少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

97話 死の危機を回避するスキル?

「っていう訳で、こいつを買え。」
「押し売り?」
「いやいや、ボラゾン製だぞ!?買うしかないだろう!?」
「そのボラゾンが何か分からないんだよ。」
「な!その銃持って、こんだけ使い込んでいるのに!?武器オタクじゃないのか?」
「いや、別にそこまでは…。」


変な誤解をされていた。
とりあえず、そこを訂正してこの武器を手に入れた経緯を話す。


「ふーん。そこで銃を進める店主もだし、選ぶ本人も少なくともどこか飛んでるな。」
「本人を目の前にそれ言う?」
「ん?私は気にしないから。」
「…。」
「まぁ、いい。この金属についてだが……」




色々話していた説明も難しくて頭には入ってこない。
ダイヤモンドの次に硬い物質だと言う事は分かった。
そこはダイヤモンドとか、アダマンタイトとかあるんじゃないか?


「ダイヤの銃とかあるんですか?」
「ダイヤを使う銃も世の中にはあるが、それだけで成形出来んから鉄に散りばめる形になる。よって今のところ武器としては、こいつが最高の硬度となりうるのだ。」
「へー。それで僕が持つ方が良いのはどうして?」
「それは簡単さ。あんたこの銃で剣を受けたことあるだろう?」
「ありますよ。」
「この銃は剣を受ける設計はされてない。後数発受ければ、壊れるぞ?」
「それは困る。大事な銃なんだ。」
「だからこいつだ。ナイフだと思えば良い。弾も出るがな。」
「なら初めからナイフ持てば?」
「スキルも無いもの装備してどうする。」
「あ、確かに。」


手にとって振り回してみる。
気持ち重いけど扱える範囲だ。


「遠距離銃と近距離銃ね……。」
「どうする?」
「そうだな。シーのグローブと弾は買います。こいつは値段次第かな。」
「あんたら面白いし、私の武器も宣伝になるかね。金貨5枚かな〜…ちら。」


金貨5枚と言って、こっちを見てくる。
これは相手の反応を見ているな。
おそらく、金貨5枚と聞いて、どう反応するか見てるんだろう。
まぁ払えるけど、なんか反応を観察されてるし、無表情でいってみよう。


「……。」
「……。」


「なぁ…顔色わかんないから、仮面外さない?」
「やっぱり、相手の顔色観察してたんですか。」
「えーだって商売って探り合いじゃん。そー言うやり取りが楽しいんじゃん。」


シーを見て、頷いてお互いに仮面を取る。


「おや、可愛い顔してんのな。ふーん。言葉もハキハキしてるから、結構上かと思ってたら若いな。」


顔を近づけてまじまじ見られる。
そこに割って入ってくるシー。


「ははは。あんたの旦那、取る事はしないよ。」
「旦那ぁ!?」


僕の後ろに隠れて、肩をペチペチ叩いてくる。
おっと、これ以上はやばいぞ。


「店主さん。これ以上からかうのは…。」
「死ぬってか?そんな事あるか。こんな可愛い奥さん捕まえといて何を言うんだ。」
「奥さんって、そんな〜〜〜〜まだ付き合ってもいないの〜〜〜〜〜!!!」




―ペシペシ……




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ソラヤは【ダメージ耐性 (パーティ) Lv1】を覚えた。


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何このスキル?なになに…パーティからのダメージを軽減。
まんまだな。でもこのタイミングで覚えるのはなんでだ?


パシパシ……




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ソラヤは【ダメージ耐性 (パーティ) Lv2】になった。


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いや、考えなくても原因は分かるな。
何だかんだで、スキルを覚えるのは死を回避する為のもの。


スパスパ……




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ソラヤは【ダメージ耐性 (パーティ) Lv3】になった。


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おいおい、どこまで伸びるんだこのスキル。
逆にこの後が不安でしょうがないわ!


スパァン!




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ソラヤは【ダメージ耐性 (パーティ) Lv4】になった。
ソラヤは【ダメージ耐性 (パーティ) Lv5】になった。


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「シーさん、ごくごく。そろそろ、ごくごく。スキルで耐えるのも限界が、ごほ!?」
「おいおい、旦那殺す気か!?ストップだ!!」
「は!!私は!?」


見かねた店主が止めてくれたおかげで、今のところポーション3本で済んだ。
5本超えてくると、お腹タポタポになるんだよね〜。


我に帰ったシーに物凄く謝られる。
いつものことだからもう慣れた…だってはなく『次は気をつけてね。』っと言っておく。
しかし変なスキルがまた増えたよ。


さて、話が逸れたけど何だっけか?
あー金貨5枚か…ここには品揃えはいいし、なんだかんだ言ってこの人の目は信用できる。
それならこれくらい安いもんだ。


「はい。これでいいかな?」
「あ、へ?」


手を取り金貨5枚を渡す。
自分で言っといて固まる店主。


「って、払うの?金貨5枚だぞ?」
「払うよ。むしろそれで利益があるのか心配だよ。」
「ボラゾンを知らない割には、物の価値は分かるのか?スキルか何かか?」
「そんなスキルはないよ。ただ、単純に…店主さんは信用できる。だから払った。それだけだよ。」
「…世間知らずなのか、大物なのか?いまいち掴めないね。」
「それがソラヤなんだよ。賢くて優しくて強いんだから!」
「はは。よ…かの……あんたら名前は?」


今、嫁とか彼女って言葉を飲み込んだな。
さっきのを見て覚えてくれたみたいだ。


「僕はソラヤ。こっちは、」
「シー・ブルームだよ。よろしくね!店主さんは?」
「これは失礼した。こちらから名乗るべきだな。私はカヌチと言う名だ。ソラヤにブルームとは、これから長い付き合いになりそうだ。」


お互いに握手をする。
王都で始めての知り合いが出来た。
なかなかに濃い人だけど、信用できる人だ。
今度、皆んなの武器もここに選びに来よう。


「んじゃ、ブルームにはグローブ。ソラヤには銃と弾だ。」


―ゴト、ゴト、ゴト、ゴト。


これはいつもの弾に聖魔弾、それにこの2つは?


「こいつはおまけだ。試作弾なんで使った感想をくれ。」
「緑の印と青い印が付いているけど、どんな効果なの?」
「緑の方は『風魔弾』で風属性付与している。防音効果に飛距離上げる効果をイメージしている。」
「防音に飛距離上がるのか、命中するのが難しそうだな。」
「だから試作なんだよ。んで、こっちが『氷魔弾』。当てた時に50〜100センチくらいを凍らせる。」
「随分開きがあるんですね。それで試作なのか。」
「そう言うことだ。ソラヤなら使いこなすだろう。」


あの金貨で足りないかと思っていたけど、弾まで追加で貰ってしまった。
今度ギルドの人も紹介しておこう。


「こんなに貰ってしまって、ありがとうございます。今度クランの人も連れてきますね。」
「ありがとう!グローブ大切にするね。」
「どういたしましてだ。仮面のクランに顔売れたなら、安いもんだ。新人なんだろ?無理すんなよ。期待しないで待ってるわ。」
「そこはしといて下さいよ。」
「じゃーな。またのお越しを。」


そうして僕らは1件目の武器やを後にした。




「あの、ブルームって名前どこかで…顔も見た事ある気がするんだけど……まぁいいか。」




店主のカヌチさんの独り言は、僕らには届かない。



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