少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

67話 橋での攻防戦

今後の話をする為に、夜に皆んなで集まった。


「クロイ達はどうだった?」
「わたくし達は、掘り返すのみで終わりましたぞ。」
「そだねー誰も暴れないんだもん。退屈だった〜」
「こらこら、ナイト。戦わない方がいいだろう。」


ノウフさん達と一緒に行ったクロイ達。
意識を取り戻した賊の方々は、大人しかったらしい。
手も足も出ず、そして埋められ冷静に考えてみたら後悔していると全員が反省をしていた。


事情も分かるけど、僕らを襲った行為は悪い事である事に変わりはない。
皆んな口々に謝ってきて、大人しく馬車に乗り込んで行った。


あんなでかい口を叩いた割に、何とも呆気ない気がした。


「あーノウフさんから聞きましたが、彼等は私達を襲ったのが初犯らしいですぞ。」
「初犯って?」
「簡単に言いますと、初めて悪さをしたと言う事。」
「あの人達皆んな?」
「えぇ。何でも裏路地に住んでる人に、当たりはしたけどお金を要求等はしてないみたいです。」
「そうなると…僕らがよそ者だから狙われた?」
「そうなりますね。」
「でも、少なからず他の冒険者もいたでしょう?」
「裏路地に来た人はいないみたいですぞ。」
「……。」


んー整理しよう。
裏路地で襲ったのが来た人達は、地元の人に金銭の要求等はしていない。
荒れてるとかの声は出ていたが、状況だけに周りも皆んな苛立っていたとか。
そして全員でぶらぶらしているところに、女子供が多いパーティがキョロキョロしながら歩いている。


「うわぁ。僕ら格好の獲物に見えるよ。」
「ほほほ。わたくしも事情を聞いた時そう感じました。」
「でも、ナイフや銃はやり過ぎだよね?」
「そうですな。ただあれはソラヤが挑発をしたからな気がしなくもないですがね。」
「っぐ。それは…。」
「ソラヤ以外が狙われていたら、撃つ前に無効化しますよね?」
「そりゃーね。」
「ならば、あの発砲は無かったかもしれませんね。」


あれは自分の回避力を試したい。ただの好奇心でしか無かったからな。
あの銃口が他の仲間に向けられたら、当然撃つ前に阻止するし。
あれ?そうなるとあの人達はそこまで悪くないのか?
悪いってなんだろう。ん〜まぁ後はノウフさんに任せよう!それがいい。




「わたくしの方はこんな感じでした。して、ソラヤ達は何してたんです?」
「僕らは橋の修復の護衛に行ったよ。」
「えーソラヤ達は戦ったの!ずるいー。」
「明日からも手伝うから、その時頼むよナイト。」
「おーし。任せて!」


こちらの状況をクロイに話した。
作業中にリバーマーマンが現れた事。
橋を直す職人さんから、直すまで2ヶ月はかかるという事。


「完成まで2ヶ月ですか……土台から作るからなら、もしかしたら…。」
「クロイ、考え込んでどうしたの?」
「いえ、聞いてみてからにしましょう。明日は皆さんでそこへ?」
「そのつもりだよ。そうしないと、買い物どころじゃ無いからね。」
「そしたら、明日皆さんで頑張るとして、今日は寝ますか。」


何か歯切れの悪いクロイ、何かを考えているみたいだけど。
現場を見たいって事で、とりあえず僕らは明日に備えて寝る事にした。






翌日。


僕らは職人達と、ギルドの護衛にノウフさんまで橋までやってきた。


「お前ら!今日もやるぞ!!」
「「「おぉぉぉ!!!」」」


「ほほ。あちらは朝から元気ですね。」
「ソーラーヤー。敵は〜?」
「そのうち出てくるんじゃない?」


元気に作業を始める職人達。なんか昨日より増えたような…。
それを微笑ましそうに見守るクロイ、ジジくさいっとこそって言っておいた。
そして、垂れまくりのナイトを僕は宥める。


「でも昨日結構倒したよ。まだいるのかな?」
「ブルームが〜全部やっつけたの〜あぁ〜。」
「ナイト、そんな嘆かないの。」


シーが昨日かなり倒したしとナイトに教える。
それを聞いたナイトが崩れ落ちる。
今度はお母さんに慰めてもらっている。


「そう言えば、クロイ。見て何かあったんじゃ?」
「あーそうでした。少し職人さん達と話があるので、しばらく戦闘はお任せします。」


クロイなら色んな魔法も使えるし、職人達にいいアドバイスも期待出来るだろう。
さて、こっちにもそろそろ仕事をさせてくれないと、ナイトが少し落ち着きがなくなってきている。
…元からか。


―ゴゴゴゴゴ……。


「なんだ!何か来るのか!」
「ナイトはしゃぎ過ぎだよ。この揺れって危険な感じしないしなんだろう?」


―ザバァ!ザバァ!ザバァ!………


川から何かが浮かんでくるような?何かが突き出した。
それは一つではなく、2つ、3つ……向こう岸まで続いた。


「あれは?地面が浮いてきた?」
「少し違いますが、川のそこの地面を地上まで上げただけですよ。これで飛躍的に橋の制作も進むでしょう。」
「土魔法って器用なんだね。」
「ほほ。そうですな。土から出来る物は沢山ありますし、補助や制作に向いているかもですね。」


クロイの魔法の使い方が凄いことになってるよな…。
土は確かに昔から、粘土にして焼物など物を作るには大活躍してきただろう。
魔法とは言え、神様が橋を直す手伝いしていいものなのか?


「さて、これから本格的な作業をするみたいですぞ。」
「!どうやらお出ましだね。水の中から物凄い数が出てくるよ。」
「あはー!!来たの?来たのね?ソラヤ指示を!!」
「ナイト落ち着いて。」


昨日同様に皆んなに指示を出す。
絶対目標は、職人を守る事と作業を邪魔しない事。


「さー皆んな仕事だ!やるよ!!」
「「「おぉぉ!!!!」」」


「こっちも職人に負けずに行こう!」
「「「おぉーー!!」」」


橋の攻防戦はこうして今日も始まる。



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