少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

87話 作戦会議②

話を聞いていたシーが閃いたらしい。


「私達もクラン作ろう!全身鎧で隠してさ!」
「あら、面白そうね。鎧ならやっぱり黒がいいわ。」
「「……。」」


その話にのってきたのはナイト。
クロイとローゼは、何かを考えているようだ。


「ナイトもそう思う?顔も見えないし、買い物だって問題なくできるよ。」


僕らが全身鎧を着て街に繰り出すのか。
謎の全身鎧パーティが街をうろつくのか……怖いな。


「ほほ。それも面白いですが、全身鎧になると動きづらいですよ。」
「鎧で防御を強化出来そうなのはいいが、うちらのパーティで素早さ下がると持ち味無くなるぞ。」
「っぐ。」
「全身鎧もカッコいいけど。」
「だよねソラヤ!」
「だけど、僕らは装備できるかな?装備重量的に。」
「装備重量?」


全身鎧は確かにカッコいい。
ゲームとかでも殆どの戦士は装備していた気がする。
だけど実際に着るってなると、どうなんだろう。
シーは気にしていないけど、STR=装備重量だよな。


「ブルームさん。全身鎧となると、軽くて50㎏くらいは覚悟しないといけませんよ。」
「そ、そうなの?」
「50㎏って言うなら装備できてシーとローゼだけだね。STR足りないもん。」
「なら頭だけ兜を…。」


普段着にフルフェイス兜……。


「「「ぶふっ。」」」
「皆んな笑って!もう!」
「ごめんごめん。でもシー、想像してごらんよ。」
「………っふ。じゃ〜どうしよう。」


軽くて顔を隠せるもの………ん?


「仮面…。」
「お、さすが師匠。」
「ははは。頭いい奴は辿り着くとこが一緒だな。」
「一緒とは?」
「我々のクランも元は全身鎧で統一しようとしました。しかしマスター以外着れませんでした。」


さっきの話からすると、50㎏近くの鎧を着込むなら戦士とかSTR高い人で固めないとダメだろう。
レイランさんとか魔導師だし、エッジも素早さ殺すのは問題だな。


「そこで私が仮面の提案をしました。」
「それで一緒なのか。でも僕らは顔を隠したい理由がありますが、レイランさん達はどうして?」
「強いて言うなら、他者のパーティより目立ち、地位を上げたいからでしょうか。」
「そうだな!目立ってなんぼだ!生きるのも強くなるにも、金に力も必要だからな!それ以上は忘れた!」
「強くなるか…。」


生きる為、強くなる為の選択か。
他にも何かありそうだけど、聞かない方がいい感じがする。


しかし、そうなると仮面を着けるか?
でもこの街で仮面を着ける事は、おじさん達の迷惑になりかねない。
覆面で目や口元を隠すか…。


「そこで、これは私からの提案です。クランに入りませんか?もちろん旅を続けるのは別に構いません。」
「クランに?でも今の僕らが入れば、迷惑かかりそうです。」
「それは大臣の事ですよね?」
「ですね。何が起こるか分からないし。」
「だからこそですよ。少し時間が掛かるとは思いますが、その間隠れてコソコソするより、堂々と街に出て準備なりやれる事はあるでしょう。」


せっかく王都に来たのに、何もしないのはなぁ。
でもクランに加入か……色々と利点はある。
と言うか、僕らに良いことしかないように感じる。
これも運がいいからなのか?
ん〜〜〜〜………分からない!


「クロイの意見は?」
「わたくしですか?そうですね。現段階では良いことばかりです。気になるのはブロックさん達に何かメリットはあるのでしょうか?という事ですかね。」
「ん?メリット?俺達にか?別に考えた事ないな。」


クロイの意見を求めると、僕と同じ考えだったらしく率直に聞いてくれた。
こんな時、子供の姿は便利な気がする。


「マスターは難しい事は考えませんから。」
「そうそう、楽しいかどうかだけでしょう。」
「む?これでも考えている……どうしたら面白くなるかだ!ははは。」


大声で笑うおじさんに、笑顔で答えるレイランさんとエッジ。


「ほほ。楽しそうですね。」
「あぁ。今は楽しいぞ。レイランが先に言ったが、どうだ?嫌なら抜ければいいだけだ。気楽に考えろ。」


気楽にって言われてもなぁ〜
困った顔でローゼを見る。


「私は強くなれればそれで良い。その課程でクラン加入しても何の問題もない。」
「そっか。ナイトは?」
「私?面白いなら。まぁソラヤ達といれば退屈しないだろうけど。」


反対意見は今の所ない。
けど、シーはどうだろうか?


「ん?私はソラヤと一緒なら良いよ。」
「あ、良いの?」
「おじさんからは私が守るよ。」
「警戒されてるなぁ。」
「マスターが全力で攻撃したからです。」
「それでについては、すまん!」


シーは特に問題なさそう。
おじさんも別にシーを悪く思ってないし、そのうち仲良くなるだろう。
後はお父さんとお母さんか。
賛成はしてくれると思うけど、聞かずに決める事はしたくないな。


「お2人をお呼びしましょうか?」
「え?あー、お願い出来ますか?」
「畏まりました。少々お待ち下さいませ。」


突然話しかけられたから、なんだと思ったよ。
どうやらお父さんとお母さんを呼んできてくれるとの事。
お願いすると、スッと頭を下げて部屋を出て行った。


「はは。驚いただろう?」
「ヤヤさんですか?」
「そうだ。よく気がつき、こっちがやりたい事の先を提示してくれる。」


凄く気がきくと言うか、相手の心を読んでいるような感じがするけど。
相手の目を見ればスキルとか称号見れるんだから、それくらいの事が出来てもおかしくは無い。


「ただ、人と目を合わせる事を嫌う子でな。あまり会話も得意じゃ無いから、唐突にやりたい事の許可を聞いてくるんだよ。」
「あーそうですね。心読まれたかと思って、少し驚きました。」
「世の中には、そんなスキルもあるだろうが。ヤヤには無いぞ。あれはただの口下手なだけだ。」


口下手ね〜…人と目を合わせる事を嫌うのは、あの能力の所為だろう。
でも、僕は初対面で見られたんだけど。偶然なのかな?


―だ、だ、だ、だ…だん!


「空さ……ソラヤ呼んだか!」
「はぁ〜、待ってよぉ〜、私はそんな、体力ないからぁ〜。」


扉を開けて入ってきたのは、お父さんとヘトヘトなお母さん。
その後ろにはヤヤさんが、とても綺麗な姿勢なんだけど……肩で息してる。


「後ろ2人バテてるけど、なんで?」
「ヤヤさんが、至急お越しくださいと言うので。」
「はぁ〜〜〜、ふぅ〜〜。」
「…………。」
「走ってきたの?そこまでしなくても。」
「ははは。な?口下手だろう?」


そこ笑うところか?
飲み物を用意すると、ヤヤさんが消えて行った。


「エッジ。ヤヤに着いて行って下さい。」
「了解です。」


「……これでコップは割れずに済むでしょう。」
「ぼそっと言っているけど、聞こえてますよ?レイランさん。」
「それでは少し休憩しましょう。」
「流しましたね。まだ良いですけど。」


さて少し時間が出ているわけだし、今までの事を整理しよう。
そして、目を瞑り考え込む。


今後の自分達が目指す所、目指す相手を、皆んなの意見を取り入れながら考えてみる。



コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品