少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

25話 再びくる、フラグの恐怖?

草原を道なりに進む。
さっきまで居た、ワームもいなくなりクロイもやる事がなくなり暇そうだ。


そう言えば、さっきからウルフを見なくなったな。
この辺には出てこないのかな?


「あの、もうすぐ村があるとかありますか?」
「もう少し先だが、疲れましたか?」
「いえ、なんかワームいなくなって、ウルフとか1匹も見てないなって思いまして。」
「ワームは先程クロイさんが殲滅したからとして。ウルフは噂では捕らえてる人達がいると、前の村で聞きましたよ。」
「捕らえてる?毛皮でも剥ぐんですかね?」
「何でも、盗賊が捕らえてるみたいです。」
「盗賊が……。」


ウルフなんて捕まえて何するんだろう?
やっぱり毛皮とか、牙が売れるのかな?
盗賊がそんな面倒な事するかな?
何かしてそうだし、ここは聞いてみよう。


「ウルフ捕らえて何するんですか?」
「なんでも、近隣でウルフを使った盗賊がいるみたいですよ。」
「そうなんですか。怖いですね。」
「でも、この辺りは村の警備隊が優秀とかで、盗賊は出ないと言われてますよ。」
「「あ、それフラグ…。」」
「フラグ?」






僕とクロイは、辺りを警戒する。
その後すぐに、僕のスキル【危険察知】が反応をする。


「クロイ、後方に【危険察知】が反応した。」
「はい。後ろの方々に伝えますね。」
「よろしく。お兄さん、馬車止めて貰っていいですか?」
「え?こんな道の真ん中で?」
「うん。囲まれる前に、倒して来るから。飛び降りたら怪我しそうだし。」
「は?は、はい!」


馬の足音が近づいて来る。
馬には罪がないから、上に乗る人だけ。
危険察知が反応してる段階で、あの人達は盗賊なんだろう。
もし間違ってたら…謝ろう。


「空ちゃん!スキル使ってね!全力で攻撃ダメだよー!」


おっと、そうだった。
近づかれる前に倒すつもりで、石を持ってたけど、下手したら貫通…そりゃ怖い。


「スキルと見た目で判断して悪いけど、この馬車には近づけさせないよ。とりゃ!」


―ビュン、ビュン、ビュン。


「あで!」
「ゴフゥ!」
「ぎゃ!」


先頭を走る3人が馬から落ちる。
その後ろに居た、人達もそれを見て止まる。
脇を抜けてウルフが5匹近づいて来る。


「魔物には容赦しないよ?」


―ビュン…ビュン…ビュン…ビュン…ビュン!




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《ウルフLv15を倒した。15(75)の経験値を得た。》
《ウルフLv15を倒した。15(75)の経験値を得た。》
《ウルフLv12を倒した。12(60)の経験値を得た。》
《ウルフLv12を倒した。12(60)の経験値を得た。》
《ウルフLv12を倒した。12(60)の経験値を得た。》


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お、少し経験値多く貰えた。ラッキー。


「な!ウルフを一撃だと!?」
「頭!あの馬車ヤベーのいますぜ。」
「あそこに見えるのは、ただのガキだろうが!ウルフが弱いだけに過ぎん。いけ!」
「「「「へい!」」」」


なんか、ガキだからって言葉が聞こえたぞ。
しかも返事が『へい!』とか如何にも、小物…は失礼か?下っ端?
…まぁ、やる事は変わらないけどね。


―ビュン、ビュン、ビュン、ビュン。


「が!」
「ぐえっ。」
「ガフッ!?」
「いぃつぅ!!」


それにしても、よく当たんな。DEX自体は、何も振ってないんだけど。


「な!どうなってやがる!おい、ガキ!何しやがった!?」
「別に、石投げただけだけど?」
「ふざけるな!」
「別にふざけてないよ?こっちは至って真面目だ。」
「なめやがって…俺を誰だと、ガァ!!??」


話を聞くのも面倒なので、とりあえず石を投げておく。
肩に当たったけど、馬からは落ちなかった。あの人、ちょっと強いのかな?


気がつけば、声が聞こえる距離まで近づいていた…。


「おじさん誰?」
「お、おじ!俺はこの盗賊の頭だ!貴様は何者だ!」
「あ、そこ言うんだ。まぁいいや、僕は……このパーティのリーダーだ!多分。」
「っち。冒険者か。」
「いや、ギルドには行った事ないから、ただの旅人。」
「そんなつえーのに旅人だと!?」


そんなにおかしい事なのか?
強いと冒険者じゃないと、いけない決まりでもあるの?
旅人となんら変わりないじゃないか。
言わば自由人!これが世間で言うス◯フキン!


「そんなの、どうでもいいか…ら!」
「グゥ!!」


2発目で落ちた、盗賊の頭って言ってた人。
他の盗賊の方々も、馬から落ちて動く事がない。
【手加減】のスキルが発動したはずだから、死んではいないはず。はず…おーい、生きてる?
近づいて、不意打ちされてもやだな、どう確認しようか。




「ねークロイ。」
「はい。なんでしょう?」
「誰も動かないんだけど。顔に水弾当てて、生存確認するのはどう?」
「それでトドメを刺す形になりそうで…嫌ですな。」
「石1発で【手加減】のスキルがあるんだよ?そんなにHP減るかな?」
「そしたら、母さんにHP見てもらっては?」
「あ、その手があった。おかーさーん。」
「はいはい。空ちゃん呼んだ?」


一応、念の為、と言うより気になるから、お母さんに見てもらった。


―リィィン…


ちらっと見てるお母さんを見てしまった。
背筋がゾクッとした。少し足がピリッとした気が…?
何か違った感覚があって、HPでも減ったかと、自分のステータスを見てみた。


なんか名前の横に【恐怖(弱)】って書いてある。
なんだこれ?アイコンを操作して、その説明を見てみる。




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【恐怖(弱)】状態異常:恐怖/少し動きが鈍る。


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………見なかったことにしよう。


「空ちゃん、見たよ。一応生きてるよ。HP一桁だけで。」
「なんだ、盗賊ってそんな強くないんだ。」
「そうかな?Lvは私達より10くらい上だよ?」
「え?じゃーステ振りしてないのかな?」
「ん〜してるっぽいよ。均等に振り分けてるみたいだけど。」


ほほう。という事はこの振り分けを、知ってる人は知ってるのか。
意外な所から情報を得たな。
出来れば、叩き起こして…いや、やんわり起こして聞き出したいな。




そんな光景を一部始終見ていた、馬車に乗せてくれた人が近づいてきた。


「いや、まさか盗賊に襲われると思いもしなかったが。それよりも、それを難無く倒してしまうとは…。」
「あれ?倒しちゃダメだったとか?」
「そ、そんな事はない。とても助かった。安全と聞いて油断していたのでな。」
「あ、馬扱っていたお兄さんが、戦士って言ってたし。もしかして、余計なお世話だった?」
「はは。俺なんか、元戦士だ。今は馬の従者だよ。」


それを聞いて少し驚いた。この世界平和ボケでもしてるのか?
盗賊の噂がある道を護衛無しなんて…異世界どうなってるんだ。


「昔から、運があると自惚れていたよ。今回も襲われないだろうと思っていた。だが、君達と出会ったから運はいいのかもしれんな。だはは。」


それだと、僕らが呼んだみたいに聞こえるんだけど?
割とガチで笑ってられないと思うのは、僕だけなのかな?
道で僕達と出会ったのも、盗賊に会ったのも、運がいいと言えばそれまでだけどさ。




さて、この盗賊達はどうするか。
全部で8人か。馬車には乗り切らないな。


「どっかに縛って、放置でいいんじゃない?」
「ほほ。縄で縛って、歩かせれば良いかと。」
「えー連れてくの?途中で逃げたり、襲ってきてとか面倒じゃない?」
「そうか?その度に返り討ちにしたら、いずれ黙るだろう。」
「クロイはスパルタだな。いっその事、水攻めすればいいんじゃない?」
「ほほ。ソラヤも中々だな。」
「いやいや、お二人とも。子供が話す内容ではないかと…。」


結局、ここに盗賊を縛り、僕らはここで待機する事になった。
従者の人が村に、馬で知らせに行くことになった。


縛った盗賊だけど、今は静かだ。
そう、今は…ね。


実はさっき起きて、ガヤガヤうるさかった。
お母さんに盗賊の傷を治癒をして、貰ってからの水攻めを実行した。
それが原因で全員大人しいのか。


途中、近寄ってきた、ワームの燃えかすを見たからか。
ウルフが僕の石投げるにより、頭部に風穴が空いたのを見たからか。


そう思っていたが、どれも違う事が分かった。


「はい。治癒はするけど。また暴れたりしないようにね。」
「「「「はい!姉御!!」」」」
「静かにしてくれたら、ご飯とかも作るから。良い子にね?」
「「「「はい!姉御!!」」」」
「あ、空ちゃん。私何かしたかな?…ん?空ちゃん今、目そらした?」
「分からないな〜皆んな女性には優しいんじゃないの?」
「そうなのかな〜?あの感じは何かに怯えてる気がするんだけどね。」


おっ、鋭いね。
簡単に説明するとだ。治癒をかけて傷を癒して、HPの確認の為にスキルを使い相手を見る。
寝起きにあの目で、静かにって言われたら、怯えもするだろう。
って説明は本人には言わない。


「まぁ〜静かなら良いじゃん。」
「そう?まぁ、気にしてもしょうがないか。」


お母さんが、さっぱりした性格で良かったよ。






そして、最後に思い出した事があった。
この世界は、フラグの影響が半端ないな。
話をする時は、注意しないとっと心に刻んでおいた。



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