少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

46話 シーのエスコート

翌日換金するためにギルドに来た。
ついでにパトロールをするであろう、ローゼを迎えに。


「あら、早いわね。」
「おはようございます。アリーさん。」
「ローゼさんは?」
「今日は珍しく起きてこないわね。」
「この時間はいつもいるんですか?」
「ファーは昨日遅くまで仕事させたから、まだ起きないかもね。」
「ファー?ファイルさん?」
「ええ。ありがとうでもギルドマスターですから。やる事はたくさんあります。」
「あれでもって…。」


ローゼさんが起きてこないのか。
昨日の戦闘で疲れてしまったのかな?
そしたら寝かすべきか…別にゆっくり自由行動でいいかな?


「どうしよう早速やる事がない。…自由行動でいいかな?」
「本当!ならソラヤ一緒に行こう!」
「ちょ、ちっと引っ張らないでって。クロイ!」


―キラン…ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュン。
―ぱし、ぱし、ぱし、ぱし。


「一人1枚までで。よろしく!」
「ほほ。畏まりました。」


クロイに銀貨4枚投げた。
皆んなで行動する事が多いから、金銭の管理は僕がやっている。
そうは言っても、ここの世界での価値が分からない。
銀貨を一人一枚で、買い物で使えるように投げた。足りるかな?


僕はシーに連れられて、どこかに向かう。
自由行動にしたけど、僕の了承も関係なく引っ張られる。
別に抵抗する気も、断る気もない。
腕を掴まれたまま、僕達はギルドを後にした。




「シー、引っ張らなくても行くから。」
「あ、ごめん。早く行きたくて、つい。」
「何をそんなに急ぐの?」
「ソラヤって気が変わったり、すぐ引いちゃうじゃん。」
「え?なになに急に。」
「だから、即実行に移そうかと思うの。」
「質問の答えになってないよ。」
「いいから、いいから。」
「僕の話もしかして、聞こえてないかなー?」
「あ、あそこのお菓子屋さんやってるよ。朝の出来立てとかないかな?」
「シ〜さ〜ん。引っ張らないで〜、今は引きずられてるけど〜。」




―カラン。


「あら、昨日ぶりね、いらっしゃい。クッキーどうだった?」
「とっても美味しかった!」
「ふふ。それは良かったわ。隣のボロボロの男の子は彼氏かしら?」
「彼氏だなんて!恥ずかしい。」


―ペシン。
―がふぅ。


「…。」
「あれ?ソラヤどうしたの?」


世界が真っ白になった。
この感覚は、女神様と会う時と一緒だ。
前回とは違い甘い香りがする……ここは何かお花畑なのか?


「……治癒ヒール
「……?ここは…。」
「お菓子屋だよ。少年。」
「貴方は…女神様?天界にもお菓子屋はあるんですね。」
「むぅ。ソラヤ!」
「あぁ。こっちにはシーに似ている可愛い女神様。」
「っ!?」
「しょうがない……わぁ!!」
「うぉ!?あれ?ここは?」
「現世で、お菓子屋で、私が店主だ。」


現世でお菓子屋…それで甘い匂いがするのか。
店主は女性で、たまたま回復魔法使える、元神官。
治癒の声で覚醒したけど、実は10回目だったと後で聞いた。


もろいな〜僕。
これは僕がVITを上げるか、シーに手加減のスキルを覚えてもらうか…。
あ、どこかでポーション売ってないかな?
ヤベー超欲しい。


「やっぱりクッキーが美味しい!そして何より安い!」
「はは。気に入ったなら、作り方教えようか?」
「うーん。うーん。食べる方がいいや!」
「はは。まぁ言えばすぐ出来るから、いつでも来てね。」


すっかり仲が良いな。
お菓子も作り方を、教えて貰えば良いのに。
シーはDEX低くは無かったはず…。
後だ聞いた話では、作るより戦う方が早いし、沢山食べれるとの事。
まぁここ数日の稼ぎで言えば確かに…。




「まぁ気が変わったら、いつでも良いから。基本暇だし。」
「そんなですか?前にパトロールした時、お菓子のお店って他に無かった気がしますけど。」
「あ〜ないぞ。あまり売れんからな。」
「売れない?なぜ……。」
「太るからよ!」
「「…。」」
「なんで、あまり売れないわ。基本は予約生産だし。日保ちするお菓子やクッキーしか普段ないし。」


甘いお店の需要はあるけど、何店舗もはないらしい。
元々そんなに人がくる事がない村。
当然、甘いものを売るだけじゃ、やっていけない。
旦那さんは別の仕事をしていて、お菓子屋は気が向いた時にやってるらしい。
そんなに人が多い村じゃないから、そんなもんなのかね?




「ありがとう!また来るね〜」
「はい。また来てくださいね。」
「失礼します。」


お菓子屋を出発、次はどこ行くんだろう。


「シー、次どこ行くの?」
「決まってないよ〜気になるとこ入ってみよう。」
「それなら、どこかに薬屋か…錬金術関係のお店ないかな?」
「その辺だと怪しそうな建物が…あ、地図あるんだ。」
「あ、僕も地図忘れていたよ。」
「「どれどれ。」」


今はお菓子屋にいて、ギルドはここか。


「道具屋…道具屋…雑貨屋しか無いのかな?」
「無さそうだね…うーん。」


―ごつ。


「いて、あ。ごめんねシー。」
「私こそ近かった……ね。近!?」
「どうしたの?」
「なななんでも。道具屋さん無いねー」


一瞬目の前がちかってしたけど、少しぶつかっちゃっただけだし。
HPも減ってないみたいだから、当たるくらいでは問題ないらしい。
しばらく地図と睨めっこしたけど、道具屋や錬金術が的な事を書いていなかった。
そのまま、気になる店に入ればいいか。




「ね。ソラヤ。あそこは?」
「あそこって魔法屋とか言ってたね。」
「怪しさで言えば1番なのに。やってないみたいだね。」
「ローゼさんがやってる人を、知っていそうな話だったね。会ったら聞いてみよう。」
「ところで何で道具屋探してるの?」
「ポーションって言うの知ってる?飲み物でHP回復させたりするやつ。」
「お薬のかな?それなら薬屋さんじゃない?」




そうか。あれは薬剤のジャンルなのか。
始めっからシーに聞いておけば良かった。
2人で薬屋を探し、そこに向かう。


「いらっしゃい。若いお二人でご来店かな。」
「ある薬を探してまして。」
「十分仲よさそうに見えるのじゃが?どんな薬じゃ?」
「僕はポーションって薬を探してます。」
「何のポーションなのじゃ?」
「何の?種類があるのかな。えっとHP回復の。」
「なんじゃ、普通のポーションか。」


出てきたポーションは、想像通りの小瓶に入ったもの。
聞くとこの大きさで、HP100程回復して、銅貨2枚。


「安いな。5本下さい。」
「な?銀貨1枚じゃ…。」
「はい。シーもこれ一本持っておいて。何かあったら使って。」
「んー分かった。エイリママいるから、あまり使う機会がないと思うけど。」


近々、さっき必要だった。
たまたま居合わせた元神官さんのお陰で、今もこうして歩いているわけで。
持ってる意味を理解はしてくれないが、もしもの時で思い出してくれれば……。
僕の生存確率は上がるはず。
5本買ったのは、僕以外に皆んな持っていて欲しいから。


「小さいのに銀貨持ってるなんて凄いのぉ。」
「冒険者だし、そんな余裕はないけどね。」
「そうでしたか!それは失礼。まだこの村にいるのであれば、またきて欲しいのじゃ。」
「そうですね。色々必要なものは多そうですね。」


僕が店内を見回していると、店主の爺さんが近づいてきた。


「こんなのどうじゃ?」
「ん?何これ?」
「男として元気になる薬じゃ…ふぉっふぉ。」
「別に元気だし。僕は要らないよ。」
「ほほぅ……もしそこのご婦人。」


なんか物凄く怪しいテンションで、シーに何かを渡す店主。
顔を赤くして大きく頷いて、何かを受け取っていた。なんだろう?


「何もらったの?」
「な、な、内緒!ソラヤは男の子だから。」
「ふ〜ん。まぁいいけど。あの爺さん怪しいから、気を付けてね。」
「こらこら、少年。聞こえとるぞ。」




とにかく目的のポーションを、発見できて良かった。
ギルド行ったら、皆んなに渡しておこう。
店をだ多僕らは、その後も腕を組みながら色んなお店を回りました。



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