少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

50話 結局は的にするって話

「この杖なんてどう?」
「ふむ。いりますかね?今ので十分な気がします。」
「そう?そしたら魔法薬でも買っておくか。ばっちゃんさん、MPの回復する薬ある?」
「ばっちゃんさんって、ばっちゃんでいいわよ。マジックポーションなら銅貨1枚だよ。」
「効果はMP100くらい回復する感じ?」
「そんなもんだ。ここにあるのは初級だからねぇ。」
「じゃ、6本欲しいです。」
「あいよ。まいど。」


3本ずつ買って、クロイとお母さんに持っててもらう。
それとは別にHPポーションも渡しておいた。これは緊急時としてだけど。


「って、あれはほっといていいのか!?」
「ばっちゃん。手だけしか出てないんだし、まだ大丈夫でしょう。」
「まだって…。」
「何が起こるか分からないから、ばっちゃんは家にいた方がいいかもね。」
「坊や達はどうするのじゃ?」
「次は武器屋に行く予定があるから。」
「また買物!!??」


そんなに驚かれてもなぁ。ただじっと待つより、予定消化した方がいいでしょう。


「ローゼさんも武器買う?」
「いや。私は今持っているので十分だ。」
「じゃ、お父さんの買うか。」
「俺も盾あるからいらんぞ?」
「それならソラヤの銃買おうよ〜」
「僕の装備も、今はいいでしょう。」
「いいから、いいから。行くよ〜」
「ちょっと、シー。引っ張らなくても歩けるから。」




引きずられ魔法屋を後にする僕達。
武器屋に着いて、扉を豪快に開ける。


「マスター銃見せて!」
「誰がマスターよ。外が騒がしくなってるけど、もしかしてあなた達が何かした?」
「何で私達と決めつけるの?」
「いや。なんとなく、直感よ。」
「何で騒いでるか分からないけど、原因はクロイさんかもね。」
「ほら。あなた達じゃない。」


シーが武器屋の店主と、話しているのを聞いていたが。
僕らはそんなに、トラブルを呼ぶような体質では無いと思う。
まだこの村に来て、そんな日は経ってないし。


「あなた達は、この村に来た久し振りのお客さんだからね。ギルドでの噂は、すぐに広まるのよ?」
「え?なんかやらかしたっけ?ローゼさん何か聞いてる?」
「ん?まぁウルフをロビーに投げ捨てたり、レア度の高い魔物をポンポン討伐してくるくらいだと思うが。」
「それよ。平和なこの村には刺激的すぎるのよ。」
「村には兵士の人もいるでしょう?それくらいなら、出来そうなんだけど?」
「あの人達はそんな派手なことしないわよ。それに指揮官が行方不明とかで、あそこは今大変らしいわよ。」
「へ、へぇ〜」


身に覚えがあるから、なんとも言いづらい。
でも、あの指揮官じゃ碌な任務もして無さそうだ。
目立った事がない中、僕らの話は刺激的なのかもしれない。




「で、話を戻すけど。銃が欲しいの?あれは冗談で進めたつもりなんだけど。」
「ソラヤが興味持った物だし。何より欲しそうだったから連れてきた。」
「そうなの?まぁ売れれば大助かりだけど。」
「だって。でも銃って全然分からないけど、どんなのあるの?」
「聞いちゃう?聞いてくれる?では、話しましょう!銃とは………。」






長かった。語り出したら止まらない人みたいだ。
銃については、大体は理解できた…と思う。


えっと、ここで売ってる銃は4種類。


【ハンドガン】
片手で射撃するためにデザインされた銃。
小型で携帯性・秘匿性が高い。
近距離用で数メートルからいっても200メートル以内。
攻撃力と距離を考えても、石の方が使い勝手もコストもいい気がする。




【マシンガン】
これも近距離武器に近いものがある。
1発の威力は落ちるが、他の銃にはない速射性が高い。
当て続ける事でのダメージが見込める為、弾丸もそれなりの数がいる。
能力よりお金に物を言わせた武器との事。いや、僕には無理でしょう。




【ライフル】
射程距離400メートル前後で、中距離から遠距離武器として使われる事が多い。
弾数が増やして、連射力を上げる銃もあれば、威力と距離を上げる事も出来る武器。
長いもので1,000メートル前後。
僕がおお!って反応したけど、こっそり教えてくれたが1発の弾丸が高いらしい。
弾丸自体が長距離に耐えるくらいの、強度に重量と破壊力を持たせる為だと聞いた。
…納得。




【レールガン】
ライフルを上回る射程と弾速、威力を持つ遠距離狙撃専用の武器。
それに相応しい重さと、エネルギー消費する。
実弾武器だが射撃時にMP消費する、魔力を利用して弾を加速させているらしい。
MPか…80しかないんだよな。何でSP消費じゃないんだ。
魔力か…武器でも魔力関係あるのか。




「ソラヤはどれがいい?」
「聞いた限りでは、遠距離ライフルかレールガンかな。」
「ほほぅ。じゃ実際撃って決めればいい。表に出な!」


店を出てすぐ。


「あれが騒いでる原因か?何で手しかないんだ?」
「恐らくですが、空間と空間を繋げていて、それが安定していないのかもしれません。」
「ふーん。じゃ味方ではないんだよな?」
「味方?どうでしょうね。とりあえずわたくし達は知りません。」
「じゃ〜丁度いい。あれを狙ってみろ。こいつで……!」


―ズシィーン。


「LUKとかDEX、AGI低いと外れるから。自信あるかい?」
「はい。問題ないですよ。」
「オーケー。構えな!撃ち方は……。」


ロックを解除して、銃口を向けて固定、照準合わせって…


「行きます!」


―バリィ、キュゥーン!……ズガァァン!


「ほー初弾命中とはやるな!」
「ふぅ〜当たって良かった。あ、MPどんだけ使ったか…50も使ってるし。僕1発しか撃てないじゃん。」
「ははは!その割に合う演出だろ?銃自体の重量感に圧倒的な攻撃力!見てみろ、クロイ手に風穴空いたぞ。」


銃のスコープを渡されて、謎の黒い雲から出る手を見る。
確かに手に弾が通ったであろう痕跡が。


「おし。命中精度に能力も申し分ないな!次はこいつ…だ。」


―ガシャ。


出て来たのはスナイパーライフルと呼ばれる武銃みたい。
某アニメの狙撃でよく見る感じだ。


「こいつはレールガンみたいに、固定して撃つとかはない。持てるか?」
「とっと。ん〜大丈夫かな。」
「流石は冒険者で男だな。使い方は簡単だ。セーフティ外して、スコープで狙い引き金を引くだけだ。」
「簡単に言ってくれますね。」


照準はこれで…気持ちあげた方がいい気がするな。


「行きます!」


―ズゥゥン……キラッ、ドォォーン!!


「…これ普通の弾じゃないの?」
「お前は当てると思ったから、私が見たい弾を込めてみた。」
「ちなみにどんな効果が?」
「聖魔弾と呼ばれる弾丸で、キラリと輝く聖なる爆発って言われて仕入れた。」
「聖なる爆発って…あれが?確かに光ってたけどさ。」
「派手だったな。あの仕入業者とは今後長い付き合いになりそうだ。」


武器屋の仕入業者に、不安が増えたところで話を切る。
爆煙が晴れて謎の手の行方を見る。もう無くなっちゃってるんじゃ。


「あ。まだあるね。でも気持ち焦げてる?」
「なんて言っても聖魔弾だからな!魔の者には効果があるのだろう。」
「店長、テンション高いですね。」
「なーに。久し振りに面白い奴に、謎だった武器の試し撃ちが出来たんだ。私は大満足だよ。」
「僕は試し撃ちはついで?」
「そんな事はないぞ。武器の性能については分かっただろうし、ソラヤくんだっけか?合いそうな銃を持ってきたつもりだけど。」
「そうですね。銃自体はどちらも使えそうで、しっくりきましたね。」
「まぁ聖魔弾は完全に趣味だがな!」


この人は仕事熱心なのかどうか、いまいち分かりにくい人だな。
そんな銃の話をしていると、雲が一瞬大きくなったと思ったら空が晴れた。




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クロイは魔法【闇魔法Lv1】を覚えた。


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「おー晴れたね、ソラヤ。」
「豪。さっきの結局なんだったの?」
「俺には分からん。クロイ自身も分からんのだろう?」
「えぇ。さっぱり。でも魔法は覚えたので、何か効果はあるはずですよ。」
「分からないね。雲だけならあれだけど。あの手が…。」


なんだか分からず、皆んなで晴れた空を見上げた。
どこか遠くで何かが落ちた音が……気のせいか。


僕らは武器屋に戻る。
どっちを買おうか悩むな…皆んなの意見も聞いて一緒に悩んでみよう。

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