少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

66話 町の現状は最悪でした。

僕らが裏路地入って、現れた14人のおじさん……お兄さん達。
何はどうあれ、人からお金を奪う事はダメな事だろう。


「この人達どうしよう?」
「コイツらに構ってたら、探索できなくなりそうだから。私は放っておきたい。」
「ナイトの気持ちも分かるけど。放置はよくないよね。」
「ふむ。少し考えましょう。」


14人を連れて移動するのは難しいから、誰かに伝える方向で話を考える様にした。
それまで縛って置いておくかと思っていたけど、クロイは何かと喋り始めた。


「火様と雷様はダメですか。水様か風様なら運べます?……それは厳しいですね。土様は?ほう、それでいきましょう。」


誰かと話したクロイが、全員を並べる様に指示を出した後。


「土の神様。イメージはこんな感じで……では、お願いします。」


―ゴゴゴゴゴ…ザァァァ……ガキン!


「何したの?」
「頭以外を埋めただけですよ?」
「いや、それよりは見れば分かるけど。」
「神様方に確認したところ、これが一番ベストかと。」
「神様に確認って?え?クロイ喋れるの?」
「はい。魔法を使う時は、だいたい助言を頂けます。」


なんでも、火と雷の神様には即答で無理と断られ。
水と風の神様は運べるけど、多分途中でこの人達のHPが尽きるかもと忠告された。
その中で土の神様だけが、拘束だけならっと名乗りを上げたとか…。
もはや未知の領域過ぎて、僕らにはいまいち理解が出来なかった。


「そんな訳で、探索を再開しましょうか。」


頭だけ出た14人の男達。
路地の端に首だけ並ぶ光景は、少し怖い気もするけど。
周りの住民も戦闘を観ていたらしく、これで少しは安全に歩けると感謝された。
ギルドへの報告はしてくれるらしいので、僕らは任せてあ探索を再開した。




「ここから先には、へぶぅ!?」


「待ちな!ここは俺達、がふぅ!?」


「へへ……へぇあ!?」


何この町?治安悪すぎるでしょう。


道を進めば、変な人に絡まれる僕ら。
片っ端から、倒して地面に埋めて行く。


「店とか全然無いんだけど。変なのしか出てこない!」
「おっかしーなー?穴場は裏にありって聞くのに。」
「ナイトのそれは、どこ情報?」
「ん?魔族の国だけど?人間だってそうだと思ったのに。」


確かに隠れた名店って、呼ばれるとこもあるだろうけど。
ここまで見つからないなら、いっその事ノウフさんに聞いておけば良かったと思う。


とりあえず、一度広場に戻った方が良さそうだ。
僕らは、首が並ぶ道を引き返す。




「あ!ソラヤさん。ここに居ましたか。」
「ノウフさん?どうかしましたか?」
「あ、それが道中の賊達の事で…。」
「たくさん居ましたね。軒並み埋めましたけど。」
「すいません!本来ギルドである我々の仕事なのに…。」
「それはいいんですけど。いや、よく無いのか?」


ただただ謝ってくるノウフさん。
ちょっと裏路地探索しただけでこの数。
流石に良いよと受け流すには、数が多過ぎた。
それはもう店を探せないくらい。


こうなったのには理由があるみたいだ。
最近の物資の枯渇により、商売が成り立たなくなった。
売る事も出来なければ、買う事も出来ない。
結果こう言う賊が、突然増え始めたとか。


「本当はもっと店があったと?」
「ありました。でも皆んな出来なくなり、店を畳んだ人も多かったのです。」
「それが理由ならもう争ったり、たたむ必要もなく無いですか?」
「そうなんですけど。実際は橋が直らないと交易等は再開できず…。」


ふーん。理由はなんとなくだけど分かった気もする。
だけど、あまり商人とか交易の無い羊飼いの村があんなに平和なのは何故だろう?
住んでいたローゼにも聞いてみた。


「うーん。これが正解か分からんが。自給自足をしているかどうかでは無いか?」
「そう言えば。ここって建物は多いけど、畑とかそう言うの一つも見ないね。」
「恥ずかしながら、そう言う所は一つもありません。」
「無いのか!?それにしてもだ。貯蓄や魔物を討伐したりといくらでも道はあるだろう?」
「ここは商人のみでのし上がった町なので…戦闘は全然。」
「あーだから倒した人達も弱かったんだ。」


ナイフや剣に銃持てたし、装備の面では良かったんだけど。
戦闘に関してはからっきしなのも頷ける。
取り締まりが出来てないのは、完全にギルドの責任なんだけど。
そう話すと、ノウフさん自体何も言えないらしい。


「あ、話を戻すけど。僕らを探していたのは何かあったんですか?」
「それなんですが……。」




僕らを探していた理由はこうだ。
賊を連れて行こうにも、頭以外が地面に埋まっていて簡単には掘り返せない。
これを全部掘り返していたのでは、時間も労力も足りないとの事。


「ほほ。では私がやりましょう。しかし、探索はどうしましょう?」
「ん?店が閉まってるんじゃ、探索する事も無いし。クロイ手伝ってあげて。」
「あぁ。了解した。」
「ナイトとローゼは、クロイに着いて行って暴れた人がいたら止めてくれる?」
「はいはーい。ナイトちゃんが優しく黙らせるよ。」
「ナイトが言うと、逆に荒れそうだな。私がど同行するので、しっかり監督しよう。」


てな訳で、クロイとナイトとローゼで賊の回収のお手伝い。


それまでやる事が無くなった僕らは…。






『ギャギャ!!』
「お父さん右から来るよ。」
「あぁ。任せろ。」
「そぉれ!てや!」
「シー!突っ込み過ぎ。お母さんから離れないで…」


―ガチャ…ズゥゥン!


「忙しいな。シーお父さんの抑えてるのよろしく。後ろのは僕が片付ける。」
「うん!」
「お母さん。シーにも回復よろしく。」
「見てるから大丈夫〜。」


僕ら4人は町の外に来ている。
それには理由があった。


橋を直しに行った職人たちから、リバーマーマンが作業を邪魔するとの情報を貰い現場に急行した訳だが。


「あんたらすげぇな。たった4人で何人分倒すんだよ。」
「兵士さん達も感心してないで、戦ってくださいよ。」
「いやーソラヤの旦那。そうは言っても、狩るもんがいねえんじゃな。」
「そうですか?なら、少し戦闘回しますよ?」
「いやいや、俺達は囮で十分だ。」
「そうです…―ガチャ、ズゥゥン!…か。」


職人達にはもともとのギルドからの護衛が居た。
僕らが急行した時は、職人に怪我人はなし。
だけど、守るので精一杯だったか何も進んでいなかった。


僕が戦闘の指揮を取り始め、身の安全を確立できた職人さん達は作業を再開していた。


「こんな中で作業できる、職人さん達は凄いですね。」
「戦闘は出来ねぇが、肝が座ってるのは俺達ギルドが保証する。」
「それは見ていて分かりますよ。これだけどんぱちしてるのに、まるで気にしてませんもの。」
「そうなんだよ。だから尚更守らなきゃなんねぇんだけどな。」


実際の戦闘は僕ら主体ではあるが、敵を引きつけたりと盾と言うか壁をしてくれている。
その隙間を縫って、シーと僕が殲滅している訳ですが。
そんな中、そんな事がない様な感じで作業をしている職人。
肝がすわっているとかのレベルじゃ…あ、あの始めの屋台の人だ。
何かを書き込みながら、色んな人に指示出ししている。


「おばちゃん。この橋どれくらいで直りそう?」
「……。おや?坊やどうかしたか?」
「あーいえ。うーん…橋の完成予定だけでも聞こうかと。」
「そうだね…土台からやり直しだから、2ヶ月はかかるかね。」
「そっか。ありがとう。」


始め無視されていたが、聴こえない訳じゃなさそうだ。
聴こえてないか確認したかっただけで、とりあえず橋の完成予定を聞いておいた。


2ヶ月ね…せっかくLvもランクも上げたのに、この街で足止めかぁ。
後で全員と相談しないとだな〜
どうしようか何か面白い事でも無いかな〜





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