少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

88話 作戦会議③

大至急って訳では無かったけど、全力で来てくれた2人。
とりあえずここまでの流れを説明。
今後の事も含めて、クランに加入するのはどうかと…。


お父さんとお母さんに聞いてみる。


「ソラヤが決めた事に文句はない。」
「はぁ〜。私も、豪と…同じ。」
「水で良ければ出しますよ?」
「お、お願い。」


アイテムから自分のコップを出すお母さん。


「スッキリ飲みやすく、程よく冷やす事は?出来るのですか…水の神様は素晴らしいお力を…いやいや、わたくしも助かっております。…いえいえ、こちらこそ。ありがとうございます。」


よく分からないクロイの世間話の後、コップには透き通った色の水が。
それを一気に飲むお母さん。


「程よく冷たくて、美味しい!クロイありがとうとお礼を言っておいてね。」
「聴こえていますよ。またねっと申されています。」
「そっか、聴こえてたか。いつもありがとう、またよろしくね〜。」


ぽかんと口を開けるレイランさんと、首をかしげるおじさん。


「今…のは…?」
「誰と話してたんだ?なんかいんのかこの部屋?」


レイランさんは驚いた感じと、周りに何かいるのか不思議そうに見渡すおじさん。


「クロイさんは精霊様とお話が出来るのでしょうか?」
「はい。あれ?魔導師なら誰でも出来るものじゃないんですか?」
「そんな!?あり得ませんよ!」
「そ、そうですか。」


クロイが精霊と話す所を見て、凄い剣幕でクロイに詰め寄るレイランさん。


「精霊と喋れない事が前提として、喋れる事がそんなに凄い事?」
「それはもう……今みたいにコミュニケーション出来れば、水魔法の使い方の幅が広がります。」
「水の温度とか細かい事?」
「そこまで細かい事は、私もされている方を見た事がないので何とも言えませんが。」
「でもそうなると、レイランさんも水を氷にしてたよね?」
「あの魔法は、風と水で協力して、空で作り上げる魔法ですから。この場でどうにか出来るクロイさんのは、他の魔導師から見れば異常な光景ですよ。」


忘れていたけど、クロイも中々のチートスキルだったな。
7属性使えるのも、INTが2倍も、精霊と喋るのは『叡智の女神』のスキルが影響しているんだろう。
そう考えれば距離さえ稼ぐ事ができれば、クロイって最強じゃないのかな?


魔導師にしか分からない内容なので、そこは後で話して貰うことにした。
レイランさんが凄く聞きたそうで、残念そうな顔をしていたけどしょうがない。


「では、クランへの加入お願いします。」
「おう!よーし、早速始めるか。」
「始めるって何を?」
「ふっふっふ。それはな…。ヤヤ。」
「お呼びしてます。」
「……団長何?。」
「いち、に、さん……なな。7つ用意してくれ。」
「すぐに…。」


おじさんがヤヤさんに声をかけると、扉から誰かが入ってきた。
あの人は確か、6席のスタンさんだったかな?
そして7つ用意してくれと言う、おじさんのお願いを答えて…。


―コツン。


目の前に仮面が一つ、二つ、三つ……七つ。
最初に出てきた仮面を一つ取る。
目元だけ空いた顔全体が隠れる仮面。
額の所に数字の十と書いてある。


「これって…仮面?」
「そうだ。あれば顔は隠せる。」
「そうですね。」
「誰が何番取るかは、適当に好きな数字取ってくれていい。」


これを被るのか…仮面を見て観察する。
特に能力がある訳じゃないかな、十ねぇ〜…八と九はいないのか?


「これって順番なんですかね?」
「そうだぞ。ちょうど10番目だし、キリもいいな。」
「八と九はいないの?確か。エッジは七だよね?」
「ん?そこにおるぞ?ヤヤが8席で情報収集がメインの専属メイドだ。」


そう言うと、スカートの裾を摘みお辞儀をしてくる。


「よろしくお願いします。ソラヤ様。」
「様はいいよ。ヤヤさんの方が先輩な訳だし。」
「そうは参りません。私はクランの一員であってもメイドで御座います。」
「私はソラヤって呼ぶね!」
「えっと、ココさん?」
「そうです!一度しか挨拶してないのに、ちゃんと覚えてくれてありがとう!第9席、暗器のココ!」


ヤヤさんの挨拶とはうって変わって、ココさんが乱入してくる。
そして自己紹介でカッコよくポーズをとり止まる。


ヤヤさんの横で……。


「……。」
「……。」


僕とヤヤさんが目が合う。
すぐに目を逸らし周りを見るヤヤさん。


「…。」
「…やらないとでしょうか?」
「横の相棒は待ってるぞ?」
「っぐ……。」


どこからか取り出した仮面を被る。
その額には八と書いてある。


「第8席、棍のヤヤ。我ら…」
「「仮面の騎士団、戦うメイメイド姉妹!」」
「今日も元気に!」
「邪魔をするなら…。」
「「排除致します。御容赦を!」」


そしてヤヤさんもココさんの横に、静かに立ち並ぶ。
いやいや始めた様に見えたけど、始まればノリノリだった。
ただ、仮面で隠れない耳は真っ赤である。


お辞儀をするとこの場から退場していった。


「ヤヤ姉?どこ行くの〜?」


ここ1番の素早さで消えたヤヤさん。
今度はココさんが扉の前に立つ。
顔は双子なのか、ジッと立っていれば綺麗な顔立ちだけに絵になる。
僕の視線に気がつくと、笑顔で手を振り返してくれる。




「少し脱線しましたが、彼女達が8と9番目です。なのでソラヤさん達は10番以降になります。」
「あ〜…はい。」


手に持った仮面を改めて見る。
これ着けて街中歩くのも、だいぶ怪しいよな…。
そんなのが7人固まって歩くとなると……。


「ソラヤそれ?私はその次の貰い!」
「あ、ずるいわ。私は…十三にしようかしら。少し悪魔っぽいかしら?」
「数字は何でもいいだろう。ナイトがそれにするなら十二は私が貰うぞ。」


「なんでもいいから取って豪。」
「あぁ。」
「では、最後のを貰いましょう。」


さっと皆んな受け取り着けてみる。
目はちゃんと空いているのか…ってそりゃそうか。
口は開いてないけど、食事とかどうするんだろう?
そして今周りを見ると、怪しい仮面をつけた集団がいた。


「これ怪しくない?」
「この街での知名度は、信頼してくれていいですよ。着けているだけで、我々のクランと皆様認識してもらえます……おそ…く…。」
「最後の何か言いましたか?」
「いえ、何も。」


何か引っかかる部分はあるけど、着けてる以上しょうがない。
後は街に出てどうなるかだな。
僕は不安は残るものの、街に行くのが楽しみでしょうがなかった。





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