少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

58話 考えた答えは?

一緒に行けないと言うローゼ。
みんなが静かに黙っている中、パーティのリーダーとして出来ること。


クロイなら、お父さんなら、お母さんなら、シーなら、ナイトなら…そしてローゼがどう思うか。


「ローゼ。一緒に行こう。」
「え!?」
「いずれこの村に戻って来ても構わない。僕らは冒険者で初心者だ。」
「まぁそうだな。しかし、ソラヤ達は十分強いだろ?」
「ローゼから見て、強いと思われているのは嬉しいです。不安が無いとは言えませんが…。」
「……。」


Lvも上がり、この辺では油断さえしなければ大丈夫かもしれない。
でもそれは、ローゼのフォローがあってこそ。


そしてファイルさんとアリーさんがローゼに聞く。


「正直ローゼが居なくなるのは寂しいが、それでも俺はローゼに外の世界を見て来て欲しい。」
「兄さん…。」
「ファーは私が見るので、ギルマスは心配せず好きな事をして欲しいわ。」
「アリー…。」
「僕達と世界を見よう!一緒ならきっと楽しいよ。」
「ソラヤ…。」






ローゼは少し考えて…。






…答えを出した。






「まだまだ未熟ではあるが、よろしく頼む。」
「こちらこそ、頼りにしてるよ。」
「ほほ。行かないって言った時は、少しばかりドキッとしました。」
「そ、それはどうしてだ?」
「ローゼとはずっと一緒だと思っていたので。」
「あ、あぁ。またしばらくは、一緒だ。うん。」
「ほほ。それは良かった。」


微笑むクロイに、真っ赤になるローゼ。




「アリーよ。俺達の言葉いらなかったんじゃね?」
「ファー、それを言ったらダメです。虚しくなるので。」
「……。」


ローゼに聞こえない所で話す、ファイルさんとアリーさん。
僕は聞かなかった事にしよう…虚しくなりそうだからね。






「そうだ、ソラヤ。例の物が出来てる。」
「え?もう出来たんだ。そうなると、後は馬が必要なくらいか。」
「ん?なんの話だ?」
「ファイルさん。お父さんにお願いしていた、馬車が出来たって話です。」
「あーそれで職人の称号か。成る程な。それで馬がまだ手配していないのか?それなら…。」
「その件なら、もう手配済みです。」
「…アリーは仕事が早いな。」
「話は職人さん達から聞いていたので。今すぐご用意出来ますが、いつ出発しますか?」
「そうだな……。」


今すぐ行けるなら、行きたいけど挨拶とかしておきたいし。


「明日の朝にします。それまでに村の皆さんに挨拶とかしておこう。」
「分かりました。では、そのように。」




とは言え、全員行く所は一緒なので、皆んなで村を回った。
道具屋、魔法屋、防具屋と武器屋、作業場、そしてお菓子屋と宿の順番で回る。
ポーションと弾丸の補充も忘れずにした。


皆んな口々に、寂しいなどの声を貰った。
3ヶ月くらいしかいなかったけど、色んな人達に支えられているんだなっと思った。










そして、翌朝。


村の入り口にはお世話になった、村人さん達がほぼ全員集まっていた。


「ローゼちゃん。気をつけて行きなよ。」
「皆んなローゼちゃんを頼むぞ!」
「お土産話、楽しみにしておる。」
「「「姉さーーん!!」」」
「皆んな〜またね〜!」


「世界を見てまた戻る!それまで皆んな元気で!」


色々な人達に見送られて、最後はローゼがしめる。


僕らはお父さんが作った馬車で出発する。
職人達が総出で手伝い、安全面や出来は最高傑作との事。


馬を操るお父さんを間に、お母さんとクロイ。
馬車の中は3人くらいなら、寝そべる事が出来そうなくらい広い。
そこには僕とシー、ナイトとローゼがいる。


そして村の皆んなが見送ってくれる中…。


―ザボォン…。
―ズゥゥン…。


「こら、ソラヤ!馬車の中から撃つな!」
「耳がキーンってした。」
「あ、ごめんローゼ。つい反射で撃ってた。シー耳大丈夫?」
「ほほほ。それ。」
「空ちゃん終わった?」
「音が煩いって事で、クロイに任せたからもう撃たないよ…多分。」
「にゃはは。このパーティ、やっぱり面白いわ。」
「笑ってないで、ナイトも火か闇魔法をお願いしますよ。」
「それは無理だクロイ。私は飛ばすのは苦手だ!」









「ははは。騒がしい奴らだな。」
「でも、ローゼは楽しそうです。」
「そうだな…お兄ちゃんって、着いて回ってたのが懐かしいな…。」
「あれ?もう妹シックですか?」
「そんな事は……ない。」
「ふふ………ファーには私がいますよ。」
「……え?今のって?」
「さ!仕事しますよ。ギルマス居なくなって、大変なんですから。」
「おい。待てって………アリーよ。俺がギルマスだからな?」
「はいはい。行きますよ、ギルドマスター。」
「だから……合ってるか。なんか分からなくなってきたぞ。」









村を出てすぐ、見送りかってくらい魔物が近づいてきた。
条件反射で銃を撃ったら、ローゼに怒られた。


結局、派手な音のしない、クロイの魔法で倒して貰った。
ナイトにお願いしてみたクロイだったが、飛ばすのは苦手だと見守るナイト。
苦手なら出来るのでは?




村を道なりに北上して、しばらくするとその魔物の群れも現れなくなった。




「この絶妙な…揺れが…眠気を…。」
「膝貸すよ?寝てる?」
「うん〜……すぅ。」


こくこくしていたシーに、膝を貸したらすぐに寝た。


「相変わらず、ブルームの寝つき早すぎるな。」
「いつもそうなの?」
「あぁ。寝つきはいいが、寝起きは悪いがな。」
「それは、何度か体験してるんで。」
「ふはっ。これは笑っていいのか?」
「もう笑ってるよローゼ。」


始めの頃は、皆んな心配してくれた。
HPだって何度一桁まで減ったか。


シーがスキル『必中』覚えてからは、どこか皆んな余裕が見えてきた。
今まではヒヤヒヤしていたが、僕自身のスキル『龍神の過保護』があってヒヤヒヤが無くなった。


「ふふふ。今思い出しても面白い。」
「面白いって言ってるし。あれ結構痛いんだからね。」
「あぁ。そうだろうな〜とは思う。なんせブルームの攻撃だしな。」
「色んな奇跡が組み合わさって、今の僕は生きていると思ってるよ。」


「しかし、タフじゃないソラヤが今まで無事なのは、シーがスキルあるからだろ?」
「そうだね。攻撃の意思のあるものは、避けられると思うんだよね。」
「不意打ちだが、来ると分かるだろ?避けないのか?」
「避けるよ?でも当たるんだよね。結果スキルがカンストするって言うね。」
「…恐ろしいスキルだな。」


一番始めはしょうがないにしても、次からは注意はしていた。
シーの攻撃のタイミングは分からないけど、叫んでからの攻撃パターンもあった。
紙一重で避けたと思った時は、途中で軌道が変わったり。
初撃を避けた時は、追撃され。
スキルを覚えた後、『受け流し』を使って流したら、シーが体制を崩し僕が支えた所に追撃がくる。
八方塞がりと気がついた僕は、避ける事をやめた。
それが一番生存率が高いと思った。


「…ふぅ。結局全ての原因は僕だからね。」
「違いない。」
「ソラヤ頑張れ!にゃはは。」
「ナイトは楽しそうだね。」
「そりゃ〜ね。」




やめやめ、この話は終わりがない。
違う話をしよう。


「そう言えば、この馬車凄く広いね。」
「無理に話を変えてきたな。まぁいいが。」
「広いよね〜私も寝れそうだよ。」


こんな感じで、僕達7人の旅は始まったのだった。



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