少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

95話 見守る役割の人達。

ちょっと遅めのお昼ご飯。
野営で食べる料理も良いけど、お店って感じで綺麗な雰囲気で、料理はとても美味しかった。
さすがは王都と呼ばれる場所だ。
一つのお店で色んな種類がある為、7人で行ってもそれぞれ好きな物を食べられる。


お店の人に聞いた話では、表通りは種類に価格重視。
裏通りには味勝負の専門店なんかもあるらしい。
価格重視と言ってこの味だから、裏通りとかきっと物凄いのでは…って期待値が上がった。


「美味しかった。いつか裏通りも行ってみたいね。」
「行こ行こ〜まだまだ時間はある訳だし。」
「え?これから?」
「私は行けるよ?」
「今はこれからギルドに行くからまた今度ね。」


いっぱい歩いたし、まだまだ行けるというシー。
さっきも大盛りを食べていたのに…。


「あ、ソラヤ。武器屋さんだよ。」
「何だって!ホントだ。今は…地図に書き足しておこう。」


そうしてギルドで貰った地図に丸をする。武器屋っと。
ついでにさっき食べたお店も書いておこう。


「何売ってるんだろうね。気になる。」
「ふふ。そうだね〜。」
「ほほ。そうであればお二人で見てくれば良いですよ。ギルドにはわたくし達が行きます。」
「僕だけ別行動は出来ないよ。」


言ってくれるのは嬉しいけど、なんか面倒な事を押し付けたみたいで。


「空ちゃんが買い物行くなら、私も家に帰って泊まりの準備するよ。」
「それなら、俺も手伝おう。」
「ありがと豪。それにこれから暫く住む訳だし、色々準備は必要だと思うの。」
「では、こうしましょう。」


お母さんの話しを聞いて、クロイが話しをまとめてくれる。
武器屋からの左回りを僕とシー。
ギルド報告後、時間があれば右回りのクロイ、ローゼ、ナイト。
生活面の確認と買い出しをお母さん、お父さん。


「って感じで、どうです?」
「ローゼもナイトもそれで良いの?」
「私はクロイと入れれば……ん!大丈夫だ、任せておけ!」
「あらあら、お姉さん邪魔かしら〜?」
「な、何を言うかナイト!!」
「何か言いましたかな?」
「な、な、何でもないぞクロイ!」
「ほほ?」


ローゼがナイトの口を塞ぎ、少し離れた所に行く。
なんか色々心配だが……。
ん?ナイトがこっちを向いて、グッと親指を立てる。あれは何を意味するものなのか?


「ちょっとブルーム借りるよ〜」
「え?あーうん。」


今度はナイトがシーを離れた所に連れ出す。
内容が気になるが、離れたって事は聞かない方が良いことかと、スキルは使わず聞かないようにする。






「それじゃ、お言葉に甘えて見てくるね!」
「ほほ。はしゃぎすぎてはいけませんよ。」
「分かってるって。行こう、シー。」
「え?う、うん!」


ナイトと話してから、少し大人しいシー。
元気が無いわけじゃないから、大丈夫かな?
シーの様子はよく見ておくとしよう。





……


………









「ソラヤのあの顔。余程行きたかったんだな。」
「ソラヤは我慢強いからな。だけど見ていれば、本当はどうしたいかよく分かるものです。」
「さすがは兄だな。」
「ほほ、小さい頃から見てきましたから。」


ローゼがうきうき顔で、武器屋に向かった空矢を見て言ってきました。
わたくしは今は兄となっていますが、子供の様に可愛がってきましたからね。
さてさて、わたくし達も行きますか。


「じゃ、クロイ。私達は屋敷に戻ってから買い出しに行くから。」
「魔物件はよろしく頼む。」
「えぇ。いってらっしゃいませ。」


栄理さんと豪さんが一緒に屋敷に戻る。
わたくし達は、離れて行く背中を見送る。
これからの生活がどうなるか分かりませんが。
生活面では栄理さんに敵いませんし、何より豪さんが居れば何とでもなりますね。


「エイリさんとゴウさんは本当に仲が良いな。」
「人間の夫婦ってあんなんじゃないの?」
「そうなんだが、エイリさんは未だに初恋の様な初々しい感じがするし。」
「(それはお付き合いを飛ばして、いきなり結婚の設定ですからね。)」
「ゴウさんは何にも動じない、一家の主人って貫禄がある。」
「そうね〜まぁ若い頃から、クロイやソラヤを育てた人だしね〜。」
「(豪さんはいつもあんな感じです。)」


2人は種族は違えど女の子ですね。
この手の話は始まると中々、止まりそうにありません。
まぁ急ぎませんし、ゆっくり歩きましょうか。


「そう言えば、ブルームに最後何言ったんだ?」
「ん?そうね〜特別何か言ったつもりはないんだけど。」
「その割には、あの後少し、少しだけだが、しおらしかったぞ。」
「あら、ブルームは物凄い乙女よ?」
「夢見がちな所はあるな。」
「出会いが出会いだからね〜。」


ブルームさんは初めて出会った時から、ソラヤに助けられた事をもの凄く感謝をしていましたね。
彼女の事をしっかり守り、時には叱り、甘えさせてますし、何より優しいですからね。
恋は盲目とは、あの様な形を言うのでしょうね。


「私はただ、お姉さんとしてのアドバイスをしただけよ。」
「どんな?」
「せっかくのデートなんだし、なるべくソラヤに触れて離すんじゃ無いわよ。腕を組んでこの武器当てちゃいなさい。」


パンパンと胸を叩くナイト。
そう言えば、ブルームには年の割に大きいとは思う。
しかし、ナイトはあるか分からないくらいの小さな……


「ん?」
「な、なんでもないぞ。」


いかん。気にしているかもしれんし、そもそも魔族でも若いと言っていたからな。
これからが成長期なのかもしれない。
まぁそれは今、置いておくとしよう。


「何にせよ。ブルームはその言葉のせいで、最後あーなったのか。」
「あら?的確じゃ無い?女はそうするものと聞いたわよ?」
「そんな事誰が言ってたんだ?」
「母上と姉上に。」
「……そうか。」
「ほほ。」


ほほ。面白い事を教える母上と姉上ですな。
思わず笑ってしまいました。


「(試しにクロイにやって見たら?)」
「(な、な、何を!?)」
「(え?ローゼはクロイにほ〜もごご?。)」
「(聞こえたらどうするか!)」
「もご、もごごもご?(もう、バレてるよ?)」




足音が止まり後ろを振り向くと、少し距離が空いている事に気がついた。
何かとても楽しそうですね。


「お二人とも。行きますよ。」
「は〜い。ほら、なら2人でやりましょう!」
「ちょっと引っ張るなナイト!?」
「えい!」
「し、し、失礼します。」


気がつけば、わたくしの腕を取られ走り出す。
ナイトは硬い中でも微かかな柔らかさが…その一瞬に衝撃を覚えます。
ローゼは柔らかさしかなく、わたくしの腕を包み込む様な安らぎが……。
おっと、いけませんね。
紳士たるもの、レディに失礼な事を。


「ほほ。お二人とも元気ですな。」
「あはは〜。」
「むぐぅ〜。」


楽しそうに笑うナイトに、真っ赤で必死にしがみつくローゼ。
ギルドまでもう少し、紳士として頑張りましょう。









………


……





「どうしたの、シー?」
「ん〜〜女は度胸!お姉ちゃん力を!」
「へ?」


―ガシ、みし。


右腕を固められた、しかも少しみしって言ったんだけど?
そのまま僕は、引っ張られ武器屋に入る事になった。


何がどうして、こうなった?



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