の準備が!」
「女は度胸で御座います!それ。」


勢いよく布がめくられ、顔を真っ赤にして、身体を手で隠すシー。


「おぉ。やっぱり可愛いね。手で隠さないでもっと見せてよ。」
「は、はい!」


直立で固まるシー。


「はは、緊張しすぎだよ。シーは可愛いからもっと自信持って良いんだよ?」
「ふふ。お連れ様、その言葉は逆効果ですよ。でも、最高の褒め言葉ですね。」
「うみゅ……。」
「くるって回ってみてよ。」
「く、くる?」


言葉に出しちゃうくらい慌てて、その場で回ってくれるシー。
白いワンピースはシーの黄色がかった茶色い髪を引き立てる。
ふわっとスカートも持ち上がり、ひらひらした感じが可愛く見える。


人の服を選んだ事は、冒険者ぽい服装しかしなかったけど。
可愛い服もいいね。


「うん。やっぱり似合うね。」
「私もそう思います。何か運動されているのでしょうか?スタイルもとてもいいので、ラインの出るこの服はぴったりですよ。」
「う、う。」
「こちらの帽子とかどうです?」
「うーん、綺麗な髪を隠すの勿体無いな。頭撫でにくいし。」
「まぁ。それであれば日傘とかどうでしょう?」
「それならいいか。」
「ご一緒であれば、少しお値引きしちゃいますよ。
「よし、買っちゃおう。」
「ありがとうございます。」


なんか店員の口車に乗った感じがするけど…まぁいいか。
服は必要だし、傘があれば顔を隠すことも出来るか。


「え?いいの?」
「王都に来たばっかりだけど、しばらくここにいる訳だし。戦わない時の服も必要になるよ。それにこんなに可愛いのに、買わないなんて勿体無いよ。」
「はぅ!?」
「あらあら。お連れ様は手練れですか?」
「手練れ?」
「何でもありませんわ。もしよろしければ、お連れ様もどうですか?」
「僕?別にこのままでいいけど?」
「ダメダメ!今度は私がソラヤをカッコよくするんだから!」
「んー、シーが言うなら。任せるよ。」
「店員さん!男の子の服は?」
「ふふ。気合い十分ですね。こちらです。」


シーと店員が男の服売り場に行った。
始めはノリで入ったけど、気がつけば買ってるな。
広場の通路のバザーもつい買っちゃう所があるし、買いすぎないように気をつけよう。


向こうの方で女同士楽しそうに話をしている。
さてと、どんな服が来るのか。



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