少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

91話 勢いで出発。

地図を貰いに行って、討伐系の依頼を受ける事になった。
ギルドカードはアドバイス通り、少し項目を減らそうと思う。
ローゼのお兄さんに見せた時は、何も言われなかったのに。


今回はエッジは一緒に行くことはできない。
何でも一度戦った人の前には出てこないって特性があるらしい。
そしてもう一つ分かることは、空を飛ぶ事。


「んー。情報が少ないな。」
「冒険者ならその場の勢いだろ?」
「ギルドマスターがそうだから、この依頼は机の中で眠るんですよね?」
「うぐ!」
「2度は遭遇する事は難しい事と、空を飛ぶ事しか知らないのはどうだろうか?」


この魔物は初見の相手には、とりあえず牽制するとして、能力やステータスを見たりは出来ない。
それでいて、逃げる判断が早い。
エッジの一撃を受けて倒されないところから、それなりのLvで耐久値があるはず。
相手を拘束するか、飛行能力を奪うか…。


「クロイ一ついい?遠隔魔法で、視界を遮らないものある?」
「視界を遮らないですか?雷と闇ですかね。その他は地形により何かしら塞がれるかと。」
「エッジ。魔物の出現予想場所までの、地形はどんな感じなの?」
「王都の西門から出てもらい、荒野の先に山があります。岩が多い所で森の様に木々はあまり無いです。」
「岩山って事か。成る程ね。」


割りかし条件は良い場所なんだな。
逃さないようにする事は、色々と案が出てくる。


「うん。方向性は見えた。じゃ、早速行こうか。」
「はーい。」
「私の出番はあるかしら?」


ギルドを出て、真っ直ぐ西に向かう。
何だろう、視線が……。
少し止まり振り返る。


―っば!


一斉に目をそらす街の人。


「ソラヤどうしたの?」
「シーは何か視線感じない?」
「視線?」


キョロキョロ周りを見回すシー。
誰一人としてこちらを見ようとしない。


「なんにもないよ?」
「そうかな?」


少し集中して、聞き耳のスキルで聞いてみる。


「おい、こっち見てるぞ。」
「やべーって。殺されるって。」


「あの数字って、あのクラン人増えたのか?」
「って事は、凄いエリートなのか。失礼の無いようにしないと。」


「あ、新たな仮面!?これは一大事だ!」
「王都の均衡が崩れるぞ…。」




聞こえてくる言葉は、微妙なものもあれば、とても物騒なものでもある。
依頼終わったら、このクランの評判とか調べてみるか。




「ん?その仮面あのクランか。依頼か?」
「えぇ。ギルドマスターに言われ、手付かずのこの魔物を。」
「ギルドマスター?って、この依頼任されたのか!」
「はい。何でも初見で倒すしか無いとか。なので、新顔の僕らが。」
「そうか。あのクランに所属してるんだ。大丈夫だと思うが、気をつけて行ってくれ。」
「はい。それでは。」


西の門番と簡単に話して、門を抜ける。
見晴らしがいいから、ゴツゴツした岩山もすぐにみつけられた。


「…遠くない?」
「ほほ。簡単なお使いみたいなノリで行く距離では無いですね。」
「よし、走ろうソラヤ!見えているものと距離は実際違うかもだよ。」
「シーは元気だね。とりあえず、魔物もいつ出てくるか分からない。注意しながら進もうか。」


僕はある事に気がついた。
野宿の準備は何もしていなければ、道中移動する馬や馬車が無いことに…。


勢いで出発したけど、今更引き返すのもあれだしな。
このまま行くか。
野宿は途中で魔物狩れば何とかなる。









とある門番の話。


「しかし、凄い集団だよな。」
「どうした、突然?」
「さっき仮面のクランに会ったんだよ。」
「へー、何番だった?」
「それが10〜16番なんだよ。」
「え?9までじゃなかったか?突然増えすぎだな、おい。」
「だろ?それも驚いたけど。あのギルドマスターから直々に、魔物討伐を依頼されたらしいぞ。」
「はぁ〜新人なんて思っちゃいけないな。そいつらもきっと、色々やばいんだろうな。」
「そうだろうよ。馬も食料も持たずに手ぶらで、あの山に向かうとかヤバイと思うぜ。」
「アイテム所持量多いやつでもいるんだろう。」
「そんなごっつい奴居なかったけどな〜?」


僕らがただの勢いで行動しただけだと、気がつくのは少し先のお話。



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