少年と執事とお手伝いさんと。〜全ては時の運〜

ノベルバユーザー458883

23話 どこかでみたステ振りだ。

さて、クロイが猪を捌いてくれている訳ですが。


お母さんは腰が抜けたとかで、今も父さんの膝の上です。
日も落ちてきたので、そろそろ野営の準備をしたいんだけど。
シーは起きてくれません。
これは寝ているのか?試しに頭を撫でてみる。


「ん…ふふ。すぅ…。」


よく寝る子である。
まぁワシに掴まれ、空の旅をしていたし、疲れているのかもしれない。






「ふぅ…終わりましたぞ。」
「クロイお疲れ。そだ、シーが寝てる間に、聞いておきたい事あるんだけど。」
「はい。なんでしょう?」
「シーにポイント振り分けとか、メニューについて教えてもいいのかな?」
「それは何か問題があるのです?」


僕はシーと話して、ステータスの存在など何も知らないって事。
龍の郷に行きたいって、話した時の驚きに、勇者の事を少し挟んで話した。


「成る程。わたくし達は、教えて頂きましたが。この世界では知らない事が、常識なのでは?って事でしょうか?」
「うん。そう。これ知ったら、シーは確実に強くなるから。普段の生活に影響してもなって。」
「ふむ。確かにそうですな。しかし、シーさんなら平気だと、わたくしは思いますが。」
「私もシーちゃんなら平気だと思うよ。」
「お父さんは?」
「俺も知っても平気だと思いますよ。決めるのは本人ですが。」
「確かに…説明はしても良いか。」


そう言うわけで、起きたら説明しようかな。
ただ待ってるのも、退屈なのでシーの頭を撫で続ける。
シーの髪はさらさらしてて、気持ちいいんだよね、これ。


先に復活した母さんは、起きて夕食の支度をしてくれる。
膝枕から解放された父さんは、テントなど作ったりしてる。
…テントあったんだ。
寝袋だけかと思ってた。






「ん。んん?ここは…。」
「ここは…どこかの草原……ってくだりはやった方がいい?」
「あれ?ソラヤ君が見える。」
「そうだね。」
「…………。」
「あ、先に言っとくけど。突き飛ばしたりは、無しでお願いするよ。」


―ガバッ!!


「お。シーは起きれたね。おそよう。」
「す、す、すいません!私ったら!!」
「問題ないよ。僕もやって貰ったしね。」
「あぅぅ…。」


暗いから顔色まで見えないけど、慌ててる様子は分かる。


「まぁ落ち着きなよ。ご飯まで少し時間があるから、シーに1つ話して起きたい事があるんだけど。」
「はいぃ!何でも、いつでも!」


そんな身構えなくても、いいんだけど。
とりあえず、さっき話したメニューや、ステータスについて話しておいた。
ポイントを振り分ける事についてや、シーが知らないって事は、他の人も知らない可能性がある事。
それによって元の生活に、戻りづらくなるかもって事も伝えた。


「後は…無いかな。質問はある?」
「ソラヤ君は、私に必要な事だと思う?」
「どうかな。強いことに対しては、この世界で生きていくなら、必要だと思うけど。」
「そっか…。ソラヤ君はどう振り分けたの?」
「メニューでパーティから僕の名前選択して、見てみていいよ。あ、ちなみにシーのは見てないから。」
「え?なんで?」
「シーの事だし、許可なく見たりしないよ。」


少し唸って考えるシー。
慌てて答えを出さないように、話しておいた方がいいかな?
すると、シーは戦い方をきいてきた。


「ソラヤ君はAGI多いんだね。皆んなは、いつもどうやって戦うの?」
「僕らは、お父さんが盾役で皆んなを守る。お母さんが治癒魔法で回復してくれる。クロイは魔法攻撃担当。」
「そっか。ソラヤ君は?」
「僕?皆んなを見て作戦立てたり、石で牽制。基本、前で戦う事が多いかな。」
「う〜ん。」
「まぁ答えは急がなくていいよ。」
「戦わなくても、シーは僕が守るから。」
「っ!?ぁりがとぉ……でも、もう決めた。見てみて私のステータス。」




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ステータス アイテム▶︎プロフィール パーティ
―シー・ブルーム Lv10
年齢/13
職業/村人
スキル/拳撃Lv5、農作業Lv5、気配Lv3


▶︎ステータス アイテム プロフィール パーティ
―HP 440/440・MP 350/350・SP 90/90
―STR/60・DEX/10・VIT/6・AGI/8・INT/2・MND/2・LUK/50
―Lvアップボーナス/0ポイント


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なんだ、このステータス…誰かを思い出す。


「最初のステータスが、分からないけど。シーはSTRに極振りした?」
「うん。」
「ちなみに何か考えはあるの?」
「守りはゴウさん、回復はエイリさん、魔法攻撃はクロイさん、素早さ遠隔のソラヤ君…だよね?」
「まとめると、そうなるかな。」


シーは僕の言った事、ちゃんと聞いていたみたいだな。
なので、ステータスの1番始めにある、STRに振った訳ではないはず。
ステータスを見て、予想よりINTが低いからとかじゃ無いよ?


「そう。だから、物理的攻撃する人がいるかなって。」
「攻撃当たる事は考えないの?」
「ソラヤ君が守ってくれるんでしょ?」
「え?あ〜まぁ、僕がいればいいんだけどさ。いずれ別れた時どうするの?」
「え?お別れ……?」


なんで、そんな悲しそうな顔をするんだ。
この世界で一人で生きていけるように、考えないといけないじゃないか。
ずっと一緒か分からない訳だし。


「王都までは一緒だけど、その後、一人になった時の事も、考えないとダメだからね。」
「うん……。」
「はぁ。なんで、今からそんな顔してるのさ。」
「だって、ソラヤ君がお別れって言うから。」


あ〜ちょっと言い方きつかったかな?
でも本当の事だしな。


「ずっと一緒に入れるのは、家族だけなんだよ。」
「家族でも、ずっと一緒に入れないよ……。」
「ん?シーには家族いないの?」
「母と父はいないです。」
「そう…ごめんね。」


この話題は避けておこう。
さて、どうしたものか。


「お姉ちゃんがいるの。」
「え?」
「王都にいるはずなの。最近連絡が来なくなっちゃたんだけど…。」
「そうか。それで王都ね。」
「……うん。」
「なら、そんなくらい顔はしない事。」
「でも…。」


なんか今にでも泣きそうなシー。
落ち着いて貰うために、座ってもらい。
そして元気がない時は…。


「…え?」
「よしよし。」
「はぅはぅ…ソラヤ君……。」
「うん。ちょっと元気で出たね。」
「それは……ずるいよぉ。」


この方法は凄いな。
後でクロイに、他の方法も聞いておこう。


「とりあえず、王都でお姉ちゃんに会う!その後どうするか、その時に決めればいい。」
「うん。分かった。」
「それまでは、僕がシーを護るから。」
「はい。よろしくお願いします。」


今にも泣きそうな顔で、必死に笑顔を作るシー。
もっと笑顔になれるばと、夕食が出来るまで、ずっとシーの頭を撫で続ける。






「空ちゃん、シーちゃんご飯出来たよ。」
「ありがとうお母さん。」
「あの…。」
「ん?どうしたのシー。」
「足に力が……立てない。」
「分かるわ〜空ちゃんにずっと撫でてもらってたから。」
「僕が頭を撫でるのと、立てないのに関係ある?」


座ってて、足でも痺れたかな?
そんな長い間でも、無いと思うんだけどな。


「もう少し向こうに行こう。ちょっと失礼するね。」
「へ?」
「よいしょっと。」


シーを抱えて、食事の用意してある焚き火の近くに連れて行く。


「これは、あの、お姫様抱っこ!?」
「降ろすよシー。大丈夫?」
「大丈夫じゃないけど…大丈夫。」
「ん?それは大丈夫って事でいいのかな?」


良く分からないけど、大丈夫ならそれでいい。
シーとお母さんが、コソコソ何かはなしている。
女同士楽しそうだからいいか。
さっきまでの、悲しそうな顔も今はしていない。




こうして新たな仲間にシーを加え。
僕達パーティは、王都を目指す事となった。



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